味噌の水溶性の色をSephadex G-15, DEAE-セルロースおよび酸素存在下で高分子化することを利用して分画を行ない,醤油の色との比較検討を行なった.
(1) 味噌の色は,DEAE-セルロースにより8つの色素成分に分画され,色素成分の分布および各成分のΔAは醤油のそれらとほぼ一致した.
(2) グリシンーキシロース系メラノイジンの色素成分を標準物質としてSephadex G-25,G-50によるゲル濾過法で推定した分子量はP1=700,P2=1200,P3=1400,P4=1800,P5=2500,P6=2700,P7=4000,P8=4700であった.
(3) 酸化条件下で,各色素成分がDEAE-セルロ-ス上の溶出位置を変化させる性質を利用して,酸化条件下で新たに生じた色素成分の分画を行なった.分画された色素成分は,高分子化するに従ってΔAが少なくなり,1%1cmE450
450値が大きくなった.またP2~P8セこは,ダクトンは認められなかった.
(4) 分画精製された色素成分のKdとlog1%1cmE
450の間に直線関係が認められ,さらに分子量の対数と1%1cmE
450の対数の問にも直線関係が認められた.従って,味噌の色もモデル系メラノイジン同様,E=kM
αの式に従うことを明らかにした.その関係式は,E=4.57×10
-4×M
1.32と計算された.算出されたk,α値は,醤油のそれらとよく一致した.一方α値より味噌の色において,主要褐変物質はdi-またはtripeptide起因のものであろうと推定した.
(6) 本実験において,米味噌の色と醤油の色の間には分子量と色の強さの関係式,化学的諸性質にほとんど差異は認められなかった.
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