日本農芸化学会誌
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45 巻, 5 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 秋場 克彦, 日野 昌弘, 池辺 信夫
    1971 年 45 巻 5 号 p. 201-206
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The inhibitory effect of chlorella extract (c. ext.) on the elimination of episomes was studied in detail.
    i) We observed that the elimination of F-lac+ in E. coli K 12 by acridine treatment was inhibited in the presence of c. ext. in the penassay broth. When acridine orange was added at 40 μg/ml, 100 per cent of the population became F-, but, in the presence of 10% (v/v) of c. ext., only 10 per cent of the population became F-.
    ii) The elimination of ρ factor in yeast by acridine treatment was also inhibited in the presence of c. ext., and the elimination of ρ factor by the treatment with Cu or Mn was similarly inhibited by c. ext.
    iii) The inhibitory effect of c. ext. on the elimination of F factor was observed even in the enriched medium such as Brain Heart Infusion.
    iv) The addition of yeast extract, malt extract, or casamino acid in place of c. ext. did not inhibit the elimination.
    v) In the broth containing c. ext., F-lac+ cells grew at a similar rate to F- cells, so that the selective effect of c. ext. was excluded.
    vi) C. ext. did not contain nucleic acids sufficient to inhibit the elimination with aridine dye by binding with the dye.
  • L. bifidusのβ-ガラクトシダーゼの精製とその性状について
    岩崎 泰介, 吉岡 八洲男, 金内 稔郎
    1971 年 45 巻 5 号 p. 207-215
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Dehnertの分類に従うと,I/II群のBiotypeに相当するL. bifidus A-3株の菌体内β-ガラクトシダーゼを超音波破砕により粗酵素として抽出し,硫安分画, DEAE-セルロース・カラムクロマトグラフィーおよびセファデックス・G-200によるゲル濾過を行なって,最終的に原粗酵素液に比べ比活性34倍にまで精製した.
    酵素の各精製過程における精製度をポリアクリルアミドゲル・ディスク電気泳動により追跡し,精製酵素はほとんど単一蛋白質であることが認められた.
    精製β-ガラクトシダーゼの酵素的性質は,最適pHは7.0,最適温度は50°Cであり, phosphate buffer中では5°C, pH6.0~7.0できわめて安定であった.
    二価の金属イオンのMn2+, Fe2+およびメルカプトエタノールのようなSH基をもつ化合物により活性の促進を受け,一方Cu2+, Hg2+およびEDTAで強く阻害され,またPCMBでもかなり阻害された.
    精製β-ガラクトシダーゼは,乳糖およびラクチュロースのβ-(1→4)-ガラクトシド結合に作用し,それぞれを構成単糖まで分解した.人乳オリゴ糖のlacto-N-tetraoseに対しては非還元末端のβ-(1→3)-ガラクトシド結合に作用し,ガラクトースを遊離し,同時にlacto-N-triose IIの生成が認められたが,還元末端のβ-(1→4)-ガラクトシド結合には直接作用しなかった.またDi-N-acetylneuraminyl-lacto-N-fucononaoseに対しては,本酵素は全く作用しなかった.
  • 馬鈴薯の煮沸に伴うイソドフェノール還元値の増加について(2)
    沼 慎二
    1971 年 45 巻 5 号 p. 216-221
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    られた.
    (2) 馬鈴薯試料の濃度とほぼ等しいDHAの燐酸緩衝液溶液を(1)と同じ条件下に加熱したところ,基本的に一致する還元値の増減のパターンが得られた.しかしながら,馬鈴薯試料のそれよりもかなり低い値を示したので, DHAの加熱分解反応によってのみ上述の現象を説明するのは不十分であることがわかった.
    (3) 濃度およびpHを馬鈴薯水抽出液のそれとほぼ等しくしたDHAと中・酸性アミノ酸の混液を加熱したところ, (2)のDHA単独溶液の加熱と異ならない結果が得られた.
    (4) 馬鈴薯試料中に定量された量のグルコースとフラクトースをpH 6.0の燐酸緩衝液中で加熱すると,加熱の後期にわずかに還元値が増加したが,上述の現象の主因とは考えられなかった.
    (5) 糖とアミノ酸の混液を(3), (4)と同じ条件下に加熱したところ, (4)の糖単独溶液の場合とほぼ一致した.
    (6) 糖,アミノ酸とDHAの混液を加熱したところ, DHA単独溶液の場合とほぼ同じか,むしろアミノ酸により抑制されてより低い値を示した.
    したがって馬鈴薯水抽出液の加熱に伴い,インドフェノール還元値が増加する現象の機構の一つに, DHAあるいは糖類とアミノ酸間のアミノ・カルボニル反応の関与を取りあげることは不適当であると考えた.
  • タラ(Aralia elata S.)およびアスパラガス(Asparagus officinalis L.)の若芽中の遊離アミノ酸とその呈味性
    中村 秀子, 渡部 賢二, 水谷 純也, 小幡 弥太郎
    1971 年 45 巻 5 号 p. 222-227
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    タラの芽,グリーンアスパラガスの呈味成分として,中性および酸性の遊離アミノ酸の定性,定量を行ない,それらの呈味性を官能検査により検討した.
    (1) 中性および酸性アミノ酸の定量は,アミノ酸をN-TFA-アミノ酸n-ブチルエステルとしてGLCにより行なった.
    (2) タラの芽の中性アミノ酸のうち,アマイド態のアスパラギン,グルタミンが全アミノ酸の40%をしめている.
    (3) グリーンアスパラガスの中性アミノ酸では,プロリン,スレオニン,アラニン,グルタミンが比較的多い.
    (4) アミノ酸液の呈味試験では,タラの芽,グリーンアスパラガスの両者とも,中性および酸性アミノ酸混合液に旨味があるとされた.それらの旨味形成主要成分として,酸性アミノ酸が関与している.
  • 大豆細胞壁の性質とそれに対する蒸煮の及ぼす影響について
    菊地 忠昭, 石井 茂孝, 福島 男児, 横塚 保
    1971 年 45 巻 5 号 p. 228-234
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 大豆細胞壁を変化を受けないように調製して,その多糖類組成を検討した結果,およそ30%のペクチン質, 50%のヘミセルロース, 20%のセルロースよりなることが認められた.
    (2) 大豆細胞壁は,蒸煮処理により酵素作用を受けやすくなり,膨潤性が増加することが認められた.
    (3) 大豆を蒸煮処理(120°C, 30分)すると,細胞壁多糖類の一部は可溶化し,細胞組織は分離することが認められた.蒸煮により可溶となる多糖類はペクチン質であり,これは主として細胞壁間に存在するものであると推定した.
  • 麹菌酵素による大豆細胞壁多糖類の分解
    菊地 忠昭, 石井 茂孝, 福島 男児, 横塚 保
    1971 年 45 巻 5 号 p. 235-241
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 醤油用麹菌酵素の大豆細胞壁多糖類に対する分解性を検討し,ペクチンに対する作用が,ヘミセルロースの場合に比較して,相対的に弱いことを認めた.
    (2) ペクチナーゼ作用の強い酵素剤を大豆細胞壁に作用させた場合は,その可溶化は著しく促進されることを認め,脱脂大豆の分解における重要性を示唆した. (3) 醤油中より多糖類を分画精製し,ガラクチュロン酸を多量に含む酸性多糖類が多く存在することを確認し,そのものは大豆細胞壁中のペクチンに由来することを認めた.
  • 平 友恒
    1971 年 45 巻 5 号 p. 242-245
    発行日: 1971年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    In the Previous papers, the author that diterpenes and sesquiterpenes were present in unsaponified part of fusel oil from rice brandy and the others. Sesquiterpene alcohol was also isolated from unsaponified part of fusel oil as a resultant of alcoholic fermentation of sweet potato or cane molasses. Furthermore, citronellol, α-terpineoll and linallol in sweet potato fusel oil were identified by gas-chromatography and IR spectra.
    In the present paper, above-mentioned diterpenes are reinvestigated. It is found that they are identical with each other not only from the method of high temperature gas-chromatography but also from NMR, UV, and IR spectra. From those results, it can be conclude that the isoprenoid compounds are fromed as the common metabolites in various alcoholic fermentation with yeast.
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