日本農芸化学会誌
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50 巻, 10 号
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  • 宮辺 豊紀, 森川 康文
    1976 年 50 巻 10 号 p. 447-454
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)セファデックスG-150のゲル濾過により,水を溶媒として,カゼインミセル,乳清蛋白質および遊離電解質と分子の小さい窒素化合物の3つのピークに分離することができたが,カゼインミセルのピークの部分は純粋に単離されたことが,ポリアクリルアミドゲルのディスク電気泳動法により確認された.
    (2)ゲル濾過の際に,ミセルのカルボキシル基に結合するカリウム,くえん酸,ナトウムおよびマグネシウムの各イオンは,それぞれ100%, 100%, 91%および50%だけ遊離した.エステルりんは,全く遊離しなかった.
    (3)カルシウムとエステルりんの各イオンは,ミセルから遊離しにくく,コロイド性りん酸カルシウムとして,約37%が遊離した.すなわち,ミセル中のこの塩の部分は,約63%のイオン結合層と約37%の吸着層の2層の形で存在するものと考えられた.
    (4) G-150ミセルとCPFミセル(コロイド性りん酸カルシウム除去ミセル)を牛乳で透析して,ミセルへのミネラルイオンの可逆性(再構成)について比較検討した結果,ともに,コロイド性りん酸カルシウムは膜を通して侵入しないので,カルシウムと無機りんの可逆性は低かったが,カリウム,ナトリウム,マグネシウムおよびくえん酸の可逆性は顕著で,約74~153%を示した.カルシウムは,両ミセルともに約28~29%可逆したが,無機りんはG-150ミセルで約74%, CPFミセルで約16%可逆し, CPFミセルへの可逆量が著しく低かった.これは, CPFミセルのカルボキシル基からコロイド性りん酸カルシウムが除去されているので,このカルボキシル基が他の基群とイオン結合あるいは水素結合したことによるものと推察された.
  • 岡 智, 佐藤 信
    1976 年 50 巻 10 号 p. 455-461
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    清酒からグルコシド様成分を結晶として単離し,これをエチルα-D-グルコシド(α-EG)と同定した.市販清酒25点について,ガスーリキドクロマトグラフィーによる分析を行なって, α-EG含量0.24~0.71g/l00mlの値をえて, α-EGが清酒の恒常成分であることを明らかにした.さらに,合成α-EGを用いて行なった呈味特性の検定によって,これが速効性の甘味と,遅効性で温和な苦味の両面をもつ呈味性成分であることを明らかにした.甘味および苦味に対する呈味閾値は,それぞれ1.2g/100mlおよび0.063g/100mlと測定された.清酒中のα-EG含量は,この苦味閾値の数倍におよぶので,清酒の風味構成において, α-EGは苦味および濃厚味に関する1つの因子となっている可能性が認められた.
  • 岡 智, 岩野 君夫, 布川 弥太郎
    1976 年 50 巻 10 号 p. 463-468
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    コウジ仕込のモロミでは,清酒の恒常糖質成分であるエチルα-D-グルコシド(α-EG)が顕著に生成するにもかかわらず,酵素仕込ではこれがほとんど生成しなかった.また,コウジ抽出液およびこれを部分精製したコウジ酵素液中でも,エタノールの存在下,種々重合度のα-1, 4-グルカンから,モロミ中と同様に, α-EGが顕著に生成したが,糖基質がグルコースの場合には,まったく生成しなかった.これらの結果から,清酒中のα-EGは,コウジ菌が生産する一種のトランスグルコシダーゼに触媒される,モロミ中における,マルトオリゴ糖やデキストリン成分からのエタノールをアクセプターとする糖転移反応の反応生成物であって,コウジ菌や酵母など醸造微生物の代謝生産物ではないことが明らかになった.なお,酵素仕込でα-アミラーゼ源として用いたコウジ菌起源のタカジアスターゼにもα-EG生成酵素活性が認められたが,その使用量がきわめて少なく,またグルコアミラーゼ源として用いたRhizopus delemar起源の酵素剤には, α-EG生成活性がまったく認められないので,酵素仕込では,モロミ中のα-EG生成活性がきわめて低く,このためにα-EGの生成がほとんど認められないものと考えられた.
  • 佐野 春樹, 小野 輝夫, 山崎 恵, 今井 陽
    1976 年 50 巻 10 号 p. 469-473
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The partially purified NADPH-cytochrome c reductase from rat liver microsomes catalyzed the peroxidation of methyl-γ-linolenate in the presence of ferric ions, EDTA and NADPH. Peroxidation of methyl-γ-linolenate and the generation of superoxide anions in the peroxidation system were suggested from the following observations:
    (1) The concentration of TBA reactants and the optical density at 234 nm of chloroform extracts in the assay mixtures increased proportionally with the incubation time. These elevations were completely inhibited by the addition of BHT or α-tocopherol.
    (2) The system catalyzed nitroblue tetrazolium reduction. This reaction did not occur in the absence of NADPH-cytochrome c reductase, NADPH or Tween 20.
    Among enzymatic peroxidation products from methyl-γ-linolenate, oxygenated products which contained oxygen atom at C-6 or C-13 position were identified from these hydrogenated trimethylsilyl derivatives using gas chromatography and mass spectrometry.
  • 山口 雄三, 折谷 隆之, 田島 昇, 小松 昭, 諸江 辰男
    1976 年 50 巻 10 号 p. 475-480
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1. dl-メンチルアセテートを加水分解する微生物のスクリーニングを行なったところ,細菌,酵母,糸状菌のそれぞれ多教の微生物が活性を示した.
    2.加水分解は,一部の例外を除いてl体優先の不斉加水分解であったが,得られるメントールの光学純度は微生物の種類によって異なっていた.
    3.エステルの構成脂肪酸の炭素数が増加すると,得られるlメントールの光学純度は低下する傾向にある.
    4.メントールの異性体の中では,イソメントールエステルが不斉加水分解を受けてl-イソメントールを遊離したが,イソメソトールに対する活性は,微生物の種類によって異なっており,細菌類は活性が高く,糸状菌類も中等度の活性を示したが,酵母類は全く活性を示さなかった.
    5. dl-シトロネリルアセテートの加水分解では,微生物の種類に関係なく光学選択性は認あられなかった.
  • 山下 昌之, 佐々木 正己, 浜田 小弥太, 上野 逸夫
    1976 年 50 巻 10 号 p. 481-487
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1. E. coli培養上澄液の限外濾液および透析内液中のL. bifidus増殖活性物質の分離を行なった.
    2.限外濾液中から活性物質として,アンモニア,カダベリン,ヒスタミンを検出した.活性のほとんどはアンモニアに由来するが,その他のアミンにも弱い活性が認められた.各物質の培地中の濃度は,それぞれ15mg%, 4mg%, 62mg%であった.このほかに,アグマチン, γ-アミノ酪酸,モノエタノールアミンなども見出されたが,これらの活性はほとんど認められなかった.
    3.透析内液中の活性物質を遠心分離法により精製し,糖蛋白質と推定される活性画分を得た.この画分には,ヘキソース40%,蛋白質23%,,ヘキソサミン4.6%,酢酸5.0%,その他少量のリン酸と脂肪酸を含んでいることがわかった.
    この画分以外にも,活性の強い数画分が少量ずつ得られたが,構成糖の種類が同じであったことから,性質の似た画分と推定された.
  • 檜作 進, 久塚 智明
    1976 年 50 巻 10 号 p. 489-494
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1. 小麦でんぷんを0.726N塩酸を用いて100°Cで加水分解し,経時的に生成するリン化合物を分析し,でんぷん中にグリセリン-リン酸の誘導体(グリセロリン脂質と見なされる)として存在するリン(Pg)の定量条件を検討した.その結果, 90分間加水分解し,遊離するグリセリン-リン酸をアルカリホスファターゼで分解し,生成するグリセリンを測定し,酸分解によって分解する量を補正することによって, Pgの量を定量することが可能であると結論した.
    2.上記の方法を実験室調製の小麦,市販の小麦,市販のトウモロコシ,市販の米,実験室調製の米などに適用し, Pgの量を測定した結果,それぞれ全リン含量の99.9%, 90.8%, 69.8%, 74.9%, 62.7%であった.ジャガイモ,サツマイモ,クズ,モチ米,モチトウモロコシのでんぷんでは, Pgは検出されなかった.
    3.小麦でんぷんや他の穀類でんぷん中に, 0.726N塩酸, 100°Cで60分以内の処理で加水分解される酸に,不安定な未知のリンの存在が示唆された.
  • ペントース経由でフルフラール化し比色定量する方法
    長尾 稔, 鈴木 町子, 丸山 峰夫, 刈米 和夫
    1976 年 50 巻 10 号 p. 495-499
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ホウ酸とカルシウム共存下にグルコン酸を定量することの必要性に端を発し,検討を重ねた結果,ヘキソン酸類をアルドペントースを経てフルフラールに導き,比色定量する方法を確立した.
    本定量法は感度的にもすぐれており,α-オキシ酸構造と炭素数の2点において,特異性向上を織り込んである.
    実際上は,ヘキスロン酸以外には妨害されることなく,天然物や食品中のヘキソン酸類の検出定量法として,広く適用されることが期待できる.
  • 山口 雄三, 小松 昭, 諸江 辰男
    1976 年 50 巻 10 号 p. 501-503
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Stereospecificities of microorganisms towards the steric isomers of menthyl acetate and the effect of emulsification of substrates on the rates of hydrolysis were examined. The cells of Rhodotorula mucilaginosa and Hansenula anomala, which had the highest specificity, were ruptured by ultrasonic treatment, and the specificity of the cell-free extracts were compared with that of intact cells. No difference in stereospecificity was observed, and this result indicates that the differences in the specificities of microorganisms correspond directly with the differences in each ester hydrolase.
  • 酒田 和彦, 末光 力作, 豊巻 芳男, 吉川 太郎, 浮田 悦治, 横野 亘
    1976 年 50 巻 10 号 p. 505-507
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Engineering, Doshisha University, Non-volatile acidic and neutral parts of dent corn silage were examined. In non-volatile acidic part β-phenyllactic acid, caprylic acid, 3-methoxy-4-hydroxybenzoic acid, cinnamic acid, o-hydroxyphenylpropionic acid and 3-methoxy-4-hydroxy-phenyl-propionic acid were identified. In non-volatile neutral part cetyl palmitate and cetyl linolate were identified.
  • 1976 年 50 巻 10 号 p. e1
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 佐野 孝之輔
    1976 年 50 巻 10 号 p. R201-R208
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 倉田 忠男
    1976 年 50 巻 10 号 p. R209-R216
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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