日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
55 巻, 10 号
選択された号の論文の16件中1~16を表示しています
  • 加藤 芳伸, 長谷川 忠男, 鈴木 隆雄
    1981 年 55 巻 10 号 p. 925-934
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Hiprolyのアスパラギン酸キナーゼに認められた一般的性質と調節パターンは普通オオムギの酵素のものとほとんど同じであった.
    Hiproly,関取埼1号のアスパラギン酸キナーゼの最適pHは8.0~7.5,最適温度は35°Cであった.酵素はMn2+イオンの添加により活性化された. Hiproly,関取埼1号のアスパラギン酸キナーゼは, L-アスパラギン酸に対して1.30mMのKm値を示した.また, ATPに対するKm値はHiprolyの酵素が2.50mM,関取埼1号の酵素が2.00mMであった.また, Hiprolyと関取埼1号のアスパラギン酸キナーゼは分子量20,000の酵素であった.
    Hiproly,関取埼1号のアスパラギン酸キナーゼはリジンとスレオニンの共存により著しく阻害された.アスパラギン酸キナーゼのリジンによる阻害は, L-アスパラギン酸に対して拮抗的, ATPに対して混合型阻害を示し,スレオニンによる阻害はATP, L-アスパラギン酸に対して部分的拮抗阻害を示した.これらのことから,リジンとスレオニンの共存によるアスパラギン酸キナーゼの阻害はまず,スレオニンが酵素分子に結合することによって酵素とリジンの結合が上昇して起ったものと考えられる.したがって,このアスパラギン酸キナーゼに対する調節パターンはHiprolyのアスパラギン酸キナーゼに作動する調節機構のなかでもももっとも効果的なものとなった.
  • 那須 佳子, 中沢 文子
    1981 年 55 巻 10 号 p. 935-941
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) アントシアニジン塩化物結晶(ペラルゴニジン,シアニジン,デルフィニジン,マルビジン)では77 K以上において発光は観測されなかった.
    (2) アントシアニジン・エタノール溶液の77 Kにおける発光測定を行った結果,ペラルゴニジンでは2.13 eV, 2.02 eV, 1.96 eVにピークを持つ発光帯が,シアニジンでは2.09 eV, 1.96 eVにピークを持つ発光帯が,デルフィニジンとマルビジンでは2.07 eV, 1.96 eVにピークを持つ発光帯が観測された.
    (3) ペラルゴニジンの2.13 eV発光帯,シアニジンの2.09 eV発光帯,デルフィニジンとマルビジンの2.07 eV発光帯は,最も主な可視吸収帯である2.2~2.3 eV吸収の逆過程の発光であることが暗示され,これらの発光帯と吸収帯に関与する電子状態は同じであると考えられた.
    (4) 1.96 eV発光帯は4つのアントシアニジンにおいて共通に現れ,基底状態より1.96 eV高エネルギー側に,吸収では観測されなかった最もエネルギーの低い電子状態が存在することが明らかになった.
    (5) 2.2~2.3 eV吸収帯の高エネルギー側の吸収帯である3.0 eV, 3.4 eV吸収帯の光を照射した際も, 2.07~2.13 eV発光帯, 1.96 eV発光帯が現れ,これより,電子を高いエネルギー状態に励起しても,エネルギーの最も低い2つの電子状態に緩和してきてその状態から発光することが明らかになった.
    (6) シアニジンの配糖体であるクリサンテミン塩化物結晶において1.90 eVに発光の存在すること,シアニン塩化物結晶では発光が存在しないことが明らかになった.また,クリサンテミン水溶液において1.88 eVに発光が存在することも明らかになった.
  • 戸田 義郎, 門田 則昭, 加藤 友治
    1981 年 55 巻 10 号 p. 943-949
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    新規アミノ酸系界面活性剤としてモノアシルグリセリンとピログルタミン酸の反応生成物4種を得た.これらの内容成分を検討したところ, 40~50%のモノアシルグリセリンピログルタミン酸エステルのほか10~20%のジアシルグリセリンなどの生成が認められたので,反応生成物からモノオクタノイルグリセリンピログルタミン酸エステルを単離し確認した.さらに反応生成物および単離精製物の性質を検討したところ,乳化力,帯電防止力などに特長が認められ,また安全性についても問題はなく,界面活性剤として各用途へ使用できることがわかった.
  • 東尾 侃二, 吉岡 八洲男
    1981 年 55 巻 10 号 p. 951-958
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Mucor racemosus No. 50,その第4代UV変異株No. 54および第4代NTG変異株No. 51のそれぞれの凝乳酵素標品SR-0, SR-1およびSR-2によるカゼインフラクションの分解特性の差違を明らかにし,同時に市販の仔牛レンネット(ハンゼン粉末レンネット,HR)およびMucor pusillus Lindtの微生物レンネット(名糖レンネット, MR)と比較し,次の結果を得た.
    (1) pH 6.7におけるαS-およびβ-カゼインからのNPNの遊離の程度はSR-0>SR-1>SR-2の順に高く, MRによるαS-およびβ-カゼインからのNPNの遊離の程度はそれぞれSR-2およびSR-1とほぼ等しかった. HRによる両フラクションからのNPNの遊離はきわめて低値で, β-カゼインからのNPNの遊離はSR-2とほぼ同程度であった.
    HRやMRはβ-カゼインに作用しても溶液は透明であったが, SR酵素の場合反応液はしだいに白濁し,やがて凝集して粘稠性のある沈殿を形成した.この沈殿は酵素反応を継続しても,再び溶解することはなかった.
    (2) κ-カゼインの分解力はMR>HR>SR酵素の順に強かった.また, SR酵素間にはκ-カゼイン分解力の差違はなかった.
    (3) 電気泳動によりカゼインフラクションの分解パターンの差違を検討した結果, β-カゼインについて最も顕著な差違があり,それぞれの酵素に特徴のある分解パターンが認められた. κ-カゼインの分解生成物はプラス極からマイナス極への電気泳動により, HRやMRでは原点近傍に1本の濃い分解物のバンド(パラ-κ-カゼイン)の出現がみられたのに対し, SR酵素では, HRやMRの場合と同じ位置のバンドと,それより若干移動度の大きいバンドの計2本のバンドの出現がみられ,明らかにHRやMRの場合と異なっていた.
    (4) pH 6.0におけるカゼインフラクションの蛋白分解活性および分解機作を調べた結果, MRはαS-およびβ-カゼインに作用し比較的低分子化力が強いのに対して, HRやSR酵素では高分子分解物を多くプールし,その低分子化力はMRに比べかなり弱いことを認めた.また, HR, MRおよびSR酵素によるκ-カゼインの切断部位あるいは機作が互いに異なることが示唆された.
    (5) 変異株を誘起し,凝乳酵素のMCA/PA比を向上させることによって,(1)凝乳活性に関係の深いκ-カゼインの分解力に変化はなく,(2)αS-およびβ-カゼイン,とくにβ-カゼインの分解力が顕著に低下する傾向が認められた.
  • 東尾 侃二, 吉岡 八洲男
    1981 年 55 巻 10 号 p. 959-967
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    親株Mucor racemosus No. 50およびその第4代NTG変異株No. 51の凝乳酵素の精製を行い,その性質を調べ以下の結果を得た.
    (1) 両菌株の凝乳酵素はペプスタチンにより顕著に阻害(IC50=1.3~1.4×10-6M)され, AH-セファロース4Bを担体とし,ペプスタチンをリガンドとしたアフィニティクロマトグラフィーにより,比較的容易に,かつ高収率で電気泳動的に均一な精製酵素標品が得られた.
    (2) 両菌株ともMCA/PA比が4200~4350と高い値を有する凝乳酵素(MCE)と130ときわめて低値で蛋白分解能力の強い別種プロテアーゼ(protease)を生産し,親株によるこのproteaseの生産量は, MCAを基準とした場合,全体の1%以下であったが, PAからみた場合, 50~60%に達した.一方,変異株ではこのprotease生産量は親株の約1/2に低下しており,変異株の誘起による凝乳酵素標品のMCA/PA比の向上は,このprotease生産量の低下に起因するものであった.
    (3) MCEおよびproteaseは,カゼイン分解の最適pHがともに3.0,ヘモグロビンに対してはそれぞれ3.5および4.0でともに酸性プロテアーゼの一種で,カゼインに対するKm値はそれぞれ0.238および0.098%, Vmaxはそれぞれ0.556および0.327 (OD660nm)であった.また, MCEの分子量は36,000であった. MCEの凝乳活性の最適温度は1/100M CaCl2および1/1000M CaCl2を含む10%還元脱脂乳を基質としたとき,それぞれ55°Cおよび45°Cであった. MCAのCa2+およびpH依存性はMCEのほうがproteaseよりも低かった.熱安定性はpH 3.0では,両酵素とも51°C, 10分間, pH 6.0ではMCEは47°C, 10分間, proteaseは45°C, 10分間加熱でほぼ完全に失活した. proteaseはpH 5.0~6.5で安定で, MCEはグリシンにより酸性域でのpH安定性が増大し, 0.08M以上のグリシン存在下でpH 4.0~7.0の範囲で安定であった. MCEはCu2+, Fe2+およびHg2+により阻害され, SDSにより完全に失活, proteaseはpCMBおよびSDSにより顕著に阻害された.
  • 衛藤 英男, 伊奈 和夫, 井口 正信
    1981 年 55 巻 10 号 p. 969-973
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The conversion of (±)-α-ionone into (±)-nigakialcohol (1a) and a related compound (3) was studied. The oxidation of α-ionone with iodine and silver acetate yielded 2'-acetoxymethyl-α-ionone (4). Compound (4) was converted to compound (12) (diastereomer of nigakialcohol at C-2) in ten steps and to compound (3) by two other steps. Isomer (7a) (cis-relationship between C-1' H and C-2' H of nigakialcohol) and compound (13) [a positional isomer of the double bond of compound (3)] were also synthesized according to this route.
  • 藤野 吉世, 上口 容子, 横井 祐子, 長谷川 喜代三
    1981 年 55 巻 10 号 p. 975-981
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) MeansとFeeneyの方法でゴマExtract II(主成分13 Sグロブリン)の還元的アルキル化を行い,その性質を調べた.
    i) 還元的アルキル化の程度はTNBS法で調べた.
    ii) 超遠心分析により,修飾とともに5 S成分への解離を伴って13 S成分が減少することが認められた. iii) ゲル濾過法においても同様の分子の大きさの変化が認められた.
    iv) 溶解度は修飾により水および低塩濃度では未修飾より高かったが,塩濃度0.4M以上ではやや低くなり, 10回修飾のものは他と異なった傾向を示した.
    v) ディスク電気泳動により還元的アルキル化によるプラスチャージのわずかな減少が認められた.等電点電気泳動からはpI 5付近にわずか変化がみられたほかは大きな変化がなかった.
    (2) 還元的アルキル化のゲル化に及ぼす影響をみると, pH 7, 2% NaClでは熱凝固や沈殿となりゲル化臨界濃度を2%から8%に, pH 10, 5% NaClではゲル化臨界濃度を2%から4%に上昇させた.
    (3) ゴマタンパク質のゲルの微細構造を走査型電子顕微鏡で観察すると,未修飾およびアルキル化13 Sグロブリンのゲルは小さい球状体からなっていることが分かった.ダイズ11 Sグロブリンの親水性ゲルにおいて観察されるよく発達した三次元網状構造に比較すると,ここに観察された小球状体からなる微細構造はやや疎水性のタンパク質からつくられるゲルの一つの特徴ではないかと考える.
    走査型電子顕微鏡を使わせていただいた京都大学木材研究所島地研究室に感謝します.本研究は昭和55年度文部省科学研究費(奨励研究(A))に負うところが大きい.ここに記して謝意を表します.
  • 松冨 直利, 金子 しげる, 加藤 昭夫, 小林 邦彦
    1981 年 55 巻 10 号 p. 983-989
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    酸加水分解により得られた脱アミド化率40%以下の酸修飾グルテンは, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動,アミノ酸組成,ゲル濾過クロマトグラフィーから,高分子特性を保持し,物理化学的性質においてもnativeグルテンとよく類似していた.
    脱アミド化グルテンの中性付近での溶解性は,著しく増加した.このことは,酸加水分解処理によるペプチド結合の開裂ではなく,主として脱アミドに起因すると考えられた.
    脱アミド化の増加に伴い,乳化活性,乳化安定性,起泡性は著しく増加した.そしてこれらの食品機能特性は,脱アミド化と高い相関関係にあった.
    これらのことから,脱アミド化は,グルテンの折りたたまれた高次構造をほぐし,内部にうもれた親水領域の増加を生じて,溶解性を高めるとともに,両親媒性も付与して,油脂との相互作用を高め,乳化を安定化させた.さらに,起泡性も著しく増加させた.
    このように,脱アミド化による小麦タンパク質の改変は,食品加工への高度利用,すなわち乳化材や起泡材としての使用を可能にすると考えられた.
  • 岩原 章二郎, 一色 健二, 樋口 隆昌
    1981 年 55 巻 10 号 p. 991-995
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Fusarium属菌によるd, lピノレジノールの分解にっいて検討し以下のような結果を得た.
    (1) ピノレジノールはFusarium属菌の洗浄菌体によりα-カルボニール化合物の生成を経て分解された.
    (2) α-カルボニール化合物の生成に関与する酵素はピノレジノールによって誘導的に生成した.
    (3) この酵素はラッカーゼやペルオキシダーゼのようなフェノール酸化酵素とは異なる酵素であると推定した.
  • 亀岡 弘, 丸山 晴男, 宮沢 三雄
    1981 年 55 巻 10 号 p. 997-999
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The steam volatile oil was obtained in 0.011% yield by steam distillation from methanol extract of Aloe arbolescens MILL. var. natalensis BERGER, which was collected at Sennan-shi (Osaka) in April, 1980.
    The steam volatile oil was separated into five fractions by column chromatography. The each fraction was investigated by gas liquid chromatography, infrared spectrum, mass spectrum and chemical method.
    Sixty-one compounds in the oils were characterized. The characteristic components were 3-hydroxymethyl furan, furfuryl alcohol, 5-methyl-2-furfural, furfural, furfuryl acetate and 2-furan carboxylic acid.
  • 神尾 好是
    1981 年 55 巻 10 号 p. 1001-1008
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 大羽 和子
    1981 年 55 巻 10 号 p. 1009-1016
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 大矢 冨二郎, 小松 栄太郎, 駒形 和男
    1981 年 55 巻 10 号 p. 1039-1043
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • N. Y.
    1981 年 55 巻 10 号 p. 1045
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 慶田 雅洋
    1981 年 55 巻 10 号 p. 1046-1047
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 祥雲 弘文
    1981 年 55 巻 10 号 p. 1048-1050
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top