日本農芸化学会誌
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50 巻, 2 号
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  • 泉本 勝利
    1976 年 50 巻 2 号 p. 55-59
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    筋肉中のヘム色素濃度およびその誘導形態の割合を測定するための従来の測定法を種々検討後, K/S関数を用いる直接分析法を案出した.
    まず,筋肉中のヘマチン濃度Ch (ppm)は,ヘム色素のメト型が任意の割合mで含まれるときの525nmの吸収係数/散乱係数の比, K/S525(m),から次の式で求められる.
    Ch=34.13・K/S525(m)-14.06
    次に,筋肉中のヘム色素のメト型の割合mP(K/S)関数で導かれる値を変数とする1次式で求められる.
    K/S575(m)-0.412/K/S525(m)-0.412
    m=-1.302・P(K/S)+1.674
    本法を用いて,筋肉中のメト型ヘム色素還元能を調べたところ,この還元能は嫌気的条件下で強く発現持続するが,通気的条件下ではほとんど発現しなかった.
  • 山下 春雄, 倉田 茂, 黒沢 雄一郎
    1976 年 50 巻 2 号 p. 61-65
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    F. liniをprogesterone,17 α-hydroxyprogesterone, 4-androstene-3, 17-dioneおよびtestosteroneに作用させ, 11α-hydroxyprogesterone, 11α, 17α-dihydroxyprogesterone, 11α-hydroxy-4-androstene-3, 17-dioneおよび11α-hydroxytestosteroneを得た.
  • 五十嵐 喜治, 阪本 康夫, 保井 忠彦
    1976 年 50 巻 2 号 p. 67-75
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    赤クローバーほか牧草類,青刈作物を天日乾燥すると,概してたん白質の消化率が低下し,またたん白質の溶性減少,分離したたん白質の窒素含量の低下などがある.これらの原因を明らかにする目的で,本実験を行なった.赤クローバー葉を0日(凍結乾燥), 1, 3, 5, 10日間天日乾燥し,その成分変化を経時的に測定するとともに, pH 8.0ホウ酸緩衝液溶性部をゲル濾過して得られたたん白質区分と,この溶性部より分離したたん白質,また直接0.2%NaOH性60%熱エタノール溶性部より分離した全葉たん白質について,その成分を経時的に測定した.また,分離たん白質のトリプシンによる消化率と,有効性リジン含量を測定した.さらには,消化率低下の一因となっていると思われるたん白質の随伴物質の検索を行ない,これらの関連性について論議した.
    1.赤クローバー葉の天日乾燥で量その水分減少は1日目に顕著におこり, 2日目までにほぼ完了するものと考えられた.全窒素は変動せず,たん白態窒素は1日で減少し,逆にアミノ態窒素は1日で増加した. 3日以降は,いずれも一定していた. pH 8.0ホウ酸緩衝液溶性窒素は1日で急激に増加したが,以降は大きな変動はなかった.また,そのたん白態窒素は3日目まで減少したが,以降一定していた.全糖,可溶性糖類,遊離の直接還元糖も1日で急激に減少し,以降,直接還元糖は若干増加の傾向にあったが大きな変動はなかった.全フェノールとコーヒー酸誘導体は天日乾燥中,経時的に減少した. pH 8.0ホウ酸緩衝液溶性部をゲル濾過して得られたたん白質区分は天日乾燥により,糖量,フェノール化合物量が増加し,特に糖の増加が著しかった.
    2. pH 8.0ホウ酸緩衝液溶性部より分離したたん白質の窒素含量は概して低いが,生葉よりのものに比し,天日乾燥5, 10日のものは,いっそう低かった.糖含量は経時的に増加し,灰分も天日乾燥で増加した.たん白質の有効性リジン含量は6.0%で,天日乾燥1日で5.2%に減少した.そのトリプシンの人工消化率は, 88.1%から経時的に低下した. 0.2% NaOH性60%熱エタノール可溶部より分離したたん白質の窒素含量は, 13.2%から天日乾燥10日で10.3%に,有効性リジン含量は5.1%から3.4%に,トリプシンの人工消化率は83.7%から44.6%に著しく低下した.
    3.分離したたん白質のいずれにも構成糖として,グルコース,フラクトース,ガラクトース,アラビノースが確認され,グルコースとガラクトースが多かった.フェノール化合物として,プロトカテキュン酸が同定確認された.天日乾燥0日の試料よりpH 8.0ホウ酸緩衝液で抽出し,分離したたん白質にはケルセチンも検出された.これらたん白質に随伴してくる糖類とフェノール化合物の由来について若干論議した.
  • 山辺 倫, 伊賀上 郁夫, 倉沢 文夫
    1976 年 50 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    水稲種実の種々の生理的過程,すなわち乳熟期,完熟期,発芽期,完熟期種実胚および幼葉について,酸性ホスファターゼ活性の変化をイオン交換セルロースクロマトグラフィー,セファデックスG-200によるゲル濾過あるいはディスク電気泳動によって調べた.
    (1)粒当りの各過程種実の活性は,用いたリン酸エステルのいずれに対しても,乳熟期がもっとも高く,完熟,発芽期の順に減少した.また,いずれもp-ニトロフェニルリン酸,ピロリン酸, α-ナフチルリン酸などに対する活性が高かった.タンパク当りの比活性は乳熟,発芽期ではほぼ同じで,完熟期ではその1/2~1/3であった.また完熟期種実では,生体重当り糠層および胚にもっとも活性が高かった.
    (2) DEAE-セルロースクロマトグラフィーにおける活性パターンは,非吸着部(I)と吸着,溶離部(II, III)の3画分に分けられる.乳熟期種実では大部分がIで,完熟期種実胚,糠層ではIは減少し, II, IIIが増加した.一方発芽期種実,幼葉ではI, IIが少なく大部分IIIであった. IをさらにCM-セルロースクロマトグラフィーで分画すると, 3活性画分(Ia, Ib, Ic)に分けられた.乳熟期種実ではほとんどIbで,完熟期種実胚,糠層ではIa, Icが増加した.一方発芽期種実,幼葉ではIcが著しく増加した.
    (3)各過程における酵素画分の,セファデックスG-200ゲル濾過による推定分子量は約6万, 8~10万, 11~12万および20~22万の4グループに分けられた.大部分の画分は8~10万を示したが, I画分から得られた各画分には種々の分子量のものが存在し,また生理過程によっても差異がみられた.完熟期種実胚では, 4グループのすべてが認められた.
    (4)各種実抽出液はディスク電気泳動によって, pH 9.4ゲルの場合, 4個の活性バンドに分離されたが,そのうち2個は乳熟,完熟,発芽期の順に減少し,他の2個は各過程を通じてあまり変化がなかった.
    完熟期種実(糠層)および発芽期種実における各酵素画分の活性バンドの構成は互いに類似したが,乳熟期種実の画分は活性バンド数が多く,かつ易動度の大きいものが認められた.
  • 樹皮および材について
    亀岡 弘, 宮沢 三雄, 加藤 浩
    1976 年 50 巻 2 号 p. 85-90
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カンランの樹皮および心材の精油成分を明らかにするために,中華民国台湾省桃園県に生育するものを水蒸気蒸留し,化学的処理を行なって,カラムクロマト, GLC分取などにより単離し, GLCおよびIR, NMR, MSスペクトルなどを用いて各成分の検索を行った.その結果はTable IIに示した.セスキテルペン化合物においては,おもにcadinaneおよびmuurolane骨核を有する化合物が確認され,他のCanarium属植物においても,類似の化合物の存在の報告は少なく,本精油の特徴をなすものと考えられる.
  • 杉浦 正昭, 新保 外志夫
    1976 年 50 巻 2 号 p. 91-98
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    リン脂質の薄膜,およびリン脂質とオレイルアルコールからなる溶液膜を形成したミルポアフィルターの膜電位を,イオン透過担体の一種であるバリノマイシンあるいはグラミシジンDの存在下で,塩化カリウムと塩化ナトリウムの混合溶液中において測定した.そして,得られた結果より,これらの脂質膜におけるナトリウムイオンに対するカリウムイオンの選択性を検討した.用いられたリン脂質(あるいはその類似化合物)は,ホスファチジルコリン(PC),ホスファチジルエタノールアミン(PE),ホスファチジルセリン(PS),ジオレイルホスフェート(DOP),ジステアリルホスファイト(DSP)である.
    PCあるいはDOPの脂質薄膜を含むフィルターの透過比は,イオン透過担体が存在する場合, PK/PNa=1.7~1.9である.溶液膜の場合,透過比は,一般に薄膜の場合より高くなる.イオン透過担体の存在しない溶液膜においても,ある程度の選択性が観測される.バリノマイシンを加えると,選択性はかなり上昇するが,一方,グラミシジンDでは,あまり上昇しない.フィルターに含まれる脂質溶液量を減少させると,イオン透過担体を加えたときのフィルターの透過比は,一般に低下する.
  • 青木 孝良, 今村 経明
    1976 年 50 巻 2 号 p. 99-104
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    前報に引き続いて,濃縮乳を高温で加熱したときに起きるカゼインミセルの変化を明らかにするために, 135~140°Cで15秒間加熱処理した濃縮WPFMに尿素, EDTA,酸あるいはアルカリを添加して,遊離する可溶性カゼイン量およびその組成を調べた.それを未加熱試料のそれと比較し考察した.
    (1) 1.25Mまでの尿素添加により遊離する可溶性カゼイン量は,加熱処理濃縮WPFMの方が未加熱のものより著しく多かった.そのカゼイン組成は,加熱および未加熱試料間でほとんど差がなかった.
    (2) 15mMまでのEDTAの添加により遊離する可溶性カゼイン量は,加熱および未加熱試料間で差がわずかであった.
    (3) pHを上げたとき遊離する可溶性カゼイン量は,加熱処理濃縮WPFMの方が未加熱のものより著しく多かった.
    (4)これらの結果から,濃縮乳の高温加熱によってコロイド状リン酸カルシウムのカゼイン結合能が弱まるものと考えられた.
  • 増田 宏志, 菅原 四郎
    1976 年 50 巻 2 号 p. 105-107
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    It was found that the saccharase bound to the cell wall of sugar beet root is a globulin-like protein, judging from the insolubility in water or sodium chloride solution less than 0.1M. Insolubilization of the enzyme protein by decreasing the concentration of sodium chloride resulted in partial inactivation, and the activity was partially restored by solubilization by treating the insolubilized protein with sodium chloride solution more than 0.2M.
  • 山川 祥秀, 後藤 昭二, 横塚 勇
    1976 年 50 巻 2 号 p. 109-112
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Cladosporium cladosporioides No. 9 produces a fragrant flavor like a ripe banana in culture medium. The formation of neutral fraction of aroma concen-trates has been studied in a synthetic medium with glucose as a sole carbon source. Neutral fraction of aroma concentrates in the ether: n-pentane (3:1) extract of culture broth were analyzed by both gas- and paper chromatographies. Following com-pounds were tentatively identified; methyl, ethyl, tert-butyl, isopropyl, n-propyl, isobutyl, n-butyl, isoamyl, n-amyl, n-heptyl, n-octyl and β-phenyl-ethyl alcohols, ethyl acetate, isopropyl acetate, ethyl isovalerate, ethyl lactate, isobutyl acetate, isoamyl acetate, ethyl n-valerate, isobutyl n-butyrate, ethyl n-caproate, ethyl n-capryate, isoamyl n-butyrate, ethyl laurate, β-phenylethyl acetate and acetalde-hyde.
  • 沢村 正義, 下田 満哉, 筬島 豊
    1976 年 50 巻 2 号 p. 113-114
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    A new method for determination of dimethyl sulfide was established. Thus dimethyl sulfide formed by heating Satsuma mandarin juices was trapped in the silica gel column and determined quantitatively by gas-liquid chromatography: The column was packed with a mixture of 0.5ml of conc. H2SO4 and 1.0g of silica gel. Dimethyl sulfide trapped in the column from juices (Fig. 1) was eluted with ice water and filled up to 25ml to make 2% H2SO4 solution. Five milliliters of the acidic solution and 8 μ1 of 5% t-butyl alcohol as an in-ternal standard were introduced into a 125ml Erlen-meyer flask and stoppered tightly, and incubated 20min at 25°C. The head space gas was injected into the gas-liquid chromatograph. The calibration curve gave a linear relationship between 30 and 150 ppb (Fig. 2).
  • 高橋 信孝
    1976 年 50 巻 2 号 p. R89-R95
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 山崎 真狩
    1976 年 50 巻 2 号 p. R97-R103
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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