日本農芸化学会誌
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49 巻, 6 号
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  • 田中 英樹, 畑田 太美子, 北村 弘行
    1975 年 49 巻 6 号 p. 283-287
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    正常河川底質中における有機汚染に対する微生物の働きについて検討した.ここに得られた結果について要約すると,次のようになる.
    1) 河川水の汚染は底質汚染に直接影響を及ぼしており,堆積した有機物は生物学的浄化に強く影響を受けること,なかでも有機物の分解が微生物などの酵素活性に左右されることが推測された.
    2) 酵素活性の測定をsuccinic dehydrogenaseに注目し,それが関与して生成するフマル酸量としてとらえた.フマル酸が微生物などの酸素呼吸を表示するBOD値,細菌数と有意な相関を示した.
    3) 有機物の分解過程は生成フマル酸量の変化に追随しており,逆に酵素活性(ここではフマル酸)の測定から,有機物の生物酸化の速度が推定できると考えられる.
    4) 生成フマル酸量の測定が,間接的な微生物の酵素活性を表示する一因子であると考えられるが,このことは従来から論議されている河川汚濁状況の把握ばかりでなく,浄化能力を知る自安として使用できる可能性も示している.
  • 田中 英樹, 畑田 太美子, 北村 弘行
    1975 年 49 巻 6 号 p. 289-294
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    河川の浄化機能は生物学的作用に依存する面が強く,通常有機汚染の表示法も生物学的概念を取り込んだBODを使用している.しかし,この表示法が単なる河川の汚染状況をみているにすぎず,浄化機能に関する概念は入っていない.市川と加古川において,有機汚染,重金属,微生物について,種々浄化機能の面から検討した結果を述べてきたが,これを要約すると次のようになる.
    (1) 一般細菌は,両河川の各測定地点で底質の有機物量と対応した関係がみられたが,阻害物質が共存する場所では酢酸資化菌の減少が認められ,浄化作用に対する影響が考えられた.(2)銅を阻害因子と考えた場合, 2ppm程度の濃度で阻害を生じることが分った.市川上流部の高濃度に金属が堆積している地帯での微生物による正常な資化現象は,悪影響をうけているものといえよう.そこで,(3)河川浄化機能では微生物の有機物資化速度が酵素活性に依存していることから,各地点での酵素活性に関与していると考えられる生成フマル酸で表示する方法を用い,一方,河床堆積有機物の表示として全炭素含有量を用いて,両者の相関から順流河川での浄化機能の区分を行なった.(4)順流河川においては4つの区分に分類することができ,酢酸資化菌分布と,河川の浄化機能または汚染負荷の度合などが考察でき,河川浄化機能の状況をさらに具体的に検討することができるものと考えられた.
  • 日下 部功, 安井 恒男, 小林 達吉
    1975 年 49 巻 6 号 p. 295-305
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    アラバンを分解する酵素生産菌の検索を行い,保存菌および土壌から,強力菌として糸状菌,酵母,放線菌を分離した.本報では,Rhodotorula flava IFO 0407, Streptomyces sp. 003, Mold 092およびAspergillusniger 5-16を選出し,これらの菌株が生産するアラバン分解酵素の粗酵素での諸性質を調べ,これらの酵素を,用いてsugar beet pulpからアラビノースを調製した.
    1. R. flava, St. sp., Mold 092およびAsp. nigerのアラバナーゼの反応の至適pHは各々2.5~3, 4.8~5.2, 3.5~4および3.4~3.9であり,また安定pHは各々2~5, 5~7, 2.5~6および2~6.5であった.さらに,反応の至適温度は各々65°C, 55°C, 50~55°Cおよび65°Cであり,また温度安定範囲は各々55°C, 40°C, 45°Cおよび55°C以下であり, 70°C, 3時間処理では,いずれの酵素も完全に失活した.
    2. アラバン分解率は,試験したいずれの糸状菌でも約95%以上に達したが, R. flavaは84%, St. sp.では59%であった.さらにアラバン分解の主産物は,いずれの酵素でもアラビノースのみであり(その他少量のガラクトースが副生),オリゴ糖の存在は確認されなかった.
    3. 酵素によるアラバンの完全糖化のためには,糸状菌起源の酵素が適当であり,これは基質濃度17%でも糖化は可能であって,また反応中に転移生成物は検出されなかった.
    4. Sugar beet pulp 300g (anhydroarabinoseとして42.8g含有)から, Ca(OH)2抽出したアラバンを, Mold 092およびAsp. nigerが生産したアラバナーゼで水解し,アラビノース粗結晶を各々24gおよび20g調製できた.
  • 湯浅 克己, 石塚 啓子, 鏑木 進, 逆井 利夫
    1975 年 49 巻 6 号 p. 307-311
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    It was found that Aspergillus sojae was grown on the Czapek medium containing L-phenylalanine (pH 5.5) and the substance giving green color with ferric chloride was formed in the culture broth. This substance was extracted from the broth with ether and fractionated by silica-gel chromatography. The eluate with solvent (n-hexane: ether=9:1, v/v) was evaporated and crystallized from hot n-hexane.
    The properties of this crystal were as follows.
    1. Melting point of this acidic crystal was 147_??_148°C.
    2. Molecular weight was 164 by mass spectrometry.
    3. Mass spectra showed the presence of a benzene ring (m/e:91).
    4. Infra red spectra in KBr disk showed the presence of a hydroxy group (absorption:3475cm-1).
    5. The crystal was an unsaturated compound by Baeyer's test.
    6. The reaction with 2, 4-dinitrophenylhydrazine was not detected.
    7. One of the degradation products of the crystal by potassium permanganate was identified as benzoic acid.
    From above properties, the structure of the crystal was presumed as follow (A)._??_
    And the reduction product of the crystal by alminum amalgam was identified as synthesized DL-phenyllactic acid by mp, UV and IR spectra.
  • 葛西 隆則, 佐野 実, 坂村 貞雄
    1975 年 49 巻 6 号 p. 313-316
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ソラマメ(Vicia faba L.)種子より3種のγ-グルダミルペプチド-γ-L-グルタミル-L-フェニルアラニンγ-L-グルタミル-L-チロシン,γ-グルタミルアスパラギン酸-を単離同定した. 3種のペプチドとも,含量はきわめて少量であった.これらは,ソラマメ種子からは初めて見出されたものである.
    マメ科に属する栽培作物を,種子のγ-グルタミルフエニルアラニンとγ-グルタミルチロシンの含量を指標にして3群に大別した.
  • 中島 宏, 鈴木 紘一, 今堀 和友
    1975 年 49 巻 6 号 p. 317-323
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    サーモライシンの活性におよぼす有機溶媒の影響を検討し,以下の結果をえた.
    サーモライシンの活性は,数種の有機溶媒の存在下で見かけ上著しく低下する. 25%の有機溶媒を含む緩衝液中で,基質としてカゼインを用いた場合.活性は有機溶媒を含まない場合に比べて6~40%に低下した.また,合成基質(Z-Gly-Phe-NH2)を用いた場合は, 3~13%に低下した.この有機溶媒による阻害はすべて拮抗型であって, Vmaxの値はほとんど変らなかった.ジメチルスルホキシドと酵素との結合の解離定数は, 2Mと求められた.
    CD,蛍光,UVスペクトルから,有機溶媒の存在下で酵素の構造は変化していないと考えられ,この阻害は有機溶媒による酵素の構造変化によるものではないと結論された.また,この阻害には,系の誘電率の変化による効果もほとんどないものと推察される.
    有機溶媒の添加で,カゼインに対する活性の抵下は,合成基質に対する活性の低下より小さいことから,サーモライシンの基質結合部位にサブサイトが存在することが予想される.
  • 明生 誠一, 田淵 武士
    1975 年 49 巻 6 号 p. 325-329
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Candida tenuis IFO 1303株が, n-パラフィン混合物を含む純合成培地からd-anglyceric acidを生産する事実を見出した.その変異株No. 61によって,この酸は窒素源濃度が比較的高い場合に,仕込みn-パラフィン当り約25%の收率で生成された.
  • 橋詰 和宗, 渡辺 篤二
    1975 年 49 巻 6 号 p. 331-333
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    To elucidate the effect of acid or alkaline treatment of soybean 7 S and 11S protein, changes of disc electrophoretic composition and gel forming capability before and after the treatment were discussed.
    Compared with 7 S, 11 S protein is more sensitive to these treatments. 7 S protein is able to form soft gel by glucono-delta-lactone before or after the treatment. But 11 S protein which cannot form gel before treatment became able to form hard gel after the treatment.
    These facts suggest that the changes of the proteins accounts for the formation of gel by gulcono-delta-lactone.
  • 1975 年 49 巻 6 号 p. N58
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1975 年 49 巻 6 号 p. e1
    発行日: 1975年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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