日本農芸化学会誌
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50 巻, 5 号
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  • 村上 浩紀, 白畑 実隆, 山田 耕路, 大村 浩久
    1976 年 50 巻 5 号 p. 193-198
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Cu2+共存下におけるアドレナリンおよびノルアドレナリンなどの芳香族レダクトンの酸化に及ぼすNAD+およびNADHの効果を検討した.
    1. NAD+はそのAMP部分により,ニコチンアミド部分の還元を伴うことなく,アドレナリンの酸化を強く促進した.また,NADHはCu2+により生成した酸化型アドレナリンを還元し,その結果生じたNAD+はアドナリンの酸化をさらに促進した.
    2. NAD+の促進効果は, pH 5.0ではNAD+濃度に依存して増加した. pH 5.9では, 0.5mMのNAD+濃度までは同様に増加したが,それ以上の濃度では促進作用はむしろ弱まった.
    3. NAD+の促進作用は5'-AMPの作用と類似しており,アデニンのそれとは異なっていた.一方, 5'-ADPはアドレナリンの酸化反応に対し,弱い抑制作用を示した.さらに, 5'-ATPは著しい抑制効果を有した.また, 1-メチルニコチンアミド(1-MNA)は弱い酸化促進作用を示したが, NAD+の促進効果は5'-AMPおよび1-MNAの効果の和よりも弱かった.
    4. Cu2+共存下でのノルアドレナリンによるNADHの酸化は,アデニンあるいはシトシンの共存により著しく強められた.特に,アデニンは初期反応においてNADHを急速に酸化したが,その後は逆にNADHの酸化を抑制した.
    以上の結果から, NADHがCu2+共存下で芳香族レダクトンの酸化還元反応に対して,ニコチンアミド部分の還元作用, AMP部分の酸化促進作用と互いに逆の作用を持った“bifunctional”な機能を有することが明らかとなった.
  • (1) 前処理によるキシランの易分解化
    日下部 功, 安井 恒男, 小林 達吉
    1976 年 50 巻 5 号 p. 199-208
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    キシラン含有天然物から, Streptomyces sp. E-86のキシラナーゼでキシランを加水分解柚出することを目的とし,多種類の試料に対する前処理の効果,水解抽出液の糖組成, corncobsからキシロースの調製法などについて実験を行ない,次の結果を得た.
    1.無処理の天然物キシランに対しても,酵素はある程度作用したが,希アルカリ溶液や高温湿熱による前処理は,キシランを易分解化し,酵素によるキシランの水解抽出率は著しく高められた.さらに,アルカリによる前処理は,多種類の試料に対して有効であった.
    2.水解抽出液の構成糖(酸水解後)は,キシロースが大部分であったが,そのほかにアラビノースやグルコースなども生成された.しかし,精製酵素による実験では,グルコース量は極端に減少した.また,セルラーゼ作用のないキシラナーゼでも,キシランを水解抽出することが可能であった.さらに,キシロース/アラビノース比は,天然物キシランのその比と大差は認められなかった.
    3. Corncobsの水解抽出液は,キシロースとキシロビオースが主産物であったが,数種のアラビノースを含むキシロオリゴ糖も含まれていた.
    4. Corncobs 1 kg (ペントサンとして333g含有)を5% NH3で前処理し,水洗後,酵素でキシランを水解抽出した.さらに希酸水解を行ない,精製・濃縮し,結晶キシロース189gを得た.
  • (2) Corncobsに対する前処理条件の検討
    日下部 功, 安井 恒男, 小林 達吉
    1976 年 50 巻 5 号 p. 209-215
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Streptomyces sp. E-86のキシラナーゼで, corncobsからキシランを加水分解抽出する目的で, NaOH溶液による前処理条件の検討を行ない,次の結果を得た.
    1. NaOHの濃度は,前処理液中に,ペントサンがあまり溶出しない程度の濃度で, 1~2.5%が適当であった.
    2. 2% NaOH液による前処理時間は, 30°Cでは約6時間, 50°Cでは約1時間, 70°Cでは20分で十分であり,これらの条件で前処理した後,酵素による水解抽出率は,使用した試料の全ペントサンに対し92~94%であった.また,前処理後の固形分および水解抽出後の糖化残澄の収率は,対原料,各々約80%および40%であった.
    3.前処理で,乾物corncobs 100g当り,約7gのNaOHが消費された.従って, corncobs 100gを前処理するには, 7g以上のNaOHが必要である.
    4.前処理後のcorncobsキシランの水解抽出速度と,広葉樹から抽出された不溶性キシランの可溶化速度とは,ほぼ同程度であった.
  • 今井 紘
    1976 年 50 巻 5 号 p. 217-220
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Serratia marcescensは,クエン酸,イソクエン酸, cis-アコニット酸, transアコニット酸を利用し,これらトリカルボン酸に関して,少なくとも3種類の誘導的なトリカルボン酸膜透過系を所有することが明らかになった.すなわち, (1)クエン酸,イソクエン酸,またはcis-アコニット酸によって誘導され,クエン酸,イソクエン酸を共通に透過する系. (2)クエン酸,イソクエン酸またはcis-アコニットによって誘導され, cis-アコニット酸を透過する系.この系は, pH 8.6で安定であり, Mg2+に依存している. (3) trans-アコニット酸またはcis-アニコット酸で誘導され, trans-アコ蟹ニット酸, cis-アコニット酸,クエン酸,イソクエン酸を共通に透過する系.この系は, pH 7.0では安定で, pH 8.6では不安定である.
  • 今井 紘
    1976 年 50 巻 5 号 p. 221-224
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Serratia marcescensのトリカルボン酸膜透過変異株を分離し,その性質についてしらベた.すでに報告した3種類のトリカルボン酸膜透過系の存在が確認された.さらに,クエン酸で誘導され,クエン酸を透過する第4のトリカルボン酸膜透過系の存在が明らかになった.
  • 久留島 通俊, 北原 覚雄
    1976 年 50 巻 5 号 p. 225-230
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1. Asp. cinnamomeus IAM 2040株を用い,まず耐酸性α-アミラーゼの生成増強を自的として,紫外線による変異株の誘起と選択を7回繰返し行ない,処理8回目からは生デン粉糖化能生成増強として紫外線処理を3回繰返し行って,親株の18倍の生デン粉糖化能をもつ変異株No. R 15532株を取得した.
    2.この研究で得られた各変異株の菌学的性質を比較検討して,紫外線処理が重なるにつれて変異株の生育速度,は処理ごとに鈍くなった.しかし処理9回で取得した変異株は,逆に生育速度を増す傾向に変った.菌叢の色調は,処理ごとに親株の肉桂色から白色へ,さらに濃橙色への変化がみられた.そして紫外線処理が重なるにつれて,変異株の生育最適pHは中性側に移行し,生育最適温度はいずれも30°Cで変らないが,生育への温度感受性が強くなった.
  • 鈴木 幸雄, 内田 絅
    1976 年 50 巻 5 号 p. 231-236
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    It was found that two new derivatives of inosine were formed from o-nitropheny 1-β-galactoside and inosine by crystalline β-galactosidase prepared from Escherichia coli. One of the new derivatives was isolated in crystalline form, and identified as inosine 2'(3')-β-galactoside from various data, viz., elemental analyses, UV, IR, and NMR absorption spectra, products by hydrolysis with acid and with β-galactosidase, oxidation with sodium metaperiodate, and acetylation.
  • 鈴木 幸雄, 内田 絅
    1976 年 50 巻 5 号 p. 237-242
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Two new derivatives of uridine were formed from o-nitropheny 1-β-galactoside and uridine by crystalline β-galactosidase prepared from Escherichia coli. One of the new derivatives was isolated in crystalline form, and identified as uridine 2'(3')-β-galactoside from various data, viz., elemental analyses, UV, IR, and NMR absorption spectra, products by hydrolysis with β-galactosidase and by acetylation, and oxidation with sodium metaperiodate. Another derivative, which was assumed to be uridine 5'-β-galactoside, was obtained as crystals of its hexaacetate by acetylation.
  • 滝口 泰之, 永幡 紀明, 島原 健三
    1976 年 50 巻 5 号 p. 243-244
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    New viscometric assay of chitinase was investigated using 6-O-hydroxypropyl-chitin (HPC) as a substrate. Compared with 6-O-(2-hydroxyethyl)-chitin (HEC) which has been used the usual substrate for chitinase, (1) HPC is far easier on preparation, and (2) HPC is essentially identical to HEC in point of viscometric sensitivity. It seems, therefore, HPC is able to be a good substrate for chitinase assay.
  • 小幡 斉, 鹿田 幸治, 徳山 泰
    1976 年 50 巻 5 号 p. 245-246
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Reductones were determined as trimethylsily (TMS) derivative by gas chromatography. The formation of the TMS derivative, in pyridine containing 1, 1, 1, 3, 3, 3-hexamethyldisilazane, occurs very rapidly at room temperature so that analysis can be made within a few minutes. The stationary phase was 15% SE-30 (on Chromosorb W 80_??_100 mesh) and column temperature was 220°C. Determination was carried out by the peak area ratio method, using dibutyl sebacate as the internal standard. Results obtained by gas chromatography (TCD) were in absolute accuracy.
  • 1976 年 50 巻 5 号 p. N64
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 丸山 芳治
    1976 年 50 巻 5 号 p. R121-R132
    発行日: 1976年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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