日本農芸化学会誌
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42 巻, 7 号
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  • えんどう,そらまめ,だいず,とうもろこし種子について
    松下 アヤコ
    1968 年 42 巻 7 号 p. 383-387
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    えんどう,そらまめ,だいず,とうもろこしの種子成熟過程中の遊離糖含有量の変化状況をpaper chromatogramの切りとり,分割溶出およびmicro-Bertrand法を応用して定量を行なった.sucrose, glucoseは種子の成熟期間中を通して見出しうるが,raffinose, stachyoseおよびverbascoseらしいスポットは種子成熟の後期になると出現する.試料豆種子中のsucrose,とうもろこし種子中のglucose含有量は種子成熟の各時期を通して常に他の遊離糖の最高位含量を示す.試料豆種子形成初期ではsucroseが主要な糖であり,種子成熟の最後期ではsucroseとstachyoseが主要な糖になる.とうもろこし種子中のglucose含量は種子の未熟時に最高量を示し,成熟の最後期に最低13を示す.試料豆種子,とうもろこし種子中のraffinose,stachyoseの含量は種子の成熟に伴って増量する.
  • 人工消化試験法による蛋白質の形態別消化率測定法に関する検討
    保井 忠彦, 神立 誠
    1968 年 42 巻 7 号 p. 388-393
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    草類に含まれる各種蛋白質の消化率を動物試験によらずに簡便に求めるための方法として,蛋白質の人工消化試験法を取りあげ,この窒素分別前消化法(試料に直接に酵素剤を作用させ,その前後における各種溶性蛋白質の量を比較して消化率を算出する)と,窒素分別残渣についての消化法(各種溶剤抽出残渣に酵素剤を作用させて消化率を測定し,全葉蛋白質の消化率および窒素分布量とより算出する),ならびに溶剤抽出液の消化法と分離精製した蛋白質の消化率を測定して比較考察した.その結果次のことが明らかになった.
    (1) 大根乾燥葉全葉蛋白質の消化率は,あらかじめ試料をpH 9.2緩衝液で浸漬後,トリプシンまたはパンクレアチンによる消化法で最高値が得られた.ペプシンによる消化率はこれらより若干低かった.A. Pollardらの方法は不適当である.
    (2) 試料の形態別蛋白質の消化率を求める場合に素分別前消化法は不適当であって,pH 9.2緩衝液溶性蛋白質に対しては,抽出液についての消化法が適当と推定された.0.3%NaOH性60%熱アルコール溶性蛋白質に対しては,抽出液についての消化法でも窒素分別残液についての消化法のいずれでも適当と推定された.
    (3) 草類蛋白質の動物による消化率と人工消化法による消化率との相関性については,さらに多くの実験によって検討する必要がある.
  • Rufomycin生成に対するDL-イソロイシンの拮抗阻害と未知ニンヒドリン陽性物質との関係
    東出 栄治
    1968 年 42 巻 7 号 p. 394-400
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    DL-lleuによってrufomycin生成が阻害された場合のStreptomyces atratusの培養液中の代謝物質をさらに検討した.
    すなわち,そのようなrufomycin生成阻害時の培養液をぺーパー・クロマトグラフィーにかけるとRf0.84にY物質と仮称したニンヒドン陽性物質が検出された.
    そこで,このY物質の生成量が培地中にDL-lleuおよびL-Leuを種々の割合で添加して培養した場合,どのような影響をうけるかについてrufomycinの生成量とともに調べた.L-Leuを培地中に添加して培養し,rufomycin生成が促進されその量が増加するにしたがいY物質の生成量は少なくなり,また,DL-lleuを局様に添加して,rufomycin生成が阻害され,その量が減少するとY物質の生成量が多くなることが示された.さらにDL-IleuとL-Leuのせり合い的拮抗によりrutomycin生成量が増減する場合も,Y物質生成量はそれと反比例して減少または増加することが認められた.これらのことから,Y物質はrufomycin生成に対し何らかの関連性を有するものと考えられる.
  • Rufomycin生成阻害(DL-イソロイシンによる)時に集積するニンヒドリン陽性物質の単離とその性状
    東出 栄治
    1968 年 42 巻 7 号 p. 401-405
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    DLーイソuイシンによってrufomycinの生成が阻害された場合に,培養液中に生成されるニンヒドリン陽性のY物質の単離を試み,その物理化学的性状を調べた.
    Y物質は培養液からη-ブタノールで抽出され,Dowex 50によるカラム・ク戸マトグラフィーによって単離された.本物質はmp181°C (dec.)の白色針状結晶でC16H20O2N2の分子式を有し,紫外部吸収スペクトル,赤外線吸収スペクト,およびマス・スペハルからrufo-mycin B1分子中の1成分であるトリプトファン誘導体1-(2-methy1-3-buten-2-yl) tryptophanと同定した.
  • ガスクロマトグラフィーによるブドウ酒香気成分の研究
    菰田 快, 山田 正一
    1968 年 42 巻 7 号 p. 406-412
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ブFウ酒もろみの発酵中,発生する多量の炭酸ガスに伴って発散する香気成分を,ガス捕集法によって捕集し,濃厚な状態に集積させた.
    (2) これをG. C.によって分析した結果,6種のアルコールと16種のエステルのピークを検出し定量した.
    (3) その中で特徴的成分は,η-ヘキシルアルコールと酢酸ヘキシルであり,酢酸ヘキシルは発酵中にそのほとんどが揮散する.
    (4) C5,C7,C9など炭素数奇数個の脂肪酸のエチルエステル,マロン酸エチルおよびオクチルアルコールは検出できなかった.
    (5) 製品ブドウ酒点,ブランデー2点の香気成分を定量し,もろみより捕集した香気成分の量的比率と対比したところ,製品にはアルコール類の占める割合が多く,エステル類は極めて微量であった.
    (6) 捕集した香気液の一部を500~1000倍のブドウ酒またはブランデーなどに添加するとき,それらの香気は著しく改良されることが官能的に認められた.
  • 発酵経過中の糖密もろみの揮発性成分
    菰田 快, 山田 正一
    1968 年 42 巻 7 号 p. 413-417
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 糖蜜もろみ発酵中に発生する香気成分をアルコール中に捕集し,強いラム様香料液を得,これをそのまま,またはエーテル・ペソタン抽出物についてG. C.によって分析した.
    (2) その相対保持時間からアルコール類8種,エステル類15種を検出した.
    (3) 量的にはC3~C5のアルコール類が多く,中でもアミルアルコールの占める割合は捕集した全成分の65%にも達した.これは他の醸造物(清酒,ビール,ブドウ酒)におけるものと比べて特徴的である.
  • 荒木 邦夫, 野田 万次郎
    1968 年 42 巻 7 号 p. 418-422
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) コハク酸ジエチレングリコール・ポリエステルを固定液相とするガスクロマトグラフィーによって,28種のC3~C25脂肪族ケトンの分離,定性を行なった.
    (2) ケトンの保持値としてその保持比で表わしたほか,実用的な見地から,脂肪酸メチルのピークと比較して脂肪酸のECL値で表現することも試みた.
    (3) 同一炭素数のケトソに,おける,カルボニル基の位置および側鎖の有無による保持値の変化について調査した.
    (4) ガスクロマトグラフィーによる長鎖ケトンの定量のための検8量線を求めた.
    (5) 本法を利用してヤシ油中のケトンの分析を行ない,4種のメチルケトンを検出,定量し,油脂中の臭気物質としてのケトンの定性,定量に有効であることを知った.
  • 桑葉中よりルチンおよびクエルセチンの単離
    内藤 謙一
    1968 年 42 巻 7 号 p. 423-425
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 桑葉中からルチンおよびクエルセチンを単離・確認した.
    (2) クエルセチンは,蚕児に対し少しく摂食促進効果が認められたが,ルチンにはなかった.
  • 大麦焙焼中における成分変化について
    清水 康夫, 松任 茂樹, 伊東 保之, 岡田 郁之助
    1968 年 42 巻 7 号 p. 426-430
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    大麦を連続的に加熱焙焼し,各温度に対応する焙焼試料を採取し,熱分析,エーテル抽出物,還元性物質,全糖,全窒素,水溶性窒素,アミノ態窒素,アンモニア態窒素,総酸,揮発性酸, pH,フェノール性化合物,フルフラール,カルボニル化合物,および紫外部吸収スペクトルについて分析を行なった,加熱による各成分の経時的変化の検討については,熱重量分析にみられるように,熱分解による重量の減少があるので,乾物中百分率において比較検討することは正確でないので,灰分を基準として,補正換算を行ない検討をした。焙焼によって香気が150~160°Cより生成するが,各種分析においても,この温度を境として変化が認められる.熱分析の結果においてもこの温度は第2次の変化の起こりはじめる点であり,焙焼の香気の生成は熱分解によるものが深く関与することを示す.試料は焙焼の進むとともにかなり酸性となるので,酸性部,中性部の香気が焙焼香気において重要であると考えられる.
  • 物理的性質と構成糖比
    二宮 英治, 木崎 忠重, 花田 香一
    1968 年 42 巻 7 号 p. 431-434
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Bacillus polymyxa No. 211がグルコース含有培地から生産する多糖類はD一グルコース:D-マンノース: D-ガラクトース: D-グルクロン酸=3:3:1:2で構成されており,比旋光度は[α]21D=+125であった.赤外吸収スペクrルから,この多塘類は,αおよびβ結合を有していることがうかがわれた.脱塩多糖類について粘度法により求めた分子量は約1,300,000であった,また,K型,Na型,Ca型多糖類のうちではCa型多糖類の粘度が最も高く,その1%水溶液の粘度は各々1560cp, 2120cpおよび6200cpであった.
  • 山田 忠男
    1968 年 42 巻 7 号 p. 435-439
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    203Hg標識酢酸フェニル水銀(PMA)を水耕液あるいは土壌に加え,生殖生長期のイネの根による吸収実験を行なった,水耕実験では,水銀として5.85 ppm添加の場合は3日後に,0.55 ppm添加の場合は6日後に萎凋があらわれたのに対して,土耕実験ではそれより多量のPMAが添加されたにもかかわらず,イネは正常に生育して完熟後採取できた.水耕イネが多量の水銀を吸収したのに対して,土耕イネではぎわめて少量の水銀を吸収したのみであった.植物体中の水銀分布は,根には多いが地上部は少なく,茎の上部に行くにしたがって減少するが,玄米部分にはやや多かった.PMAのいもち病防除薬量の100年分を土壌に混入してえられた玄米には0.61ppmの水銀が,また10年分添加区の玄米には0.20 ppmの水銀が含まれていた.
  • 酵母のクエン酸生産性
    田淵 武士, 田中 優行, 阿部 又三
    1968 年 42 巻 7 号 p. 440-443
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    既知および未知の多数の酵母株について,それぞれのクエン酸生産性をしらべ,Saccharmyces, Pichia, Debaryomyces, Hansenula, Candida, Torulopsis, Trichosporonなどの有胞子酵母あるいは無胞子酵母に属する多種多様の菌株に,ブドウ糖からクエン酸を生産して,これをかなりの量まで体外に蓄積する性質のあることを見出した.なお,アルコール発酵能を有する酵母株には,例外なくブドウ糖からD-アラビトールを生産する性質があるという事実も一方で見出された.
  • 1968 年 42 巻 7 号 p. e2
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • ヘルミントスポロールとその関連物質に関する研究
    桜井 成
    1968 年 42 巻 7 号 p. R33-R39
    発行日: 1968年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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