アラバンを分解する酵素生産菌の検索を行い,保存菌および土壌から,強力菌として糸状菌,酵母,放線菌を分離した.本報では,
Rhodotorula flava IFO 0407,
Streptomyces sp. 003, Mold 092および
Aspergillusniger 5-16を選出し,これらの菌株が生産するアラバン分解酵素の粗酵素での諸性質を調べ,これらの酵素を,用いてsugar beet pulpからアラビノースを調製した.
1.
R. flava, St. sp., Mold 092および
Asp. nigerのアラバナーゼの反応の至適pHは各々2.5~3, 4.8~5.2, 3.5~4および3.4~3.9であり,また安定pHは各々2~5, 5~7, 2.5~6および2~6.5であった.さらに,反応の至適温度は各々65°C, 55°C, 50~55°Cおよび65°Cであり,また温度安定範囲は各々55°C, 40°C, 45°Cおよび55°C以下であり, 70°C, 3時間処理では,いずれの酵素も完全に失活した.
2. アラバン分解率は,試験したいずれの糸状菌でも約95%以上に達したが,
R. flavaは84%,
St. sp.では59%であった.さらにアラバン分解の主産物は,いずれの酵素でもアラビノースのみであり(その他少量のガラクトースが副生),オリゴ糖の存在は確認されなかった.
3. 酵素によるアラバンの完全糖化のためには,糸状菌起源の酵素が適当であり,これは基質濃度17%でも糖化は可能であって,また反応中に転移生成物は検出されなかった.
4. Sugar beet pulp 300g (anhydroarabinoseとして42.8g含有)から, Ca(OH)
2抽出したアラバンを, Mold 092および
Asp. nigerが生産したアラバナーゼで水解し,アラビノース粗結晶を各々24gおよび20g調製できた.
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