日本農芸化学会誌
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47 巻, 7 号
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  • 平山 修, 松田 英幸, 岡村 紀子, 藤井 慶子
    1973 年 47 巻 7 号 p. 407-413
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    小麦粉のリン脂質および糖脂質の各成分を分離,同定,定量した.特異成分としてN-アシルホスファチジルエタノールアミン,アシルモノガラクトシルジグリセリドなどの存在を認めた.強力粉脂質は薄力粉脂質に比較して,高いリン脂質含量を示した.
    次に,強力粉を水および希酢酸で抽出することによって,水溶性画分,灘酸可溶性画分(グルテン),スラッジ画分およびデンプン粒画分に分け,脂質分布を調べた.
    グルテンには全脂質の約80%が存在し,そしてグルテニンには非極性脂質が,グリアジンには極性脂質が優先分布する傾向を示した.グルテンの極性脂質は糖脂質量に富むのに対し,スラッジおよびデンプン粒画分の脂質は,リン脂質とくにリゾレシチンに富んでいた.またデンプン粒の内部には,遊離脂肪酸,リゾレシチンを主成分とする脂質の存在が認められた.
    他方,強力粉を等張のもとに界面活性剤で分散抽出し,これを密度勾配遠心によって分別すると, 0.5~0.6μのタンパク顆粒が得られた,この顆粒は,全タンパク質の約65%および全脂質の約70%を含んでいた.薄力粉においては,上記顆粒以外に0.6~1.0μの顆粒も認められた.
    強力粉グルテンはグルテニン量に富み,薄力粉グルテンはグリアジン量に富んでいた.さらに,このグルテン組成は脱脂することによって大きく変化することが,ゲル濾過の結果から認められた.以上の結果および他のデータから,グルテン形成において脂質はグルテンタンパク質の高分子化に寄与していることを推察した.
  • 有馬 啓, 松島 宏親, 深見 悌一
    1973 年 47 巻 7 号 p. 415-422
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    牧草(アルファルファ,チモシー)および植物組織培養(メロン,タバコ)を用いる植物生理活性の検定法について検討を行ない,さらにこの系を用いて微生物の培養液より活性物質のスクリーニングを行なった.生長阻害作用を有するものが多数認められたが,培地に用いるcorn steep liquorおよび廃糖蜜にも強い阻害活性が認められた.また,植物組織培養の生長を促進するものが数株認められた.
  • 新原 立子, 西田 好伸, 米沢 大造, 桜井 芳人
    1973 年 47 巻 7 号 p. 423-433
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 製造中における手延素麺の水分含量は,梅雨期の“厄”において上昇して, 15%以上となった.
    (2) エーテルおよび水飽和ブタノールで抽出される脂質の量は,ともに貯蔵中に減少した.
    (3) 過酸化物価,カルボニル価は製麺時に上昇し,貯蔵中は15カ月間あまり変化せず,ヨウ素価,リノール酸の比率がやや増加する傾向がみられた.このように,素麺の脂質は酸化に対して安定であった.一方厄中の変化として,酸価の上昇がみられた.
    (4) タンパク質の溶解性はほとんど変化せず, 2回目の厄を越えた時点でやや減少した.アンモニア,アマイド窒素もほとんど変化はみられなかったが, 1回目の厄で10% TCA可溶の窒素量の増加がみられた.そして遊離のアミノ酸も, 1回目の厄で増加した.しかし油の酸化の始まる2回目の厄には,遊離のアミノ酸の減少がみられた.総アミノ酸には貯蔵中顕著な変化はみられなかったが, 2回目の厄後すべてのアミノ酸がやや減少した.また2回目の厄後,グルテンのデンプンゲル電気泳動図に変化が認められた.
    (5) 素麺からとれる湿グルテンの猛状が貯蔵中に変化し,生麺およびゆで麺の吸水率が低下した.
    (6) テクスチュロメーターによる測定では,ゆで麺のかたさが1回目の厄を越すことによって増加した.一方,凝集性は2回目の厄を越して初めて有意差のある低下が認められた.また粉末のファリノグラムも,貯蔵期間とともに変化した.
    ゆで麺の顕微鏡観察では,厄を越えた素麺はデンプン粒の膨潤が抑制されていることが観察された.
  • 藤木 寛之
    1973 年 47 巻 7 号 p. 435-441
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    マフノリ原藻(Gloiopeltis tenax)から熱水抽出, CPCを用いて精製したツノラン(CF)について,塩化カリウムによる分別を行ない,次の結果を得た.
    (1) CFは, KP, KSP, KSSの3画分よりなり,それぞれK+に対するsensitivityを異にする. KPは室温(約28°C)において, 0.5% CF溶液に最小濃度(0.9M)の塩化カリウムを加えて沈殿する画分であり,その上澄に残る多糖(KS)の0.5%溶液に,高濃度(3.OM)の塩化カリウムを加えて沈殿する画分がKSPである.またCF溶液から, KPを沈殿させるのに必要な塩化カリウムの濃度と, CF溶液の濃度の対数との間には,直線関係が成立し,温度の上昇とともに, KPの沈殿に要する塩化カリウムの濃度は高くなる.これら3画分の比率は, KP:KSP:KSS=52:13:35であった.
    (2) KP, KSP, KSS 3画分のモル比(Gal:Agal:SO3Na)は,それぞれ1:0.72:1.11, 1:0.62:1.27, 1:0.08:1.20で,化学的組成を異にする.また, CFのアルカリ処理により,硫酸基含量が減少してAgal含量が増加し, K+による沈殿画分の比率が高くなるが, KP, KSP, KSS 3画分に対するアルカリ処理の影響はそれぞれ異なり, Aga1の増加率はKSSが著しく高い.
    (3) KP, KSP, KSS 3画分は,それぞれ旋光度を異にする多糖で, KP, KSP両画分は左旋性, KSSは右旋性を示す.
    以上の実験結果から,フノランが不均一な多糖であることを明らかにした.
  • 磯貝 彰, 張 清芬, 村越 重雄, 鈴木 昭憲, 田村 三郎
    1973 年 47 巻 7 号 p. 443-447
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    新しい昆虫生理活性物質の単離を目的として,種々の薬用植物を人工飼料に混入したのち,カイコ幼虫に経口投与して,それらが幼虫の成育にどのような影響を与えるかを観察した.その結果,
    (1) 黄柏,三黄散,毛黄連,苦木,コンズランゴ,木通に成育阻害活性が認められた.これらのうち,黄柏の活性成分はberberineと同定された.
    (2) 檳榔子,苦棟皮には殺虫作用が認められた.これらのうち,檳榔子の活性成分はarecolineと同定された.
    (3) 丁字,肉豆〓には成育阻害物質あるいは,三眠蚕を誘起する物質の存在が予想された.
    (4) 黄著は,カイコ幼虫を上蔟後に斃死させ,その活性成分はL-canavanineと同定された.
  • 磯貝 彰, 村越 重雄, 鈴木 昭憲, 田村 三郎
    1973 年 47 巻 7 号 p. 449-453
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    薬用植物に含まれる昆虫生理活性物質を検討する過程で,漢方薬オウギ末がカイコの変態を阻止することを知り,活性の本体を追求したところ,活性成分としてL-canavanineが単離された.オウギ末中のL-canavanine含量は約0.22%であり,この化合物を5ppm人工飼料に加えて5令起蚕カイコ幼虫に経口投与すると,その50%が化蛾できずに斃死する.このようなカイコ変態阻止物質が化学的に明らかにされたのは,これが初めてである.
  • 飯山 悟, 村上 浩紀, 久良木 倫生, 大村 浩久
    1973 年 47 巻 7 号 p. 455-461
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    N-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジン,マイトマイシンC,コルチゾン,アドレナリンならびにグルコース-(ガラクトース)オキシムなどのDNA切断剤は, RNAに対しても切断作用を持つことがわかった.デオキシオリゴヌクレオチドに対する分解作用を調べた結果,デオキシプリンオリゴヌクレオチドの方が,デオキシピリミジンオリゴヌクレオチドよりも低分子化されやすく,またデオキシプリンオリゴヌクレオチドでも,おもにモノ-,ジヌクレオチドが分解されやすかった.
    さらに,これらの薬剤で適当量の切断を生じさせたDNAをRNA合成酵素反応の鋳型として用いた場合には, RNA合成量が増加するということが明らかになった.しかし過度の切断が生じたときには,逆にRNA合成量は減少した.
  • 湯浅 克己, 石塚 啓子, 鏑木 進, 逆井 利夫
    1973 年 47 巻 7 号 p. 463-465
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The relation between the oxidation of phenolic compounds in shoyu and the browning of shoyu has been studied.
    In this paper, ether soluble phenolic compounds in shoyu were studied. One of the phenolic compounds on TLC plate became brown without any spraying of chemical reagents (solvent system; benzene:methanol:AcOH=45:7:1 v/v). This compound was fractionated by silicic acid column chromatography (solvent; n-hexane:ether=9:1 v/v and n-hexane: ether=1:1 v/v) and separated by TLC. Resolved substance was eluted with n-hexane:ether=9:1 from adsorbent and crystallized from hot n-hexane. Rf value, mp, UV spectra and IR spectra isolated needles were the same as those of catechol.
    Isolation of catechol from shoyu was first carried out in the present work.
  • 1973 年 47 巻 7 号 p. N80
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1973 年 47 巻 7 号 p. e1
    発行日: 1973年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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