レンゲ種子の胚乳部を熱水で抽出して得られたガラクトマンナンの化学構造を推定するため,主として過ヨウ素酸酸化およびメチル化分析を行った.胚乳部の熱水抽出液から得られた超遠心分析法,およびDEAE-セルロースカラムクロマトグラフィーにより均一と認められたガラクトマンナンは,次亜ヨウ素酸塩法およびゲル濾過法により,それぞれD.P.=113およびD.P.=83であることが認められた.本多糖類は希酸により完全に加水分解され, D-ガラクトースおよびD-マンノースを1.00:2.25のモル比で生成した.過ヨウ素酸酸化により,ヘキソース残基当り1.18モルの過ヨウ素酸を消費し, 0.31モルのギ酸を生成した.スミス分解生成物としてD-ガラクトースは検出されず,エリスリトール,グリセロールおよびD-マンノースが2.5:4.5:1.0のモル比で検出された.完全メチル化ガラクトマンナンは[α]
18D+48°[
c=0.8, CHCl
3]を示し,その加水分解生成物をアルジトールアセテートに導きGC法で検した結果, 5個のピークが検出された.これら各ピークはその
RT値を文献値
(20)と比較すること,およびMS法により求めた分子量とから2,3,4,6-テトラ-
O-メチル-D-マンノース, 2,3,4,6-テトラ-
O-メチル-D-ガラクトース, 2,4,6-トリ-
O-メチル-D-マンノース, 2,3,6-トリ-
O-メチル-D-マンノースおよび2,3-ジ-
O-メチル-D-マンノースに相当するものと推定され,それぞれの相対モル比は1:30:12:24:30であることが認められた.
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