日本農芸化学会誌
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51 巻, 12 号
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  • 松井 年行
    1977 年 51 巻 12 号 p. 663-668
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    和三盆糖廃糖蜜中の非透析性色素から得られた褐変色素を精製して次の結果を得た.
    1) 透析,DEAE-celluloseカラムクロマトグラフィーで9分画の色素F1~F9に分画し,さらにSephadex G-75によってタンパク質,多糖類を除去して精製した.メラノイジンはSephadex G-75で再クロマトグラフィーの結果,フェノール-硫酸,Lowry-Folin,および440nmの比色の結果,ほぼ同一クロマドパダーンを示したことから精製は十分であると考えられた.なおF2~F8はレダクトン陰性であった.
    2) 和三盆糖廃糖蜜め各色素F1~F8を塩酸で加水分解するとグルコース,フラクトース,キシローズ,アラビノース,ガラククトースを得たが,廃糖蜜中の遊離糖はシュークロース,グルコース,フラクトースであった.和三盆糖廃糖蜜の各色素F1~F8の塩酸加水分解で得られたアミノ酸は含量の多い順にグルタミン,アンモニア,アスパラギン酸で,廃糖蜜中の遊離アミノ酸は,アスパラギン,アスパラギン酸,アラニンでそのパターンはアミノ酸,糖ともかなり相違したものとなった.
    3) FITC-Dextran 3, Dextran T-10, Dextran T-20を標準物質としてSephadex G-75により測定した廃糖蜜の各色素F1~F8の推定分子量は,F1=9000, F6=14,000, F2=16,000, F4=18,500, F5=19,500, F3, F8=24,000, F7=29,000,となった.
    4) IR, ESRの吸収パターンはF2~F.8ともよく似ていた.醤油等のメラノイジンパターンともほぼ同じであった.
    5) log moleculer wefightとlog 0.33%1cmE440nmの間にほぼ直線関係が見られたが,分子量の大きいものが必ずしも濃色とならなかった.
  • 日下部 功, 安井 恒男, 小林 達吉
    1977 年 51 巻 12 号 p. 669-679
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    コーンコブアラビノキシランを放線菌キシラナーゼで加水分解し,水解液から酵母でキシロースとキシロビオースを資化せしめて除去し,残存するオリゴ糖を種々のクロマトグラフィーで単離し,アラビノースとキシロースから成る7種類のオリゴ糖を得た.このうち糖組成が単一と思われる3種のオリゴ糖の構造を推定した.
    1. キシラナーゼによるコーンコブキシランの分解産物はキシロースとキシロビオースが主体であったが,arahinoxylo-oligosaccharidesも著量に生成され,分解液の糖の平均重合度は約1.7であった.この分解液にCandida guilliermondiiIFO 0566を培養してキシロースとキシロビオースを除去することができた.除去後の糖の平均重合度は約3.8で,糖組成はarabinoxylo-oligosaccharidesのみから成っていた.
    2. 酵母培養後の糖液を炭末クロマトグラフィー,次いで調製用ペーパークロマトグラフィーで処理して,7種類のオリゴ糖を得た.このうち単一と思われる3種のオリゴ糖,すなわちA1,X1-I,A1X2-IおよびA1,X3-Iの構造を検討した.A1X1-Iは0-α-L-arabinofuranosyl-(1→3)-D-xylopyranose, A1X2-IはO-α-L-arabino-furanosyl)-(1→3)-O-β-D-xylopyranosyl-(1→4)-D)-xy-lopyranose,A1X3-IはO-β-D-xylopyranosyl-(1→2)-O-α-L-arabinofuranosyl-(1→3)-O-β-D-xylopyranos-yl-(1→4)-D-xylopyranoseと推定された.
  • 中村 豊彦, 中津 誠一郎
    1977 年 51 巻 12 号 p. 681-689
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    PenicilliumSP.-1株の生産する3種の細胞外イヌラーゼを精製分離し,その酵素的性質の検討を行い,次の結果を得た.
    (1) 3種のイヌラーゼは,これまで報告されている微生物からのイヌラーゼに比べて,イヌリン分解力の優れた酵素であった.
    (2) 各酵素はMn2+,Co2+により活性化され,Hg2+,Fe3+およびpCMBにより顕著な阻害が認められた.
    (3) 各酵素は,イヌリンを100%分解し,イヌリンに対する作用機作は,イヌリン分子のフルクトース末端からsirngle-chain mechanismで作用することが推定された.
    (4) 各酵素の推定分子量はP-I86,000, P-II 63,500, P-III 66,000であった.
    (5) イヌリンに対するKm値は,P-1で1.73×10-4M,P-IIで2.23×10-4M,P-IIIで1.57×10-4Mであった.
    終りにのぞみ,ご指導をいただいた九州大学農学部上田誠之助教授,およびバクテリアレバンをご恵与くださった福岡女子大学藤井久雄教授に深謝いたします.また実験の一部に協力した河合洋一氏に感謝します.なお,本研究の一部は,昭和45年度日本農芸化学会大会で報告した.
  • 小林 昭一, 貝沼 圭二, 鈴木 繁男
    1977 年 51 巻 12 号 p. 691-698
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) SDS添加によるα-CDの選択的調製法を検討した.馬鈴薯澱粉を予備糊化してmacerans酵素により液化し,オートクレーブしてSDSを基質に対して10%添加し,さらにmacerans酵素を加えて反応して総CD含量83%(α-CD:60%,β-CD:13%,分岐CD:10%)の消化液を得た.
    (2) 基質としてモチトウモロコシ澱粉を用いて,macerans酵素作用により生成する分岐デキストリン部分にさらにmacerans酵素とSDSを加え,G1~G6の枝をもつ分岐α-CDを分離調製した.
    (3) 基質としてHESおよびHEAを用い,SDSを添加して,ヒドロキシエチル1および2置換α-CDを調製した.主生成物は1置換体であった.
  • 藤田 真一, 中野 敏子, 藤田 安二
    1977 年 51 巻 12 号 p. 699-702
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Mentha rotundifalia(Linn.) Huds.の精油成分を詳細に検索した.
    (1) 精油の収油率は全草の0.14~0.27%である.
    (2) 精油の主成分はpiperitenone oxide (83.5~87.5%)であり,その他limonene (1.0~2.6%), pipe-ritenone (2.1~2.3%)のほか1%以下の微量成分多数を確認同定した.
    (3) 本精油中にはM.rotundifoliaの他の系統の主成分となるneoiso-isopulegol, piperitone oxide, 1, 2 epoxymenthyl acetateの微量の存在も確認できなかった.
  • 杉浦 正昭, 豊田 春和
    1977 年 51 巻 12 号 p. 703-708
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    β-グルコシダーゼを固定化したコラーゲン膜におけるp-ニトロフェニル-β-D-グルコピラノシド(NPG)め反応速度と透過速度を,分光光度法により測定した.β-グルコシダーゼーコラーゲン膜を,1%グルタルアルデヒドで30分間処理すると,その酵素活性は,未処理膜の場合より約70%高くなった.グルタルアルデヒド処理した膜の場合,膜の一方に加えられた基質(NPG)の大部分は,膜を透過する間に分解された.膜の一方の側に基質を添加したとき,反応生成物P-ニトロフェノールは,膜の両側に流出した.その際,基質を添加した側に,より多くの反応生成物が流出した.基質の拡散がFickの第二法則,酵素反応がMichaelis-Mentenの関係に従うと仮定して導かれた式を用い,実験データよりMichaelis定数Kmを計算すると,その値は,遊離酵素のそれと概略的に一致した.
  • 布村 伸武, 佐々木 正興, 浅尾 保夫, 横塚 保
    1977 年 51 巻 12 号 p. 709-711
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Japanese shoyu is divided into two main classes, genuine fermented shoyu and chemical shoyu which is prepared from chemical hydrolyzate of soybeans. About ninety samples of flavor concentrates of the two kinds of shoyu was quantitatively analyzed by use of gas chromatography (GC, liquid phase: LAC-2R-446), and it was found that two volatile components were by far larger in quantity in chemical shoyu than in genuine fermented one. The two components were identified as ethyl 4-oxovalerate and 4-pentanolide by means of combined gas chromatography mass spectrometry (GC-MS). In genuine fermented shoyu ethyl 4-oxovalerate was not detected by either GC or GC-MS method and 4-pentanolide was not contained or only a little even if contained. Consequently, chemical discrimination between genuine fermented and chemical shoyu might become easier and speedier by adopting this GC quantitative analysis of the two volatile components in comparison with the present popular analysis for detecting 4-oxovaleric acid which is proved to be contained abundantly in chemical shoyu. However, those two components are organoleptically considered not to contribute significantly to the characteristic flavor of chemical shoyu. Possible formation pathways of ethyl 4-oxovalerate and 4-pentanolide are also discussed.
  • 辻村 克良
    1977 年 51 巻 12 号 p. R141-R148
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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