米飼料の給与によるD系とSD系ラットの成長量には差がないが,肝脂質含量はD系ラットに比してSD系ラットでは著しい蓄積がみられ,とくにリノール酸の占める割合の多いTGの蓄積であった. D系ラットのTG, Chol濃度に比して, SD系のTG, Chol濃度は低かった.
米飼料に0.3%リジン添加で, D系, SD系ラットとも成長の改善があり,さらに0.2%スレオニン添加でいっそうの成長改善があった.
肝脂質は,米飼料や米タンパク質類似アミノ酸混合物飼料にリジンの添加で, D系ラットでは著しく蓄積するのに対し, SD系ラットでは部分的な蓄積阻止がみられた.しかし,リジンとスレオニンの組み合せ添加で両系統のラットとも肝脂質の蓄積が阻止された.
米タンパク質類似アミノ酸混合物飼料にリジンとスレオニンの組み合せ添加で, SD系ラットの肝TGの脂肪酸組成はリノール酸の割合が著明に減少し,血漿TG, Chol濃度が増加したが, D系ラットでは肝TGの脂肪酸組成や血漿TG, Chol濃度の変動はなかった.
以上のことから, SD系ラットは米飼料と米タンパク質類似アミノ酸混合物飼料, D系ラットでは,リジン添加飼料とリジン添加米タンパク質類似アミノ酸混合物飼料で,それぞれ肝脂質の蓄積が起こるが,その機構は必ずしも一致しないものと推察される.
抄録全体を表示