2%から20%のショ糖および2%から10%の塩化ナトリウムを添加した卵黄を-5°Cから-60°Cの間で保存し,ゲル化の程度を比較し,以下の結果を得た.
(1)ショ糖添加卵黄では,すべての凍結温度でショ糖濃度に比例してゲル化は抑制された.これは熱分析の結果,ショ糖濃度の増加に従い,凍結率が減少するためと考えられた.
(2)ショ糖添加卵黄の凍結率は,ショ糖および卵黄固形物1g当りの不凍水量,卵黄中の水分含量およびショ糖添加量より計算された値とよく一致したことから,ショ糖と卵黄成分との相互作用はないと考えられた.
(3)塩化ナトリウム添加卵黄では, -25°C以上の保存ですべての試料の粘度増加は抑制されたが, -30°C以下の保存で,塩濃度6%以上の試料では粘度は著しく増加した.これは熱分析の結果,塩濃度4%以下の試料では, -30°C以下でも共晶氷結は起きないが, 6%以上の塩化ナトリウムを含む試料では, -30°C以下で共晶氷結が起きるためであることがわかった.
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