(1)ホルムアルデヒドから化学合成された糖混合体であるホルモースが,動物の細胞単位で代謝利用できるか否かをしらべるため,ブタ精子を用いて実験した. Krebs-Ringerのリン酸塩緩衝液(pH 7.4)で洗浄したブタ精子に,ホルモースを代謝基質として与えた場合,無添加の区に比べて呼吸量,乳酸蓄積量,精子活力ともに高い値を示し,その値は天然糖のD-フルクトース, D-グルコース,蜂蜜を基質としたものに匹敵した.
すなわち,ブタ精子はホルモースを代謝利用することが判明した.
(2)ドンリウ系雄の幼および成熟シロネズミに68% (飼料中の糖質のすべてをホルモースで置き換え), 50%, 25%, 10%, 5%ホルモースを含む飼料を投与し,それらの成長,生存日数,飼料摂取量などをしらべ,次の結果をえた. 68%および50%ホルモース食群では,激しい下痢を起こし, 4日および6~7日目にすべて死亡した.それらの解剖所見は,小腸,大腸が膨張し水ぶくれ状態で,肝臓と脾臓が萎縮,副腎と腎臓の肥大が見られた. 25%ホルモース食群では,途中で死亡するネズミもあったが,徐々に成長が見られた. 10%および5%ホルモース食群では死亡ネズミはなく,成長は対照群(D-グルコース食)を上回るほどであったが,下痢が続き,消化管の水ぶくれ現象が見られ,飼料効率には差が認められなかった.また,それら肝臓のタンパク質,グリコーゲン,リピド含量ならびに血糖量には,対照区との間に有意差は認められなかった.
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