日本農芸化学会誌
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44 巻, 4 号
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  • 吉田 繁
    1970 年 44 巻 4 号 p. 143-148
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Transconformation of casein was studied by using the technique of ultraviolet absorption spectra and its difference spectra in the region 240mμ to 300mμ. Changes in the environments of casein (e. g., pH, medium, temperature) caused some alterations in the absorption spectrum of casein.
    (1) The maximum absorption of UV absorption spectra of casein was shifted from 278mμ at pH 6.81 and pH 10.30 to 284mμ at pH 11.21 and 292mμ at pH 12.40. The minimum absorption was shifted from 251mμ at pH 6.81 to 256mμ at pH 10.30, 271mμ at pH 11.21 and 274mμ at pH 12.40. These red shifts were accompanied with hyperchromic effects.
    (2) When 20mM or 40mM NaCl was added to salt free casein solution, red shift and hyperchromic effect were observed in the difference spectrum. This alteration was characterized by 3 peaks at 280, 287 and 293mμ.
    (3) When urea was added to salt free casein solution, urea denaturation blue shift was observed in the difference spectra. Hypochromic effect, which was characterized by 3 peaks at 280, 288 and 293mμ, was observed. The urea corc. dependence of ΔO. D. at 288mμ and 293mμ were in proportion to 0.5M_??_4.0M urea.
    (4) The effects of temperature on the difference spectrum of casein were accompanied with red shift. Difference peaks at 287mμ and 293mμ were observed by elevated temperature from 15°C to 70°C.
    (5) It was observed that the alterations of the difference spectrum of casein by environmental changes of NaCl, urea and temperature were characterized by configurational changes of tyrosine residue and tryptophane residue.
  • 資化性細菌の分離と同定
    市川 吉夫, 千代 延智三
    1970 年 44 巻 4 号 p. 149-156
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 河床土壌中より分離した20余株の菌株について, PPSをイオウ源とするグルコース無機塩培地中で生育が良好で性状の異なる2菌株を選択し, Enterobacter cloacae, Bacillus subtilisと同定し,両菌株のスルホン酸塩の資化性を検討したところ,両者のあいだに差異があることが指摘された.
    (2) ここに得られた2菌株は従来報告されている炭化水素分解菌と異なり,芳香族スルホン酸塩を炭素源として利用せず,イオウ源としてのみ利用しているところからC-S切断の可能性が推論される.
    (3) CK株を親株として栄養要求変異株を誘導したところ,硫酸還元系の栄養要求変異株が得られた事実は本菌株がスルホン酸を炭素源としてよりもむしろイオウ源として利用していることを示唆している.
  • 市販酵素β-グルコシダーゼ(エムルジン)によるビタミンB2グリコシドの生合成
    鈴木 幸雄, 内田 絅
    1970 年 44 巻 4 号 p. 157-164
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 市販酵素β-グルコシダーゼ(エムルジン)にはB2とセロビオースとからB2-β-グルコシド,またはB2とラクトースとからB2-β-ガラクトシドを相当顕著に生成する作用のあることを見出した.
    (2) 市販酵素β-グルコシダーゼをディスク電気泳動法(pH 4.0, 6.6, 8.0用ゲルを使用)によって分画したところ,β-グルコシダーゼ活性とB2糖化合物生成活性とはほぼ同じ区分に認められた.
  • 市販酵素β-ガラクトシダーゼ(ラクターゼ)による5'-D-riboflavin-β-D-galactopyranosideの生合成
    鈴木 幸雄, 内田 絅
    1970 年 44 巻 4 号 p. 165-168
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    市販酵素β-ガラクトシダーゼ(ラクターゼ)にはB2とラクトースとから数種のB2糖化合物を生成する作用のあることを見出し,これらの化合物のうちB2-β-ガラクトシド類似物質を結晶状に収得して5'-D-riboflavin-β-D-galactopyranosideであることを明らかにした.
  • 光分解生成物および関連化合物の生理作用
    桑原 正雄, 進藤 登, 宗像 桂
    1970 年 44 巻 4 号 p. 169-174
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    PCPの太陽光線による光分解生成物質および関連化合物の抗菌,殺草および魚毒作用について検討した.その結果,
    (1) これらの化合物はいずれもPCPに比較して,その抗菌,殺草および魚毒作用は弱いものであった.
    (2) 抗菌力,殺草力ともに最も強い化合物はペンタクロロフェノキシル基を有する化合物であった.フェノキシル核に水酸基が導入されると効力は低下した.
    (3) ベンゾキノンとキノールでは殺草力では後者が強い作用を示したが,抗菌力では両者に差が認められなかった.
    (4) 抗菌力および殺草力の発現のためにはキノールの遊離水酸基が必要であった.
  • レブリン酸資化性酵母の同定および資化条件の検討
    重田 敞右, 原田 倫夫, 上野 喬宏
    1970 年 44 巻 4 号 p. 175-181
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 天然物中より分離したレブリン酸資化性酵母3株について菌学的性質を検討し, Lodderらの方法と比較対照した結果, Candida parapsilosisに属する菌と同定した.
    (2) レブリン酸資化性酵母Candida tropicalis NISL 3540を用い資化条件の検討を行なった.
    i) 酵母エキスは生育および資化に顕著な効果をもたらし,これを除くと生育,資化は認められない.最適添加量は0.3~0.5%である.
    ii) レブリン酸資化の最適pHは5.0付近にある.リン酸カリウムの高濃度添加,緩衝液添加あるいは塩酸によるpHの調整等により培地を5.0~6.0に維持することにより95%前後のレブリン酸資化率が得られた.
    iii) 食塩5.0%添加および好気的条件がレブリン酸資化に好結果を与えた.
    iv) グルコース共存下ではグルコース資化がレブリン酸資化に優先する.
    (3) 培地中,代謝中間体たる有機酸,ケトン類は検出されなかった.
  • 各種レブリン酸資化性細菌によるレブリン酸の資化
    原田 倫夫, 重田 敞右, 上野 喬宏
    1970 年 44 巻 4 号 p. 182-188
    発行日: 1970年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) レブリン酸資化性細菌, Brevibacterium linens D-87-11-2 (B株), Corynebacterium equi 13-9 (C株), Pseudomonas aeruginosa M-101-1-1 (P株)につきレブリン酸資化条件を検討した結果,窒素源,燐酸カリウム,硫酸マグネシウムからなる簡単な組成の培地で資化は行なわれ,有機栄養源添加は促進的効果を示した.
    (2) B株はビオチン要求性であった.
    (3) B, P両株は5%レブリン酸濃度でも資化が行なわれ, C株は3.0%以上になると資化が行なわれなかった.
    (4) 3株とも好気的条件が好結果をえた.
    (5) グルコース共存下のレブリン酸の資化状態は2つのタイプに大別され, B, C両株ではレブリン酸の資化が優先し, P株ではグルコースの資化が優先した.
    (6) 培地中に代謝中間体たる有機酸,ケトン類の蓄積は認められなかったが詳細は検討中である.
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