緑茶抽出液を田村,角田改良培地またはGYP培地に添加すると,
Leuconostoc mesenteroidesP-60をはじめ,各種乳酸菌の生育が阻害されることを認めたので,緑茶のいかなる成分によるかについて実験を行ない,次の結果を得た.
(1) 緑茶抽出液添加による阻止効果は,ある濃度までは無効で,一定濃度を越すと急に効果を示すのが特微である.
(2) 緑茶抽出液からブタノールあるいは酢酸エチルにより抽出を行なったところ,いずれも酸性における可溶部が阻止した.このことから,阻害成分は酸性物質であることが推定される.
(3) 緑茶の水溶性灰分は,阻害を示さなかった.したがって,阻害成分は無機物ではない.
(4) 緑茶抽出液を透析によって外液と内液とに分け,それぞれを添加して調べた結果は,透析外液の方が阻止した.したがって,阻害成分は低分子のものであることを示している.
(5) 市販の各種フェノール関連物質のうち,タンニン酸,ヒドロキノン,ピロガロール,ピロカテコール,アセチルサリチル酸,コーヒー酸,レゾルシノール,没食子酸,フェノール,サリチル酸およびフロログルシノールによっても阻止が見られたが,クロロロゲン酸およびキナ酸は阻害を示さなかった.
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