日本農芸化学会誌
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46 巻, 2 号
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  • 有賀 那加夫
    1972 年 46 巻 2 号 p. 51-57
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カルボニル化合物を2, 4-ジニトロフェニルヒドラジンを用いて定量する方法は,よく用いられる.しかし,この定量法に及ぼす種々の物質の影響については,これまでほとんど研究されていなかった.そこで,カルボニル化合物としてピルビン酸を選び,その直接定量法に及ぼす種々の物質の影響について検討を行なった.その結果, (1)亜硫酸水素ナトリウム,塩化第1スズ,塩酸ヒドロキシルアミン,フェニルビドラジン,セミカルバジド,シアン化カリウム,過ヨウ素酸などがヒドラゾン化を強く阻害した. (2)阻害の機構を調べたが,亜硫酸水素ナトリウム,セミカルバジドは,ともにピルビン酸と直接に反応し,ヒドラゾン化を阻害する. (3)亜硫酸水素ナトリウムによる阻害は過酸化水素水により,SH化合物の阻害は酢酸鉛を加え,硫化物の沈殿を除去することによって,それぞれ防止できることがわかった. (4)応用例として,大腸菌のリンゴ酸酵素の活性測定にさいし,セミカルバジドがどのような影響を及ぼすかを検討したが,セミカルバジドの量に応じてDNP試薬を増し, DNPH化の時間の増加することによって,ピルビン酸の定量が可能であることがわかった.
  • 藤木 寛之
    1972 年 46 巻 2 号 p. 59-66
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    マフノリ(Gloiopeltis tenax)原藻から熱水抽出により調製した粘質多糖類フノラン(NF)について,アルカリ処理による影響を検討して次の結果を得た.
    (1)アルカリ処理をしたフノラン(AF)は,塩化カリウムによりゲル状の沈殿部(画分P)と上澄(画分S)の2成分に分別される.また3, 6-アンヒドロ-L-ガラクトース含量,構成糖のペーパークロマトグラフィー, IRスペクトルなどの比較から,画分PとSは性状を異にし,フノランが少なくともアルカリ処理により, PとSを生じるような構造の2成分からなる不均-な多糖類であろうと推察した.
    (2)アルカリ処理により硫酸基は減少し, 3, 6-アンヒドロ-L-ガラクトースが増加するが,フノラン分子中の全硫酸基の80%近くまではアルカリに安定であり,画分Pの部分加水分解生成物から, D-ガラクトース6-硫酸の単難および部分メタノリシスにより,アガロビオースジメチルアセタールが好収量で得られたこと,さらにIRスペクトルの結果などから,フノラン分子中のアルカリに安定な主要な硫酸基は, 1, 3-位で結合するD-ガラクトース残基のC-6位に結合しているものと推定した. また,フノランを過ヨウ素酸により酸化して得られた酸化フノラン(OF)と,酸化フノランのアルカリ処理生成物(OAF)とのアンヒドロ糖含量の比較から,アルカリに不安定で3, 6-アンヒドロ-L-ガラクトースを与えるような糖硫酸エステル残基の存在の可能性を認めたので,これらについて考察を加えた.
  • デヒドロアスコルビン酸分解物とそれのアスコルビン酸酸化阻害
    野村 男次, 岡村 哲雄
    1972 年 46 巻 2 号 p. 67-72
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) DHAの分解によって生じるレダクトンC (ペントース・レダクトン)は,キシロソンのエノール体である.
    (2) ASAのDHA経由の分解は, ASA→DHA→キシロソン→レダクトンC (キシロソン・エノール体)→レダクトンB (2, 3, 4-trihydroxy-pent-2-enoic acid)→レダクトンA (5-methyl-3, 4-dihydroxytetron)→という経路をとる.
    (3)レダクトンAには, ASAの酸化を防ぐ力がある.その力は, DHAをASAに還元する力として働いており,これがDHAの酸化分解を阻害する力となっている.
  • ホルモースの動物試験
    水野 卓, 川井 功一, 村松 敬一郎, 番場 公雄
    1972 年 46 巻 2 号 p. 73-80
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)ホルムアルデヒドから化学合成された糖混合体であるホルモースが,動物の細胞単位で代謝利用できるか否かをしらべるため,ブタ精子を用いて実験した. Krebs-Ringerのリン酸塩緩衝液(pH 7.4)で洗浄したブタ精子に,ホルモースを代謝基質として与えた場合,無添加の区に比べて呼吸量,乳酸蓄積量,精子活力ともに高い値を示し,その値は天然糖のD-フルクトース, D-グルコース,蜂蜜を基質としたものに匹敵した.
    すなわち,ブタ精子はホルモースを代謝利用することが判明した.
    (2)ドンリウ系雄の幼および成熟シロネズミに68% (飼料中の糖質のすべてをホルモースで置き換え), 50%, 25%, 10%, 5%ホルモースを含む飼料を投与し,それらの成長,生存日数,飼料摂取量などをしらべ,次の結果をえた. 68%および50%ホルモース食群では,激しい下痢を起こし, 4日および6~7日目にすべて死亡した.それらの解剖所見は,小腸,大腸が膨張し水ぶくれ状態で,肝臓と脾臓が萎縮,副腎と腎臓の肥大が見られた. 25%ホルモース食群では,途中で死亡するネズミもあったが,徐々に成長が見られた. 10%および5%ホルモース食群では死亡ネズミはなく,成長は対照群(D-グルコース食)を上回るほどであったが,下痢が続き,消化管の水ぶくれ現象が見られ,飼料効率には差が認められなかった.また,それら肝臓のタンパク質,グリコーゲン,リピド含量ならびに血糖量には,対照区との間に有意差は認められなかった.
  • Leuconostoc mesenteroides IAM 1046の生産する酵素の精製と性質,および酵素合成デキストランの構造について
    新延 道夫, 小林 恒夫
    1972 年 46 巻 2 号 p. 81-88
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Leucanostoc mesenteroides IAM 1046により,デキストランシュクラーゼを生産させるための培地,および培養条件を検討した.
    (2)上記菌株のデキストランシュクラーゼの部分的精製を行ない,硫安塩析およびDEAE-セルロースによるクロマトグラフィーを期いて,比活性が培養液の24~56倍の精製酵素を得た.
    (3)部分精製したデキストランシュクラーゼの酵素化学的性質を検討した.その結果,この酵素は作用最適pH 5.0,最適温度30°C, pH 4.0~7.5において安定であるが, 40°C以上にて速やかに失活するなどのことがわかった.またMichaelis恒数は30°C, pH 5.0で1.57×10-2 (M)であった.
    (4)生菌および各精製段階の酵素によってデキストランを生成させ,その構造を過ヨウ素酸酸化法によって検討した結果,精製酵素によって調製したデキストランは,生菌または培養上澄によって調製したものに比較して,α-1, 6-グルコシド結合の含量が増加していることを認めた.
    (5)以上の結果および他の2, 3の知見から,デキストラン合成酵素は単一なものでなく,α-1, 6-結合の合成を接触する酵素のほかに,α-1, 6-結合以外のグルコシド結合の合成を行なう酵素の存在を推定した.
  • 抗微生物作用に影響する要因
    桑原 聰子, 清水 潮, 矢嶋 瑞夫
    1972 年 46 巻 2 号 p. 89-93
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    糖-アミノ反応の生産物は,広汎なパクテリヤ,カビ,酵母にたいして増殖阻止作用を示す.
    反応生産物の抗菌作用は,反応を120°Cで行なうほうが,100°Cよりも速やかに,また反応のpHがアルカリ性側のほうが,酸性側よりも強く現われる.試験した8種のアミノ酸のうちではリジンが,また糖としてはグルコースよりもキシロースのほうが,高い抗菌力が得られる.リジン-キシロースの系では,抗菌力はリジンがキシロースの3倍濃度までは,リジン濃度の大きさに応じて,またリジンが一定濃度のばあいには,キシロースの濃度の大きさに応じて強くなる.
    セファデックスG-10による反応物質の分離の結果,抗微生物作用を現わす物質は,褐色のメラノイジン色素とは異なる物質であることが示された.
  • 発酵の諸特性
    神崎 俊彦, 北野 一昭, 隅野 靖弘, 岡崎 尚良
    1972 年 46 巻 2 号 p. 95-101
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    糖質からL-グルタミン酸を高収率で生成するBrervibacterium thiogenitalisより誘導したオレイン酸要求菌が,各種炭素源に対してどのような挙動を示すかを調べ,非糖質炭素源の中では,酢酸がL-グルタミン酸生産に対して,最もすぐれた性質を示すことを明らかにした.オレイン酸要求菌は他にエタノール,酢酸メチル,酢酸エチルなどからもL-グルタミン酸を生成したが,収率は低かった.
    また3種のビオチン要求性グルタミン酸菌,およびそれらから誘導されたオンイン酸要求菌を用いて,酢酸がらのL-グルタミン酸蓄積性を調べたところ,いずれの場合もオレイン酸要求菌の方が,著しく高い蓄積性を示した.その他培地成分,基質などの発酵に及ぼす影響を調べた.
  • 1972 年 46 巻 2 号 p. N29
    発行日: 1972年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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