寒天をアガロース(AG)およびアガロペクチン(AP)に分離し,それぞれを分別して分子量,構成糖比,電解基密度が保水能力に及ぼす影響,ならびにゲル化速度に及ぼす濃度,温度,PHの影響を検討した.
(1) AG, APいずれも構成糖比および電解基密度が近似している試料では,分子量の増大とともに保水能力は大きくなる.
(2) 分子量,電解基密度が近似している試料ではAG, APいずれもガラクトース/3,6-アンヒrドロガラクトースの値が小さいほど保水能力は大きい.
(3) 分子量,構成糖比がそれぞれほぼ一定の試料では電解基密度が小さいものほど保水能力は大きい.
(4) AG, APともにゲル化の初期過程は2分子反応的に結び目をつくるものと考えられる.
(5) 活性化エネルギーの比較から,AGはAPよリゲルを形成しやすいことを認めた.
(6) AG, APはともに弱アルカリ性でゲル化しやすいことを認めた.
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