日本農芸化学会誌
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52 巻, 9 号
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  • 池田 正彦, 島原 健三
    1978 年 52 巻 9 号 p. 355-360
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    1.クルマエビ甲皮中のタンパク質を唯一の炭素源および窒素源として発育し,かつキチナーゼを生産しない細菌を,水,土壌計134料にっいて検索し,タンパク分解能のもっとも高い菌株として,東京都武蔵野市の庭の土壌からLC 102株を分離した.この菌株の,甲皮からのタンパク質分解のための至適pHは,7~8付近であった.
    2. LC102株は,Pseudomonas maltophiliaと同定された.
    3. 炭酸カルシウムを除いたクルマエビ甲皮を1%添加した0.2%リン酸水素二カリウム水溶液(pH 7.0)を培地として,LC102株を30°Cで10日間振盪培養したところ,甲皮中のタンパク質はほとんど完全に除去された.また,原料甲皮中のキチンに比して脱アセチル反応の進行は見られず,1N水酸化ナトリウム溶液中で100°C, 36時間加熱してタンパク質を除去したときよりも脱アセチルの程度の少ないキチンを得ることができた.両方法によって精製したキチンを濃水酸化ナトリウム溶液に溶解し,粘度を比較したところ, LC102株を用いて精製したキチンの方が高い粘度を示し,したがって重合度が高いものと推定された.
    4. 前項の結果から, LC102株を用いた生物化学的精製法は,通常行なわれているアルカリ溶液中で加熱する精製法に比して,処理時間は長くかかるが,より天然に近い状態のキチンを得るのに適した方法であると結論した.
  • 鬼頭 誠, 山森 泰子
    1978 年 52 巻 9 号 p. 361-364
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    チャイニーズハムスターV79細胞の増殖は脱リピド血清の存在下でエルカ酸,ブラシジン酸,パルミチン酸によって阻害された.エルカ酸による阻害は弱く,無処理の血清の存在でその阻害は解除された.ブラシジン酸による阻害はプラシジン酸を培地から除いても残存した.パルミチン酸による阻害はこの脂肪酸を加えてない培地に移すことにより回復した.
  • 中原 東郎, 佐々木 英次, 神田 幸雄, 栂野 秀夫
    1978 年 52 巻 9 号 p. 365-371
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    海洋性硫酸塩還元細菌(Desulfovibrio, NCIB 8308)の培養実験の結果,以下のことが明らかとなった.
    1. 最適条件(pH 7,37°C)での窒素および水素の通気攪拌培養における分裂時間は, 2.2±0.1時間(測定数5)であった.
    2. 乳酸は水素供与体として次式に従って酸化され,炭素源とはならなかった.
    2 CH3CHOHCOOH+SQ42-
    2CH3COOH+H2S+2 CO2+2 OH-
    またペプトン,肉エキス,酵母エキスは水素供与体にはなりえなかった.
    3. 生成する硫化水素による阻害作用がみられた.そのため中性に近いpH領域において, pHの高いほど,最終菌体量が減少する傾向が認められた.
    4. 対数増殖期以後,桿状であった細菌が球状に近づく現象がみられた.
    5. 本菌株は,水素供与体として水素ガスも利用し,有機物の極端に少ない無機培地中でも増殖して硫化水素を生成した.
  • 中西 収, 櫟本 五男, 上田 博夫
    1978 年 52 巻 9 号 p. 373-378
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    In our earlier report concerning the self-condensation of mesityloxide, we proposed the stereoisomers of 1-acetyl-2, 4, 6, 6-tetramethyl-1, 3-cyclohexadiene (5) for the main products, isoxylitone A and B. These structures have now been revised to E (3A) and Z (3B) isomers of 1-(3, 5, 5-trimethyl-2-cyclohexene-1-ylidene)-2-propanone on the basis of 1H-NMR, 13C-NMR and MS data. In addition, the support for the structures, 3A and 3B, was provided by an alternative synthesis from isophorone.
  • 岩村 淳一, 小牧 恭介, 駒井 功一郎, 平尾 子之吉
    1978 年 52 巻 9 号 p. 379-383
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The essential oils were obtained from roots of Kogomegayatsuri (Cyperus Iria L.) by steam distillation in 0.050_??_0.108%. The components were separated by means of elution and preparative gas chromatography. Identification of the known compounds were performed on agreement of the tR in GC and MS spectra with those of the authentic specimens. The structure of new compounds were determined on the ground of chemical and spectral evidence.
    As main components, cyperene, caryophyllene, γ-cadinene, caracolene, α-cadinol, cis-3, cis-5-dodecadienyl acetate [1], methyl 3, 7, 11-trimethyl trans-2, trans-6, cis-9, 11-dodecatetraenoate, methyl 3, 7, 11-trimethyl trans-2, trans-6, trans-9, 11-dodecatetraenoate, methyl 3, 7, 11-trimethyl-11-hydroxy trans-2, trans-6, cis-9-dodecatrienoate, methyl 3, 7, 11-triemthyl-11-hydroxy trans-2, trans-6, trans-9-dodecatrienoate, and as a minor one, α-pinene, β-pinene, limonene, p-cyment, linalool, α-copaene, β-elemene, humulene, α-elemene, β-selinene, germacurene-D, γ-muurolene, δ-cadinene, calamenene, juniper camphor, cis-3, cis-5-dodecadien-1-ol [2], methyl 3, 7, 11-trimethyl trans-2, trans-6, 10-dodecatrienoate, C20H42, C21H44, C22H46, C23H48, C24H50 were identified.
    The separated [1] and [2] were new compounds.
  • 村田 晃, 田中 啓志, 中津海 和正, 源野 昭治, 加藤 富民雄, 猿野 琳次郎, 近藤 道男
    1978 年 52 巻 9 号 p. 385-392
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    リジンおよびJ1ファージをモデルとして用い,塩基性アミノ酸のファージ不活化作用について研究し,次のことがわかった.ファージ不活化作用は,リジンの0.03M濃度で最大である.不活化速度は時間の経過につれて指数的に減少する.不活化反応は不可逆的である.不活化作用はpH依存性で,pH8で最大である.不活化作用はまた温度依存性で,温度が高いほど大きい.
    ファージ不活化に影響する因子について検討し,次のことがわかった. 1価および2価の金属イオンは不活化を阻害するが,金属キレート剤は不活化にほとんど影響しない,塩基性アミノ酸は不活化を促進するが,酸性アミノ酸はそれを阻害する.中性アミノ酸は不活化にほとんど影響を及ぼさない.塩基およびヌクレオシドは不活化に大きな影響を与えないが,ヌクレオチドは不活化を阻害する.
    サジンは,ファージDNAと顕著に相互作用するが,ファージタンパク質部分との相互作用は弱いことが示された.リジンのアミノ基あるいはカルボキシル基がブロックされた誘導体のファージに対する作用を検討し,リジンのε-アミノ基がファージ不活化に関与することを明らかにした.以上の結果から,リジンのε-アミノ基とファージDNAのリン酸基との相互作用が,ファージ不活化の基因であると考えられた.
    また,ショ糖および塩化セシウム密度勾配遠心の沈降プロファイルならびに電子顕微鏡的観察から,リジンの不活化作用によってファージDNAが放出され,ファージ頭部がゴースト化することが示された.
  • 村田 晃, 田中 啓志, 椋野 正一, 尾高 守, 源野 昭治, 加藤 富民雄, 猿野 琳次郎
    1978 年 52 巻 9 号 p. 393-399
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    広範な種類のファージを用いて,20種のタンパク質構成L-アミノ酸(グリシンおよびオルニチンを含む,システインは除く)のファージに対するin vitroでの直接作用について系統的に研究した.
    中性および酸性アミノ酸はファージに対して不活化作用を示さなかった.これに対して,塩基性アミノ酸-アルギニン,ヒスチジン,リジンおよびオルニチン-は,多くの種類のファージに対して不活化作用を示した.しかし,ヒスチジンの作用は微弱であった.アルギニン,リジンおよびオルニチンのファージ不活化作用には,(I)アミノ酸のある一定濃度で作用が最大なもの,(II)アミノ酸の濃度が高いほど作用が大きいもの,の2様式が認められた.塩基性D-アミノ酸にも塩基性L-アミノ酸と同程度の不活化作用が認められた.
  • 海老原 清, 平尾 昭彦, 桐山 修八
    1978 年 52 巻 9 号 p. 401-408
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    実験的高コレステロール飼料に各種植物性難消化性成分(Dietary Fibers : DFs)を5%同時添加し,それらのコレステロール低下作用を検討した.用いたDFsはごぼう,だいこん,たけのこ,もやし,小麦のふすま,大麦・トウモロコシの外皮,アルファルファである.実験的高コレステロール飼料をあらかじめ7日間投与し,コレステロールレベルを上昇させておいたラットに小麦のふすま,コンニャクマンナンを5%添加した基本飼料を投与して,肝臓・血中のコレステロールの濃度も経時的に追跡した.
    その結果, DFsは実験的高コレステロール飼料摂取条件下ではコレステロール低下作用は示さないが,あらかじめ高コレステロール症にしておいたシロネズミに基本飼料とともにDFを与えたときの肝臓からのコレステロール,総脂質の濃度の低下を早めた.それゆえ,DFsは体内コレステロール量の動態に対して緩和な影響を与える可能性は十分にあり,コレステロール摂取制限下ではその作用を期待できるかもしれない。
  • 澤山 茂, 川端 晶子, 岡部 道子, 杉 二郎
    1978 年 52 巻 9 号 p. 409-415
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    カラギーナン水溶液の粘度挙動および水ゲルの物性について,寒天との比較検討を行ない,以下のような結果を得た.
    1. 二重円筒形回転粘度計を用いて測定した水溶液の粘度は,いずれも,速度勾配が小さいほど粘度が大きくなるという典型的な構造粘性を示した.濃度依存性では高分子電解質特有の挙動を示し,還元粘度の最小値は, 2種のカラギーナンでは0.3よび0.5%,寒天は0.1%において認められた.
    また,温度依存性から,みかけの活性化エネルギーを求めたところ, 2種の1%カラギーナン水溶液は3.79と4.94kcal/mol,寒天水溶液は6.16kcal/molであった.
    2. カラギーナンゲルの離漿量はいずれも寒天に比べてかなり少ないことが認められた.また,電子レンジを用いて,ゲルの乾燥曲線を求めたところ,カラギーナンゲルと寒天ゲルの水の結合状態の違いを推測することができた.
    3. 圧縮型平行板粘弾性計を用いて測定した1.5%ゲルのクリープ曲線は,フックの弾性体, 2組のフォークトの粘弾性体およびニュートン粘性体の6要素模型で示すことができ,弾性率は105~106dyn/cm2,粘性率は107~109poiseであった.カラギーナンゲルの方が,いずれもやや小さい値であった.
    4. ゲルの網目構造を走査型電子顕微鏡で観察したところ,カラギーナンゲルの網目構造は,割にあらく,スポンジ状であるが,寒天ゲルは,繊維状分子が密にからみ合っているのが認められた.
  • 藪内 精三
    1978 年 52 巻 9 号 p. 417-425
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    発芽大麦穀粒によるヘキサナール生成は,発芽経過とともに増大し, 7日目発芽大麦を馬いた場合100粒当り約0.3mgのヘキサナールを生成した.発芽大麦穀粒を水とともに磨砕するとき,リノール酸を添加しておくとヘキサナール生成が数倍に増加することを認めたので,大麦穀粒によるリノール酸代謝とヘキサナール生成との関連を検討した.
    まず,発芽大麦穀粒によるリノール酸からの代謝産物であるα-ケトール化合物(I:9-ヒドロキシ, 10-オキソ,シス-12-オクタデセン酸, II:13-ヒドロキシ,12-オキソ,シス-9-オクタデセン酸)を調製するため,未発芽大麦穀粒からリノール酸ヒドロペルオキシドイソメラーゼを精製した.精製途中で分子型のみを異にする2種のイソメラーゼが存在することを認めたが,本実験では純度の高い低分子型のイソメラーゼAを使用した.リノール酸ヒドロペルナキシド(LHPO)の9-異性体からα-ケトール化合物Iを, 13-異性体からα-ケトール化合物IIを作り,それぞれからのヘキサナール生成能を調べたところ,α-ケトール化合物IIが,α-ケトール化合物Iや中間体である9-あるいは13-LHPOよりはるかにヘキサナールを作り易いことが明らかになった.α-ケトール化合物IIをpH 7.0の条件下でインキュベートしたとき, 20%の収量でヘキサナールが生成したが,その過程にはラジカル反応が関与していることが示唆された.
  • N. Y.
    1978 年 52 巻 9 号 p. N115-N116
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 中野 紀和男
    1978 年 52 巻 9 号 p. R119-R126
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 服部 健一
    1978 年 52 巻 9 号 p. R127-R137
    発行日: 1978年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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