キシラン含有天然物から,
Streptomyces sp. E-86のキシラナーゼでキシランを加水分解柚出することを目的とし,多種類の試料に対する前処理の効果,水解抽出液の糖組成, corncobsからキシロースの調製法などについて実験を行ない,次の結果を得た.
1.無処理の天然物キシランに対しても,酵素はある程度作用したが,希アルカリ溶液や高温湿熱による前処理は,キシランを易分解化し,酵素によるキシランの水解抽出率は著しく高められた.さらに,アルカリによる前処理は,多種類の試料に対して有効であった.
2.水解抽出液の構成糖(酸水解後)は,キシロースが大部分であったが,そのほかにアラビノースやグルコースなども生成された.しかし,精製酵素による実験では,グルコース量は極端に減少した.また,セルラーゼ作用のないキシラナーゼでも,キシランを水解抽出することが可能であった.さらに,キシロース/アラビノース比は,天然物キシランのその比と大差は認められなかった.
3. Corncobsの水解抽出液は,キシロースとキシロビオースが主産物であったが,数種のアラビノースを含むキシロオリゴ糖も含まれていた.
4. Corncobs 1 kg (ペントサンとして333g含有)を5% NH
3で前処理し,水洗後,酵素でキシランを水解抽出した.さらに希酸水解を行ない,精製・濃縮し,結晶キシロース189gを得た.
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