(1) 蚕糞不けん化物はシスートランス結合をもつポリイソプレノイドアルコール(ポリイソプレノール)35%,ソラネソール1.4%を含む.
(2) ドデカイソプレノール(C
60H
970H,mp 15.0~16.0°C),ウンデカイソプレノール(C
55H
60OH,mp 8.8~10.0°C)は,ともに3個の内部トランス結合と水酸基末端のイソプレン残基にシス結合をもつ.
(3) ガスクロマトグラフィーなどの結果,ドデカイソプレノール,ウンデカイソプレノールと同族の化合物と推定されるデカイソプレノール(C
50H
810H),ノナイソプレノール(C
45H73OH)を認めた.
(4) ドデカイソプレノール,ウンデカイソプレノール,デカイソプレノ~ル,ノナイソプレノール,ソラネソールの割合はそれぞれ30.8%, 53.9%, 9.2%, 2.1%, 4.0%であった.
(5) 桑葉不けん化物に含まれるポリイソプレノールは成分およびそれらの比率が蚕糞不けん化物に含まれるポリイソプレノールに同じであることよリ,蚕糞のポリイソプレノールは桑葉に由来すると推定された.
(6) 蚕糞のドデカイソプレノール,ウンデカイソプレノールは次式の構造をもつと推定された.またデカイソプレノール,ノナイソプレノールも次式の構造をもつと考えられた.
〓n=8,7,6,5
本報告を終了するにあたり,貴重な御助言をいただきました東京大学農学部高橋信孝先生に深謝いたします.またNMR,分子量の測定,ガスクロマトグラフィーなどの分析を担当していただぎました当研究所の朝比奈雅子.吉野雄二郎の両氏に感謝いたします.
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