日本農芸化学会誌
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51 巻, 8 号
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  • 津久井 亜紀夫, 桑野 和民, 三田村 敏男, 谷村 和八郎
    1977 年 51 巻 8 号 p. 471-476
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    粉末UBEから脱イオン水で抽出したアントシアニン色素を安定な鉛塩として保存した.この乾燥鉛塩から,3%塩酸メタノールで色素を抽出し,TLCで分離,精製して,3種の色素が単離された.これらの色素について,(1)可視部,紫外部の吸収スペクトルの測定,(2) 5%塩化アルミニューム・エタノール添加による最大吸収波長の移動,(3) 440 nmの吸光係数と可視部最大吸収波長の吸光係数との比率,(4) 1N塩酸および10%酢酸による加水分解,(5) 15%水酸化バリウムによる加水分解(6)部分加水分解等の結果力ら,この3種の色素は次のものであることが推定された.
    a) 青紫色のシアニジン-3-ゲンチオビオシド+p-クマール酸(42%)
    b) 赤紫色のマルビジン-3-ゲンチオビオシド-5-ラムノシド+p-クマール酸(35%)
    c) 赤色のマルビジン-3-ゲンチオビオシド-5-グルコシド+P-クマール酸(22%)
  • 北岡 正三郎, 細谷 圭助
    1977 年 51 巻 8 号 p. 477-482
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Euglena graciliszのGreen株およびBleached株を光照射下または暗黒下,異なった組成をもつ改変Hutner培地に培養した結果,Green株を光照射下,ブドウ糖1%,グルタミン酸ナトリウム1.5%を含む同培地に培養すれば細胞収量多く,細胞は高いタンパク質含量と低いパラミロン含量を示すことを明らかにした.4種の従属栄養および独立栄養培養によるE.gracilis細胞の一般化学組成とアミノ酸組成を分析し,培養条件による成分の変動を検討した.E. gracilisタンパク質のアミノ酸価は約80以上と高く,藻類,酵母と比較してすぐれた栄養価を有することを明らかにした.
  • 細谷 圭助, 北岡 正三郎
    1977 年 51 巻 8 号 p. 483-488
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    4種の従属栄養培養および独立栄養培養によって得たE. gracilis細胞の凍結乾燥品をペプシンとトリプシンによる人工消化実験に用いた.E. gracilis細胞はすべて高い人工消化率を示し,特に光照射下に従属栄養で培養したGreen株(GL細胞)は両酵素による高い消化率を示した.GL細胞を主とし,ネズミ飼育試験でユーグレナ・タンパク質の栄養価を求めたところ,真の消化率で僅かに劣ったが,PER,生物価,NPUにおいてGL細胞はカゼインに比肩しうる値を示し,すぐれた栄養価を持つタンパク質であることがわかった.熱エタノール処理したGL細胞は栄養価低く,貯蔵多糖をあらかじめ除去したGL細胞は無処理のGL細胞と変らない栄養価を示した.光照射下培養したBleached株細胞はGL細胞よりやや低い生物価を示した.
    ネズミ飼育試験は大阪市立環境科学研究所神戸保氏の,またューグレナ大量培養は当研究室中野長久博士の協力と助言を得た.厚く感謝する.本研究の費用の一部は文部省科学研究費に依った.記して謝意を表する.
  • 高木 茂明, 松上 道雄
    1977 年 51 巻 8 号 p. 489-495
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ホウレンソウのクロロプラストから精製したリポキシゲナーゼ標品を用いて,緑葉力ロチノイドの主要成分であるルテインによる酸素吸収活性阻害とルテイン褪色について検討した.
    (1) リポキシゲナーゼ活性はルテイソ添加によって約30%の活性阻害を受げ,いっぽうルテインは褪色する.その阻害様式は拮抗,非拮抗型のいずれでもないようである.無添加の場合のKm値は6.67×10-3となる.
    (2) 酸素吸収活性,ルテイン褪色活性はいずれもルテインの存在下でのみ過剰のリノール酸によって強く阻害される.これから活性中心近くの非極性部分にルテインが非特異的に結合してE-S複合体の生成を妨害しており,いっぽうでルテインは酸素キャリヤーとしてのリノール酸から酸素を受け取って槌色する.またその阻害度はルテイン量に比例して増大している.
    (3) リノール酸ヒドロパーオキシド生成量の吸収酸素量に対するモル比はルテインを添加した場合に1より小さくなり,その差はルテイン褪色に使われている.ルテインとリノール酸に対する結合酸素量をくらべるとルテインが見かけ上は優先的に酸化されている.
    (4) リノール酸ヒドロパーオキシドはルテイン褪色を阻害すること,またルテインが微量のリノール酸存在下で褪色することから,酸素キャリヤーとしてリノール酸パーオキシラジカルが考えられる.すなわち,非特異的に活性中心周辺に結合しているルテインは,パーオキシラジカルから酸素を受け取って褪色し,この反応はパーオキシラジカルのヒドロパーオキシドへの反応よりも優先的のようである,いっぽう,ルテインおよびその褪色生成物はリノール酸酸化を阻害しており,阻害度はルテイン褪色度に比例して増大する.
    これら反応系はクロロプラストに共存して相互にし合う機能を持つものと考えられる.
  • 坂口 孝司, 堀越 孝雄, 中島 暉
    1977 年 51 巻 8 号 p. 497-505
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    クロレラによる銅イオン濃縮の実態を明らかにするため,2,3の解析を行なった.
    (1) 銅イオンはクロレラ生育の直線増殖期に対してよりも,初期の生育過程(誘導期および対数期)に対して強い阻害作用を示した.
    (2) クロレラ生育に対する重金属イオンの毒性の強さをCu2+と対比した結果,Hg2+>Cu2+>Fe2+>Cd2+>Cr2+>Zn2+>Ni2+>Co2+>Mn2+の順になり,Cu2+はHg2+に次いで強い毒性を示した.
    (3) クロレラによる銅イオンの取り込み量は,銅イオンが施用された直後の120分間に急激に増加し,その後,時間が経過しても取り込み量はほとんど増加しなかった.
    (4) 培地中の銅イオンの量が多くなると,それに比例して取り込み量も増加することが認められた.
    (5) 単位藻体量当りの銅イオンの取り込み量は藻の濃度が薄い方が濃い方よりも大きかった.
    (6) Na+,K+,NH4+,Mg2+,Ca2+,Co2+,Zn2+Mn2+がCu2+と共存すると,クロレラの銅イオン取り込みは阻害され,その阻害効果は2価イオンの方が1価イオンより大きかった.
    (7) クロレラ体内に銅が多量取り込まれると,体内のカリウムは急速に溶出し,これとは逆に,ナトリウム含量は増加した.
    (8) ESRにより,クロレラ体内に取り込まれた銅の電子状態について解析した結果,藻体内に取り込まれた銅には2価の状態のものが存在し,また,培養開始4時間以後においては,藻体中の全銅量に対する2価銅の比率はほぼ一定になっていることが認められた.
  • 中島 暉, 堀越 孝雄, 坂口 孝司
    1977 年 51 巻 8 号 p. 507-511
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    銅イオンを高濃度に集積したクロレラ藻体について,銅イオンの体内における存在状態,結合状態を解析するため,2,3の実験を行なった.
    (1) EDTAの洗浄効果について検討した結果,藻体に取り込まれた銅のうち,17~19%がEDTAにょって溶出されることが認められた.
    (2) ESRにより,EDTAの洗浄効果について解析した.その結果,藻体中のCue2+吸収スペクトルはED-TA洗浄の前後において変化することが観察され,また,吸収強度はEDTA洗浄によって25%程度減少することが認められた.これらの結果より,クロレラ体内に取り込まれたCu2+の結合状態には少なくとも2種類の様式があり,そのうちの一つの結合様式は,EDTAで容易に置換される配位子をもち,このCu2+との配位結合は,Cu2+とEDTAとの結合よりも弱い結合であることが推定された.
    (3) 細胞内に取り込まれた銅の分布をSchneider変法により検討した.その結果,49%程度が細胞内可溶性画分に,31%程度が酸可溶性画分に,また,13%程度が脂質画分に見出された.
    (4) 細胞内可溶性画分に含まれる銅の存在状態について,Sephadex G-100カラムクロマトグラフィーにより検討した.その結果,高分子画分と低分子画分にそれぞれ銅のピークが認められ,両ピークにおける銅の存在比は1:2.65であった.
  • 田幸 年邦, 永浜 伴紀, 野村 男次
    1977 年 51 巻 8 号 p. 513-518
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    キサンタンガムの非ニュートン流動性および動的粘弾性について吟味を加えた.
    キサンタンガムは,塑性流動を示し,配向性が著しく,アンドレード式に適合せずシグモイド曲線を示したことから,会合性多糖と結論された.
    キサンタンガムの流動指数,構造粘性は濃度に関係なくほぼ一定値を示した.
    キサンタンガムはη'に比較してG'が著しく大きく,tanδは0.4~0.5で,弾性に富む多糖であることがわかった.
    キサンタンガムの水溶液に塩添加すれば,粘性の温度依存性がアンドレード式に適合するようになることを認めた.このことから,キサンタンガムの分子鎖間会合は塩添加により,ほぐれると結論できる.
    このことから,キサンタンガムの分子鎖間会合には側鎖が著しく関与していることが示唆された.
  • 池田 道正, 長沼 庸司, 太田 惠一, 佐々 武史, 三浦 勇吉
    1977 年 51 巻 8 号 p. 519-522
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ベニナギナタダケ子実体のメタノール可溶区分には強い植物生長阻害作用があり,この活性の本体がazeti-dine-2-carboxglic acidであることを物理的・化学的方法,ならびに合成で確認した.本物質がキノコのような下等な植物から得られたのはこれがはじめてである.
    ベニナギナタダケが属するホウキタケ科キノコ11種について,その分布をTLCと植物活性試験をもとに調査したところ11種中9種のものにその存在が確認され,ホウキタケ科キノコに広く一般的に存在していることが判明した.またTLC上のパターンから,ホウキダケ科キノコがさらに2つのグループに化学成分的に分けられる可能性を指摘し,そのことが形態的特微ともよく一致することを明らかにした.
  • 正木 武治, 中村 啓治, 副島 正美
    1977 年 51 巻 8 号 p. 523-525
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The activities of urease and maleate cis-trans isomerase were determined by using acid-base indicators, i.e., phenol red (PR) and neutral red (NR). The method is based on the measurement of color changes of acid-base indicators in the reaction mixture.
    The reaction mixture consisted of 7.14_??_20.0 μg/ml of PR in 8.5_??_10mM Tris-HCl buffer, pH 6.8_??_7.2 (PR-T method), or 14.3 μg/ml of NR in 8.5mM phosphate buffer, pH 6.8 (NR-P method). The absorbance changes were monitored at 560 nm (PR-T method) or at 530 nm (NR-P method) at 30°C during the enzyme action for 5 or 10min.
    The Km of urease obtained by above methods were 33.3mM. The values were well accorded with the reported values.
  • 1977 年 51 巻 8 号 p. N138
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 森田 雄平
    1977 年 51 巻 8 号 p. R65-R73
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 魚住 武司
    1977 年 51 巻 8 号 p. R75-R81
    発行日: 1977年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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