日本農芸化学会誌
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48 巻, 7 号
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  • 亀岡 弘, 三宅 昭雄
    1974 年 48 巻 7 号 p. 385-388
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    にらの水蒸気揮発性成分を明確にするため,東大阪市に栽培されているものを,生のまま水蒸気蒸留し,得た揮発性油をカラムクロマトグラフィーにより各画分に溶出分離し,これをGLCおよびIR, NMR, MSスペクトルなどを用いて検索した.
    その結果,Table IIに示す含硫黄化合物7成分とリナロールの存在を明らかにした.また,にら特有の臭気はこれらジー,トリ-およびテトラスルフィドなどから構成されているものと考えられる.
    本研究を行なうに当り,標準試料を提供してくださった共立化工株式会社に深く感謝する次第である.
  • 垣江 竜雄
    1974 年 48 巻 7 号 p. 389-395
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    黄色種タバコの火力乾燥と在来種タバコの空気乾燥におけるグルコース,フラクトースならびにショ糖の挙動と呼吸によるグルコース代謝を知るため,乾燥経過中の葉から採ったディスクに14C-標識糖を供与し,その代謝を追求した.
    1. 乾燥経過中の葉に供与されたグルコース-U-14C,フラクトース-U-14Cならびにショ糖-U-14Cの挙勤:ヒックスを用いた火力乾燥葉にグルコース-U-14Cあるいはフラクトース-U-14Cを供与すると,供与糖からショ糖が合成され,とくに黄変期に著しかった.色沢固定期以降では,大部分が供与糖の形態で留まった,ショ糖-U-14Cの場合は,乾燥期間を通じて大部分が供与形態で存在した.
    一方ダルマの空気乾燥では,両単糖の供与については火力乾燥と同じ現象が認められたが,ショ糖-U-14Cの場合にはグルコースとフラクトースへの加水分解ガ起こり,とくに褐変期に,おいて著しかった.
    2. 乾燥経過中の葉の呼吸による炭酸ガスの放出とグルコースの代謝:乾燥葉の炭酸ガスの放出は,MCの火力乾燥では黄変末期まで増加し,それ以降は減少した.これに対して,ダルマの空気乾燥葉では漸次減少するが,褐変期においてもなお炭酸ガスの放出が続いた.
    またグルコース-1-14Cとグルコース-6-14Cによる放出14CO2放射活性の比から呼吸類型を調べたところ,乾燥前ではMC,ダルマの両品種ともEMP-TCAとHMP経路の働きがほぼ半ばであったが,乾燥が進むとHMPの役割が高くなる傾向が認められた.
  • 奥村 文男, 野尻 哲朗, 鶴 大典
    1974 年 48 巻 7 号 p. 397-402
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カラムライト(ケイ酸アルミン酸マグネシウム)によるカラムクロマトグラフィーによって塩基性抗生物質の相互分離を試み,次の結果を得た.
    (1) 塩基性寡糖グループ抗生物質(streptomycin, paromomycin, neomycin, ribostamycinおよびkanamycin)ならびに塩基性ペプチド系抗生物質(viomycin, capreomycin),およびストレプトスライシン群抗生物質に属するracemomycin complexはカラムライトに吸着され,塩溶液あるいは希アンモニア水にまって溶出される.マクロライド系抗生物質はほとんど吸着されない(oleandomycin)か,あるいはわずかに吸着される(leucomycin)が,他の塩基性抗生物質存在下では素通り区分に認められる.
    (2) 吸着された各抗生物質は,塩溶液あるいは希アンモニア水を流下させることによって溶出され,その溶出に必要な塩溶液の濃度は抗生物質の種類により,また用いる塩溶液の種類によって異なる.従って,これらの条件を適当に組合わせることにより,吸着されている2~3種類の抗生物質を分別溶出することが可能である.
    (3) カラムライトの塩基性抗生物質に対する吸着能は,蛋白質や有機性着色物質が共存する場合にも,ほぼ同様に認められ,従ってカラムライトは放線菌の培養濾液より塩基性抗生物質を分離精製するのに有効であり,また血中や尿中の抗生物質を分別検出同定するのに利用され得ると考えられる.
  • 伊藤 智夫, 堀江 保宏, 渡辺 喜二郎, 高宮 邦夫, 古山 三夫, 宮林 満雄, 山本 一雄, 長島 政喜
    1974 年 48 巻 7 号 p. 403-407
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Three different semi-synthetic (meridic) diets not containing leaf powder, the Starter (for 1st-instar larvae of the silkworm), the Grower (for 2nd- to 4th-instar larvae), and the Producer (for 5th-instar larvae), were newly formulated based on the previous information on nutrition and dietetics of the silkworm. The emphasis was put on the acceleration of feeding of the diet in the formulation of the Starter, and on the acceleration of growth of larvae in the formulation of the Producer (Table I).
    Rearing of larvae was carried out in a small scale at the 6 different rearing places, starting with each 200 larvae of the hybrid strain, N124×C124, in autumn of 1968. The larval mortality was low, the larval growth was conspicuous (Table II), and some of the full-grown 5th-instar larvae exceeded 9g of live weight, which is hardly attainable with fresh mulberry leaves. Cocoon weight was heavier than those previously reported for the rearing on semi-synthetic diets, but the cocoon-shell ratio was lower than those of the ordinary cocoons, because of a relatively lower production of cocoon-shell itself (Table III). The length of the 5th-instar period was relatively shortened, and this is considered to be a main cause of the relative decrease in the cocoon-shell weight in the rearing, on semi-synthetic diets.
    Some of the larvae were unable to shed off the old cuticle normally at pupation or became larval-pupal intermediates, although they spun cocoons normally. In this connection, a brief discussion was made as to the composition of the semi-synthetic diet.
  • 荒井 基夫, 松永 国義, 村尾 沢夫
    1974 年 48 巻 7 号 p. 409-415
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ホスホリパーゼC生産菌を土壌中より分取し,その分類学的位置を検討した結果,Pseudomonas schuylkilliensisに属することを明らかにした.本薄の生産するボスホリパーゼCを硫安塩析,アルコール分画,DEAFセルロースおよびSephadexカラムクロマトグラフィー,Sephadex G-100ゲル濾過,アンホライン電気泳動で精製し,均一な標品を得た.本酵素の最適pHは7.5,最適温度は50°Cであり,pH7~10では38°C,30分の処理でも失活しなかった.本酵素はボスファチジルコリンをよく分解し,ついでボスファチジルエタノールアミンもよく分解した.
  • 田淵 武士, 原 誠五
    1974 年 48 巻 7 号 p. 417-424
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    C. lipolyticaの休止菌体を用いてクエン酸発酵機構,とくにクエン酸の前駆体オキザロ酢酸の補充路について調べ,つぎの結果を得た.
    (1) 反応初期に,休止菌体によるブドウ糖の消費速度は早く,同時に中和剤存在下でも多価アルコールの生成が認められたが,クエン酸の生産性はやや劣った.しかし,短時間後にクエン酸の生産は高まるとともに,多価アルコールの生産は停止した.
    (2) ブドウ糖で育った休止菌体でもn-パラフィンあるいは酢酸から短時間後にクエン酸類を生産し始めた.この場合,イソシトレートリアーゼならびにリンゴ酸合成酵素が誘導的に生成されていた.
    (3) 基質がブドウ糖の場合,フルオロ酢酸を比較的高濃度に加えるとクエン酸がほぼ理論収率で生産された.これに対して,基質がn-パラフィンの場合には,クエン酸類の生産は若干抑制された.
    (4) 以上の結果から,オキザロ酢酸の補充路は,基質がブドウ糖の場合には(ホスホエノール)ピルビン酸への炭酸固定反応であり,基質がn-パラフィンあるいは酢酸の場合には,グリオキシル酸回路によるものであると推定された.
    (5) なお,アコニターゼ存在量の多いことが酵母のクエソ酸類発酵を特徴づけているものと推論された.
  • 高村 義親, 富岡 生郎, 副島 正美
    1974 年 48 巻 7 号 p. 425-430
    発行日: 1974年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1. Ps. avalis IAM 1177およびPs. fluorescens AT CC 11250を用いて,マロン酸脱炭酸酵素について検討した.
    2. 供試菌は培地中に著量の炭酸ガスを放出しながら,マロン酸を炭素源としてよく利用した.菌体にとり込まれたマロン酸の炭素は,他の菌体成分にくらべていちじるしく高く脂質区分に検出された.
    3. マロン酸脱炭酸酵素はマロン酸によって誘導されグルコースやリンゴ酸などの炭素源によって強く抑制された.また,メチルマロン酸およびエチルマロン酸にも弱い誘導作用が認められた.
    4. Ps. avalisから約16倍に部分精製した酵素標品では,マロン酸のほかにメチルマロン酸が基質となることが認められた.
    5. マロン酸を基質にしたときの反応生成物はアセチルCoAで,第一段反応生成物であるマロニルCoAはわずかにしかtrapされず,活性化反応と脱炭酸反応が同時的に進行した.
    6. 一方,メチルマロン酸を基質にしたとぎの反応生成物はメチルマロニルCoAで,活性化反応だけが進行し,脱炭酸を受けないことが認められた.
    7. ヒドロキシマロン酸は,活性化反応を拮抗的に阻害した.
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