アンモニアカラメルの一製造条件に従って,グルコースとアンモニアから調製した非透析性メラノイジンおよび,それをさらにDEAE-セルロースカラムによって分画したメラノイジン(F2, F3, F4, F5およびF6)中に存在する糖類について,各種検討を行なった.
1)該メラノイジンの酸加水分解物をAmberlite IR-120 (H
+型)処理,ついで活性炭処理してえた画分Aについて, PPCおよびGLCによって検討を行なった.その結果,この画分の大部分は糖類であり,グルコース,フラクトース,アラビノースのほかに,痕跡量の4種の未知物質の存在が認められた.
2)該メラノイジンの酸加水分解の最適条件を検索した.その結果, 0.1N塩酸中, 1000°C, 7時間加熱した条件が比較的好ましい水解条件であることがわかった.また,水解最適条件の検索中,水中で該メラノイジンを煮沸しただけでも,全糖量の約1/2量の還元性糖類が遊離してくることがわかった.このことから全糖の約1/2の糖類は,該メラノイジン中でゆるい結合をなしているものと予想される.
3)各々のメラノイジン中の全糖量,および各種糖類の定量を行なった.全糖量はPark-Johnson法で,各種糖類についてはTMS誘導体として, GLC(内部標準法)で定量した.その結果,全糖の含量はいずれのメラノイジン中にも2~3%存在し,各々のメラノイジンのO/C値と糖量との間に,なんら相関性はみとめられなかった.また,各種糖類の定量の結果,いずれのメラノイジン中にもグルコースが圧倒的に多く含まれていたが,グルコース含量の最も多いのは, F2であった.また, F3およびF4はフラクトースが, F5ではアラビノースが比較的多く含まれていた.これらの結果から,各々のメラノイジンの生成順位(F2, F3, F4, F5の順で生成)が予想される.
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