日本農芸化学会誌
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45 巻, 12 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
  • 橙赤色球菌とその性質(その3)
    大井 章, 太田 康子, 北原 覚雄
    1971 年 45 巻 12 号 p. 529-533
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ルーメンから分離した乳酸球菌とStreptococcus bovisの保存株を対比検討して,下記の結果を得た.
    (1) 試験菌と対照のSc. bovisは,形態も生理的性質も近似していたが,対照のSc. bovisは通性ないし絶対嫌気性であり,試験菌は絶対嫌気性である点が異なっていた.
    (2) 試験菌と対照のSc. bovisは,ともにでん粉の発酵能があった.とくに,ともに生でん粉をも発酵できる点は,ルーメン細菌として重視すべきであろう.
    (3) グルコースを基質にした発薄試験の結果は, Sc. faecalis, Sc. liquefaciens, Sc. lactis, Sc. salivarius, Sc. thermophitusはホモ乳酸発酵をしたが,試験菌と対照のSc. bovisは乳酸の生成率70%台で,ホモ乳酸発酵とはいえないものであった.
    (4) 試験菌と対照のSc. bovisは,無機窒素を利用して生育し,乳酸を生成した.この培養で,試験菌には橙赤色の色素を生成する菌株があって,対照のSc. bovisとは異なった.
    以上総合して,試験菌と対照のSc. bovisは同一の種に属するものと考えられ,試験菌はSc. bovisの変種とするのが妥当である.
  • キシロース,キシランからでん粉様物質をつくる細菌について
    大井 章, 森 茂, 北原 覚雄
    1971 年 45 巻 12 号 p. 534-537
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 粗飼料だけで飼育している牛のルーメンからグラム陰性,運動性を欠き,0.3~0.5×2~3μの彎曲した微小桿菌を分離した.
    (2) 分離菌株はアラビノース,キシロース,グルコース蔗糖,乳糖,セロビオース,ラフィノース,キシラン,でん粉から徴弱に生酸し,麦芽糖,サリシン,イヌリンからは生酸しなかったが,これらの非発酵性糖類を資化して良く生育した.分離菌株は形態,生理,糖の発酵性からBacteroides ruminicola var. ruminicolaと考えられる.
    (3) 分離菌株は種々の糖質から,でん粉様多糖類を生産した.とくにキシロース,キシランからでん粉様多糖類を多量に生成するが,この多糖類は酸またはα-amylaseとglucoamylaseとの混合酵素で加水分解すると,グルコースのみを生成した.
  • レブリン酸資化性細菌によるレブリン酸分解酵素系の誘導的生成について
    原田 倫夫
    1971 年 45 巻 12 号 p. 538-546
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    レブリン酸資化性細菌Corynebacterium equi 13-9 (C菌),Pseudomonas aeruginosa M-101-1-1(P菌)のレブリン酸分解酵素系の誘導的生成につき検討し,次の結果をえた.
    (1) C菌ではphysiological young cellが, P菌ではstationary phaseの細胞が,強力にレブリン酸分解酵素系を生成した.
    (2) 本酵素系生成には,両菌の場合とも酸素が必須であった.
    (3) 誘導基質としてのレブリン酸の濃度は, P菌では終濃度1/200M, C菌では10-1~10-3Mが良好であった.
    (4) 酵素生成は2~3時間で最高値に達した.
    (5) グルコースの添加は, C菌のphysiological young cellでは効果がなく, stationvary phaseのcellでは効果が認められた. P菌ではphysiological youngcellではlag timeが延長され,酵素生成の遅行が認められたのに対し, stationary phase cellではlagtimeの短縮等,促進的効果が認められた.
    (6) 本酵素系の生成は,クロラムフェニコール,デハイドストレプトマイシンによって阻害された.
    (7) 本酵素系は,レブリン酸によってのみ誘導された.
  • 森地 敏樹, 入江 良三郎, 見坊 寛, 矢野 信礼
    1971 年 45 巻 12 号 p. 547-552
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    TTCテストに用いるStreptococcus thermophilus 510の凍結乾燥保存法を検討した.その洗浄菌体を,脱脂乳+1%りんご酸ナトリウム(pH 6.6~6.8)に5~10×109/mlとなるように懸濁して凍結乾燥すれば,38°Cで6か月保存できた.
    また凍結乾燥菌を直接接種して, TTCテストが実施できることを明らかにした.ただしこの場合は,テスト開始時の生菌数を約40~60×106/mlにコントロールしなければならない.
  • 小幡 斉, 徳山 泰, 大亦 正次郎
    1971 年 45 巻 12 号 p. 553-558
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    高圧滅菌の過程で, TRが培地中のアンモニウム塩と反応してアミノ酸を生成し,徴生物の生育を増進させる可能性を検討した.培地に通常使用される7種のアンモニウム塩を用い,それぞれの0.1MとTRの0.1M溶液の1:1容量混合物を高圧滅菌(1.2kg/cm2, 122±2°C, 15分間)で処理し,その反応液をPPCで展開した結果, TRのアンモニウム塩のほかにグリシン,GRのRf値付近にニンヒドリン陽性物質を生じた.これは,グリシンとGRが生成されていることを示唆しているので,これをさらに明らかにする目的で,イオン交換樹脂によるアミノ酸区分をLeuconostoc mesenteroides P-60菌を用いてbioassayを行なったところ,グリシン欠乏培地で異常な生育を示した.これによってグリシン様物質の存在の可能性を認めたので,さらに確実にするために液体クロマトグラフィーで分析した結果,グリシンとGRのほかに微量のニンヒドリン陽性物質が確認された.グリシンの生成条件はpH3.3~7.0の範囲では酸性側ほどよく,また加熱条件は, 60~133±2°Cの範囲では,高温高圧ほどよいことが判明した.これらの結果,培地中にTRが存在すると培地中のアンモニウム塩と反応し,グリシンまたは二次的副産物としてGRが生成し,微生物の生育促進物質となる可能性が認められた.しかし,グリシンの生成機構は明らかでない.
  • メラノイジンのゲル濾過画分の性質について
    加藤 博通, 五明 紀春, 宇高 潔, 藤巻 正生
    1971 年 45 巻 12 号 p. 559-564
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    D-キシロースとグリシンまたはn-ブチルアミンよりメラノイジンを調製,これを各種のセファデックスのカラムで分画し,各画分の性質を溶出位置(分子量または重合度)との関連において検討し,以下の結果を得た.
    (1) 重量当りの過マンガン酸カリ消費量は,分子量に関係なくほぼ一定である.
    (2) 重量当りの紫外部吸光度はほぼ一定であるが,着色度は重合度が大きくなるにつれて増加し,この増加は長波長にいくほど著しい(黒色味を増す).ただし高分子量域では,一定値に近づく.
    (3) レダクトン含量(インダフェノール還元力)も重合度が大きくなるにつれて増加するが,高分子量域では一定値に近づく.
    (4) メラノイジンのN%はほぼ一定であるが, C/N比は,重合度が増すにつれて大きくなる.
    なお,メラノイジン分子の会合の可能性について,8M尿素中およびpH 10.4の緩衝液中でのゲル濾過を行なって検討したが,会合-解離の現象は認められなかった.
  • 真鍋 勝, 南沢 正敏, 松浦 慎治
    1971 年 45 巻 12 号 p. 565-570
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    マイコトキシンの一種であるsterigmatocystinのガスクロマトグラフィー(GLC)による分析の可能性について検討を加えた.GLCの装置としては,流路が総ガラス製の島津GC-5APを使用し,種々の充てん剤について検討した結果,ケイ藻土(Shimalite W, Chromosorb W)と水晶(Shimalite Q)にmethyl silicone (SE-30, OV-1), methyl phenyl silicone (OV-17)を低濃度にコーティソグしたものであれば, sterigmatocystinを検出することが分かった.ただし,ケイ藻土は前処理として酸およびDMCS処理する必要があった. sterigmatocystinの産生菌であるAsp. versticolorを培養したかび米より抽出,精製して調製した粗sterigmatocystinのGLCでは, SE-30を使用したカラムが分離具合がよく,内部標準物質としてのcholestaneとの保持時間比は,カラム温度220°Cで1.5%液相(SE-30)で,1.21であった.
    以上の結果から, sterigmatocystinのGLCによる分析が可能であることが分かったが,実際に食料などについて検査する場合には,それぞれの食料からの抽出およびGLCに対する阻害物質の除去について,検討を加える必要があると思われる.
  • 1971 年 45 巻 12 号 p. A74
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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