日本農芸化学会誌
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53 巻, 12 号
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  • 金谷 憲一, 佐々木 素喜, 川嶋 浩二, 千葉 誠哉, 下村 得治
    1979 年 53 巻 12 号 p. 385-390
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ソバα-グルコシダーゼの固定化を各重合素材を用いて低温放射線重合法によって行った.アクリルアミド:アクリル酸カリウム:アクリル酸マグネシウム:酵素=1:1:2:1の組成で固定化した酵素が保持活性(50%)および連続使用時の安定性の面で優れていた.
    (2) 上記の重合素材で固定化した酵素の性質を調べた結果,最適pHは可溶性酵素に比べて約0,5ほど酸性側に移動した.熱に対する安定性が増した.マルトース等の低分子基質をよく分解するが,可溶性澱紛には作用しがたく,その分解限度は可溶性酵素の場合に比較して暮しく低下した.
    (3) 固定化ソバα-グルコシダーゼは可溶性酵素の場合と同様に顕著な糖転移作用を示し,マルトースあるいは澱粉糖を基質として,ニゲロース,コージビオース等の糖転移生成物を与えた.固定化酵素カラムの使用によりきわめて効率よく,これらの糖転移生成物を調製することが可能になった.
  • 鄭 泰泳, 倉田 忠男, 加藤 博通, 藤巻 正生
    1979 年 53 巻 12 号 p. 391-400
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    トマト果実の追熟および貯蔵中におけるフレーパー成分の変化を調べることを目的として樹熟果および暗黒下または自然光下, 20°Cでの完熟果実の追熟過程におけるフレーバー成分の変化について検討した.
    (1) GCおよびGC-MSによる分析の結果:水蒸気蒸溜液から79種の揮発性成分,ヘッドスペース試料から68種の揮発性成分を同定した.これらの中で2-prope-nal, sabinene, trans-2-octenal, trans-2-nonenal, l-octen-3-ol, 2, 4-dimethyl-2-nonen-4-olideなどが新しく同定された.
    (2) 官能評価の結果:青臭いかつ多少刺激的な匂いには低沸点のアルコールおよびアルデヒト類などが関与し,トマトジュース様匂いは本実験で用いた条件下では30~50分のtRを有する複合香気であると考えられる.樹熟果の場合,青臭い匂いは未熟な果実ほど強く,トマトジゅース様匂いは熟度の進んだものほど強かった.青臭いトマト果実臭は概して完熟果の方が熟度6の果実よりも強い傾向を示した.一方,トマトジュース様匂いは暗黒下での完熟果実の方が熟度6の果実よりも強く,逆に自然光下での完熟果は熟度6の果実より弱かった.
    (3) 樹熟果の水蒸気蒸溜液における成分変化:熟度が進むにつれて全体的に増加する傾向があり,とくに中高沸点部の揮発性成分の含量が多くなった.
    (4) 樹熟果および完熟果のヘッドスペース試料における成分変化:樹熟果の場合熟度が進むに従い増加するもの,減少した後増加するものおよび増加した後減少するものと大別できたが,完熟果においては追熟条件の違いにより非常に複雑な傾向を見せた.
  • 金谷 昭子
    1979 年 53 巻 12 号 p. 401-406
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    マヨネーズの乳化剤であるレシチンの乳化作用に影響を与える諸因子のうち,本報ではイオン強度およびpHの影響について調べた.
    pHまたはイオン強度を調整した水相と,レシチンをケロシンに0.2, 2.0, 20.0%wt/wt溶解した油相を容積比1:1で加え,一定条件で攪拌乳化して得られたO/W型エマルションについて次の結果が得られた.
    (1) pHをHClおよびNaOHで調整した水相のpHが強い酸性(1~2)および強いアルカリ性の場合には不安定となった.(イオン強度の小さいところでは,水相のpHによる.差はほとんどみられなかった.)
    レシチン濃度が20.0%wt/wtの時は, pHが12, 13の場合のみ安定なエマルションが得られた.これは,レシチンとNaOHとが反応して石ケンを作り,レシチンやNaOHが消費されてその活性が低下し,さらにできあがった石ケンが乳化作用を補強したためであろう.
    (2) 水相のpHを,緩衝溶液によって規制すると,エマルションの一番安定する2.0%wt/wtレシチン濃度であっても,緩衝溶液のイオン強度が増せば,エマル.ションはpHに関係せず不安定となることが判明した.したがって上記のHClやNaOHのみでpHを規制した場合の結果は,実質上はpH 7付近ではイオン強度が低く,強い酸性側やアルカリ性側では, HClやNaOHのイオン強度が高かったことによるものと理解すべきであろう.
    以上の結果より,イオン強度が高い場合は,レシチンの極性基が水相のイオンによって影響され,その活性の低下がおこるものと解釈される.
  • 金谷 昭子
    1979 年 53 巻 12 号 p. 407-414
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    レシチンの乳化作用と乳化される油の種類との関係をしらべた.
    無極性油と種々の極性基をもつ油と種々の疎水基をもつ油を抽相とし,これらに乳化剤であるレシチンを0.2, 2.0, 20.0%wt/wt溶解した.水相には脱イオン水を用いた.油相と水相を容積比1:1として,一定条件で攪拌乳化してエマルションを調製して,エマルション型,乳化安定性その他を測定した.その結果,次のようなことが明らかになった.
    (1) レシチンの乳化作用は油の性質の影響をうける.レシチンは疎水性の大きい乳化剤であるが,一般にはO/W型エマルションをつくりやすい.
    (2) 無極性油では炭素鎖の構造にあまり関係なく,安定なO/W型エマルションをつくる.
    (3) 極性基を有する油では極性基の影響よりも疎水基の効果が大きく,エマルション型や安定性および分散粒子の粒度分布が異なった.
    (4) レシチンを加えずに脂肪酸を油相としてエマルションをつくるときは,脂肪酸の疎水鎖が大きくなるとW/O型エマルションをつくる傾向がでてくる.しかし疎水鎖に二重結合が多くなるとO/W型エマルションをつくりやすくなる.これらのエマルションは不安定であるが,そのエマルションの型はレシチンを加えて乳化したときの型と一致する.
    (5) 植物油を乳化するときは,ケン化価が小さい油やヨウ素価の小さい油は, W/O型をつくる傾向が強く,構成脂肪酸の影響が大きい.
    (6) 以上の結果を説明するような仮説を提案した.
  • 若松 利男, 佐藤 泰
    1979 年 53 巻 12 号 p. 415-420
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    リゾチームおよびBSA溶液の不凍水量(g/g固形物)は試料濃度によらず,それぞれ0.41±0.06, 0.36±0.04となり既報値とほぼ一致し,測定誤差も15%内であることがわかった.ショ糖は凍結点を下げるとともに,ショ糖濃度に関係なく, lgのショ糖当り0.38±0.04gの水を不凍水とすることがわかった. NaCl溶液では2度の転移がみられたが, 2度の転移で全水分が凍結し,不凍水は存在しないと考えられた.低温側の転移は共晶氷結によるものと考えられ,共晶氷結水量はlgのNaCl当り2.5~2.7gという値が得られた.
  • 五十嵐 喜治, 保井 忠彦
    1979 年 53 巻 12 号 p. 421-430
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    赤クローバー茎葉から抽出した粗酵素液のフラボノール配糖体に対するグリコシダーゼ活性と,粗酵素液と直射日光がイソケルシトリンの酸化褐変,およびイソケルシトリンとカゼインの相互反応に及ぼす影響についてモデル系で検討し,赤クローバー葉の天日乾燥時における,イソケルシトリンでの蛋白質の褐変機構を推定した.
    (1) 粗酵素液は赤クローバー葉フラボノールで最も多いイソケルシトリンを水解し,糖とケルセチンを遊離した.少量のヒペリンに対するグリコシダーゼ活性は低いものと思われた.
    (2) ケルセチンは粗酵素液と直射日光により,容易に酸化分解された.イソケルシトリンの直射日光による酸化分解は小さく,また粗酵素液による酸化分解は除々に進行した.
    (3) イソケルシトリンに粗酵素液を添加し,晴天下に,引き続いて室内に放置したところ,強度な褐変が認められた.また,粗酵素液とイソケルシトリン,カゼインの3者を晴天下で反応させて得た反応カゼインには,対照に比して,イソケルシトリンに由来するプロトカテキュ酸が多く,粗酵素液は相互反応を助長するものと思われた.
    (4) 以上のことから,粗酵素液によるイソケルシトリンとカゼインの相互反応は,グリコシダーゼによるケルセチンの遊離が発端となり,遊離したケルセチン,またはその酵素的,非酵素的酸化分解物や,それらの酸化褐変物質とカゼインとの反応によって起きるものと思われた.
    (5) 相互反応は赤クローバー葉汁液のpH値とほぼ等しいpH 6.0でも認められたので,グリコシダーゼの作用が発端となるイソケルシトリンと蛋白質の相互反応は,赤クローバー葉の天日乾燥過程でも起きるものと思われた.
  • 江尻 慎一郎
    1979 年 53 巻 12 号 p. R159-R167
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 岡地 諒
    1979 年 53 巻 12 号 p. R169-R177
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 福井 作蔵
    1979 年 53 巻 12 号 p. N177a-N180
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • N. Y.
    1979 年 53 巻 12 号 p. N177
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 河合 富佐子
    1979 年 53 巻 12 号 p. N180-N182
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 小林 昭
    1979 年 53 巻 12 号 p. N182-N185
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 長谷 川記
    1979 年 53 巻 12 号 p. N185
    発行日: 1979年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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