日本農芸化学会誌
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54 巻, 8 号
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  • 田中 秀幸, 中島 正美, 藤田 玲子, 西 宏
    1980 年 54 巻 8 号 p. 613-619
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    成熟ラットに生存可能なかぎり無蛋白食を与え,その間の,肝臓,小腸および屠体の蛋白質量と,屠体中の筋肉蛋白質とコラーゲンの減少を経時的に追究した.また,この間の血液のA/G比と血色素,尿中ヒドロキシプロリンとNτ-メチルヒスチジンの分析も行った.
    (1)蛋白質欠乏の初期には,肝臓と小腸の蛋白質が急速に失われるが,欠乏が長期にわたると減少はきわめてゆるやかとなる.血液のA/G比や血色素濃度もこれに近い変化を示す.これに対し,筋肉蛋白質とコラーゲンは,実験を終了した87日まで一貫して減少を続けた.このことは,蛋白質欠乏の初期には,肝臓その他の蛋白質が,体蛋白質合成のためのアミノ酸プールの素材として使われるが,長期にわたると筋肉蛋白質やコラーゲンが主に利用されることを示すものと思われる.
    (2) 64日間の無蛋白食で減少した屠体蛋白質のうち, 56%は筋肉蛋白質に, 20%はコラーゲンに由来していた.それゆえ,蛋白質欠乏時には,コラーゲンもまた,蛋白質生合成のためのアミノ酸プールの主要な素材の一つとして利用されている.
  • 松井 真一, 江藤 正和, 天羽 幹夫
    1980 年 54 巻 8 号 p. 621-628
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Porapak Qを吸着剤として用いるコールドトラップ法により,ビールの香気成分を捕集濃縮し,濃縮物をFPD-GCにより分析してMeSH, EtSHおよびDMSなどを検出した.
    (2)この方法をもとにビール,麦汁中のMeSH, EtSHの定量法を検討,確立し,醸造工程における消長および壜詰後の変化を調べた.その結果以下のことが明らかとなった. 1) MeSHは麦汁中に2~4μg/l程度存在するが,発酵の初期に急激に減少し,その後発酵の進展とともに再び0.6~0.8μg/lまで増加し,以後貯酒工程ではほとんど変化しない. 2) EtSHは麦汁中には全く存在せず,発酵が進むとともに生成し,発酵6~7日目で最高レベル(0.3~0.7μg/l)になり後発酵で減少する. 3)壜詰後EtSHはかなり速やかに消失するのに対し, MeSHは15日程度の常温保存ではほとんど変化しない,また,このMeSHは高温保存条件下(45°および60°C)で著しく増大する.
    (3)ビール発酵中のH2S生成量とEtSH生成量には相関性があり, H2S生成量が多いほど, EtSHの生成量は多かった, EtSHは若臭の一成分としてその消失がビールの熟成に関与していると考えられた.
    (4)麦汁煮沸時ならびに発酵時の排気ガス中の揮発性含硫化合物を分析し,前者からはCOS, H2S, CS2, MeSH, DMSおよびDMDSを,また後者からはH2S, MeSH, EtSH, DMSおよびDMDSを検出した.
  • 松井 真一, 天羽 幹夫
    1980 年 54 巻 8 号 p. 629-636
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1)ビール,麦汁をジクロルメタンまたは酢酸エチルで抽出することにより得た香気濃縮物を, FPD-GCを用い分析した.ジクロルメタン抽出物からは, 3-メチルチオ-プロパナール(メチオナール), 3-メチルチオープロパノール(メチオノール), 3-メチルチオープロピルアセテート, 2-メチル-テトラヒドロチオフェン-3-オン,ジメチルスルホキシド(DMS0)が検出され,酢酸エチル抽出-メチルエステル化物からは2-メチルチオ酢酸, 3-メチルチオープロピオン酸および2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸のメチルエステルが検出された.これらの含硫化合物のうち, DMSOは今回初めてビール,麦汁中に存在することが明らかにされた.
    (2)ビール,麦汁中のこれら含硫化合物の定量法を確立し製品ビール中の含量を測定した結果,メチオノールとDMSOは約1mg/1程度と多く,他の合硫化合物は約50μg/1以下の低含量であった.
    (3)醸造工程中の消長を調べ,以下の結果を得た. 1)メチオノール, 3-メチルチオープロピルアセテート, 2-メチル-テトラヒドロチオフェン-3-オンは麦汁中に存在せず,発酵中徐々に増加して発酵末期にプラトーとなりそのままの含量で製品ビールに移行した. 2)メチオナールは冷麦汁中に25μg/l程度存在するが発酵中に急速に減少し,製品ビール中では1μg/l以下となった. 3) DMSOは仕込開始直後の麦汁中にすでに存在し,冷麦汁中にも1.3mg/1程度存在した.発酵・貯酒工程では大きな変化を受けず,そのまま製品ビールへと移行した. 4) 2-メチルチオ酢酸, 3-メチルチオープロピオン酸は麦汁中にも若干存在するが,発酵工程でもいくぶん増加し貯酒工程では一定値を保った. 5) 2-ヒドロキシ-4-メチルチオ酪酸は麦汁中には存在しないが発酵中に徐々に増加し,発酵3日目で一度極大に達した後,貯酒4日目ごろまで漸減し以後一定値を保った.
    (4)各含硫化合物を全種類混合してビール中の平均濃度量またはその10倍量をビールに加えたところ,ビールフレーバーは変化したが硫黄的な酵母臭を再現しうるまでには至らなかった.
  • 石倉 成行, 山本 栄祐
    1980 年 54 巻 8 号 p. 637-643
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    西洋アサガオ“ヘブンリーブルー”の花弁青色部の搾汁は平均してpH 6.88という高い値を示した.これは同花弁の白色部のpH 5.88に較べてもかなり高い値であった.青色花弁に含まれるルチン,カフェー酸, Mg, K, Caを定量分析し,これらの花弁成分と同花弁より単離した主要色素ジカフェイルペオニジン3-ソホロシド-5-グルコシド(APと略記)とを種々の量比で混合して, Mcllvaine氏緩衝溶液に溶かし,吸収スペクトルを測定した.しかしそれらの成分で色素APに有効な深色的変化をもたらすものが見出されなかった.また, pH変化などによる吸収スペクトル分析の結果からも,花弁組織の高いpHが花弁色素の青色発現のおもな要因として考えられる.さらに,かような高いpHのもとでも色素APの色はかなり安定であることがわかった.また,その安定性は色素分子中のカフェー酸残基の存在によるものとみられ,色素APに較べ,その脱アシル化色素(P)はきわめて容易に無色の疑塩基,さらには酸によって色の回復ができない化合物へと変化することがわかった.
  • 松尾 圭造, 久保田 尚志
    1980 年 54 巻 8 号 p. 645-646
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Cucurbitacin D and I were isolated from Phormium tenax Forst. as bitter substances. Farrerol was isolated from the same plant as an antimicrobial agent against Staphylococcus aureus. Although cucurbitacins and farrerol have been isolated from several different plant families, this appears to be the first report of the presence of farrerol in the Liliaceae.
  • 福村 隆, 加藤 嵩一
    1980 年 54 巻 8 号 p. 647-653
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 宮崎 幸雄, 原 正幸
    1980 年 54 巻 8 号 p. 655-662
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • N. Y.
    1980 年 54 巻 8 号 p. 701-702
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 藤野 安彦
    1980 年 54 巻 8 号 p. 702-705
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 54 巻 8 号 p. 719
    発行日: 1980年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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