カラメル溶液の限外濾過に際し,色の損失率に影響する因子を明らかにする目的で,種々の濃度のカラメル溶液を種々の操作条件で限外濾過した. 0.5~4kg/cm
2の操作圧力でPM-10膜に対して次の結果を得た.
(1)色の損失率は攪伴速度が大きいほど小さかった.
(2) 1500rpm, 30°Cの場合,色の損失率は,操作圧力の上昇に伴って, 2.5%カラメル溶液に関しては増加し, 30%カラメル溶液に関しては減少した.また, 10%カラメル溶液に関しては,色の損失率は1~4kg/cm
2の範囲内の操作圧力ではほとんど変化しなかったが, 1kg/cm
2以下ではかなり増加した.
(3)色の損失率は温度が高いほど大きかった.
(4)色の損失率は濃度増加に伴って増加した.その際,操作圧力が低いほど,また,攪伴速度が小さいほどその影響は大きく, 4kg/cm
2, 1500rpmの場合はほとんど影響を受けなかった.
(5)操作条件の相違による色の損失率の変動には濃度分極および拡散が関与しているものと思われた.
(6)色の損失率,有害成分の阻止率ならびに透過流束の3点からみると,低濃度,高温度,高攪伴速度および2~4kg/cm
2の圧力で操作するのが望ましかった.
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