日本農芸化学会誌
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48 巻, 6 号
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  • 茂田井 宏, 井上 進
    1974 年 48 巻 6 号 p. 329-336
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 醤油の色は酸化により暗い色調になるのは,明るい色調を示す色素成分が暗い色素成分に変化するためであり,色素成分の変化は分子量の増加,恐らく重合によっておこると考えられた.
    (2) 酸化により色素成分が変化する性質を利用して,各色素成分の分画を行なった.分離された各色素成分は,高分子化するに従ってΔAが低くなり,〓 E450値は高い数値を示した.またP1以外レダクトンに認められず,糖,アミノ酸含量は各成分ともほぼ同じ数値を示した.さらにIR吸収のパターンも,各成分ともよく似ていた.しかしながら,元素分析は各々異なる数値を示した.
    (3) グリシンーキシロース系メラノイジンの各色素成分を標準物質として,Sephadex G-25, G-50より測定した醤油の色素成分の推定分子量はP1=600, P2=850, P3=1100, P4=1600, P5=2900, P6=2950, P7=3470, P8=4270であった.
    (4) Kdとlog 〓 E450の間に直線関係が見い出され,従つてlog molecular weifight(M)とlog 〓E450(E)の間にも直線関係が認められ,醤油の色もモデル系メラノイジン同様E=kMαの式に従うことを明らかにした.醤油の色の関係式は,E=4.47×10-4×M1.30と算出された.醤油の色において酸化に対して安定なメラノイジンは,ジペプチドおよびトリペプチド起因のメラノイジンであり,このメラノイジンが醤油の色の主要褐変物質であることをα値より推定した.
    (5) 醤油の色の酸化に対する挙動,および酸化により生成された色素成分の諸性質は,モデル系メラノイジンのそれとなんら差異が認められず,醤油の色はおもにアミノカルボニル反応により生成されることが強く示唆される.
    (6) 以上の結果,醤油の色は酸化により高分子化し,高分子化することによって醤油の色が増加し,暗い色調になり,その増色は
    E=4.47×10-4×M1.30 (1)
    (1) 式に従っておきると推定した.
  • 石川 雄章, 吉沢 淑
    1974 年 48 巻 6 号 p. 337-341
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    清酒醸造における原料白米の洗米から蒸きょうに至る,いわゆる原料処理工程中の脂質の動きについて検討した.
    脂質は洗米によって,SSに約1.1%含まれて流去されるが,これは白米中の粗脂肪の5.5%,結合脂質の0.4%に相当し,洗米用水によっても変動するが,ここでは無視できる量と考えた.
    一方,蒸きょうすることにより,白米中の粗脂肪は45~75%に減少し,脂肪酸組成では,不飽和脂肪酸の比率が減少する.粗脂肪の減少は,加水分解により遊離した脂肪酸が一部揮発することによると推察される.
  • 入江 良三郎, 岡本 隆史, 森地 敏樹
    1974 年 48 巻 6 号 p. 343-349
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    乳酸菌の実験室的な定pH培養に便利な,簡単なPHスタットを組み立て,乳糖5%を炭素源とする培地で,Streptococcus cremorisをpH 6.0~6.2で培養した.中和剤としては,Peebles(4)らの指摘どおり,NH4OHがすぐれていた.
    増殖が停止した時点で,菌濃度は乾燥菌体量で4.2mg/ml,生菌数で3,7×109/ml(通常の脱脂乳培養の約7倍)に達した.酸の生成は,増殖停止後も糖を全部消費するまで続いた.糖を全部消費した時点では,YATPは約9であったが,培養初期には15~16という高い値がみとめられた.YATPによって,菌体収量を評緬することの有用性について論じた.
  • 和田 泱夫
    1974 年 48 巻 6 号 p. 351-357
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    HPPAからL-フェニールアラニンを生産する菌株を検索し,Pseudomonas denitrificansG-132-13およびIAM-1426株が強い活性をもつことを知った.
    後者を用いて培養条件の検討を行ない,グルコース4%,CSL 2.5%,塩化アンモン0.25%, HPPA 1.5%, dH 7.8(アンモニヤで調節)を生産培地組成と決定した.この培地を用いることにより,48時間培養で13.5mg/mlのL-フェニールアラニンが生産された.
    D-およびL-HPPAのL-フェニールアラニンへの変換速度が異なるが,これはL-HPPAに対する菌体のもつpermeability barrierによるものと推測される.
    L-HPPA脱水素酵素は顆粒分画に存在し,電子受容体としてチトクローム系の関与が示唆されたが,D-HPPA脱水素酵素については今後の検討課題である.
    トランスアミネーションのアミノ供与体としてはロイシンやイソロイシンが適し,HPPAからL-フェニールアラニンの生産は脱水素によるフェールピルビン酸の生成と,続くトランスアミネーションの2段階の酵素反応により成立しているコトが明らかになった.
  • 和田 泱夫
    1974 年 48 巻 6 号 p. 359-366
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    2-ヒドロキシ酪酸を前駆物質としてL-イソロイシンを発酵生産する微生物を検索した結果,Pseudomonas sp. B-19-4株を得た.2-ヒドロキシ酪酸2%を含む培地で該菌株を培養することにより,L-イソロイシン12.1mg/mlを含む培養液を得た.この培養液からL-イソロイシンを単離し,確認した.
    副生アミノ酸に2-アミノ酪酸とニンヒドリン陽性物質があるが,後者はノルバリンと同定された.
    2-ヒドロキシ酪酸からL-イソロイシンの生成は,まず2-ケト酪酸が生成し,その後は既知のレイソロイシン生合成経路に乗ってL-イソロイシンが生合成される.ノルバリンは,ロイシン生合成経路と類似の経路で生合成されるものと思う.
  • 阿部 昭吉
    1974 年 48 巻 6 号 p. 367-371
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    An active principle which extrudes the trichocysts from Paramecium caudatum Ehrenberg was isolated from the dried leaves of Pelargonium zonale Ait., and was identified as tannic acid.
    Caffeine was found to inhibit the activity of tannic acid for extrustion of triehocysts, and 1 mole tannic acid was exactly inhibited by 13.18 mole caffeine, suggesting that mechanism of extrusion of trichocysts from Paramecium is caused only by reaction of protein and protein denaturant. Several protein denaturants extruded trichocysts from Paramecium.
  • 大杉 元好, 櫟本 五男, 上田 博夫
    1974 年 48 巻 6 号 p. 373-377
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The synthetic method of trans-4-amino-1-hydroxy-2-methyl-2-butene (7) constituting a partial structure of zeatin has been improved. The starting point for the present method was the abnormal addition of tert-butylhypochlorite to isoprene. The reaction of isoprene with tert-butylhypochlorite gave the mixture of trans-1-t-butoxy-4-chloro-2-methyl-2-butene (1) and trans-4-t-butoxy-1-chloro-2-methyl-2-butene (2) in 45% yields ((2)/(1)=1/3_??_4). An equivalent ammount of potassium phthalimide to (1) reacted with this mixture to give trans-1-t-butoxy-2-methyl-4-phthalimido-2-butene (5), predominantly. Compound (5) can be easily separated from the residue by the steam distillation of reaction mixture. The treatment of (5) with acetic anhydride-ferric chloride afforded trans-1-acetoxy-2-methyl-4-phthalimido-2-butene (6) followed by hydrolysis with barium hydroxide to give (7) in good yield.
  • 久留島 通俊, 佐藤 淳司, 北原 覚雄
    1974 年 48 巻 6 号 p. 379-384
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1.Asp. cinnamomeusIAM 2040株および紫外線変異株No. 12111のアミラーゼ系はα-アミラーゼ,耐酸性α-アミラーゼとグルコアミラーゼI,グルコアミラーゼIIの4種で構成されていることを知り,それぞれを単離,精製した.
    2. 変異株は親株に比べて,全α-アミラーゼ生成量には変化はないが,耐酸性α-アミラーゼ,グルコァミラーゼI,IIは著しく増加した.
    3. 4種のアミラーゼのうち,生デン粉糖化の主要酵素はグルコアミラーゼIIでグルコアミラーゼIの6倍の糖化能をもち,2種のα-アミラーゼには単独ではほとんどこの活性がなかった.
    4. Asp. cinnamomeus株の組成アミラーゼ4種はいずれも75,000~45,000の分子量をもつと推定された.
  • 1974 年 48 巻 6 号 p. N76
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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