日本農芸化学会誌
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55 巻, 11 号
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  • 吉沢 淑, 百瀬 洋夫, 蓮尾 徹夫
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1063-1068
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    アルコール,モデルウィスキーを入れた樽を密閉容器内に入れ,その空気を循環し冷却捕集するという系での揮発成分の解析から次のことが明らかになった.
    (1) 樽貯蔵中にエチルアルコールと水が揮発するが,アルコール樽,ウィスキー樽とも約100日目ぐらいまでは水が多く揮発し,それより長くなると逆にエチルアルコールの揮発量が多くなった.
    (2) 樽貯蔵中にアセトアルデヒド,アセタール,酢酸,酢酸エチルが生成され樽材を通して揮発した.このように化学変化と揮発が並行して行われ,貯蔵アルコールおよびモデルウィスキーの組成が変化した.
    (3) 添加された成分のうち,樽を通して揮発してくる物質の揮発のしやすさの程度(揮発割合)の順序は,必ずしもその物質の沸点の順とは一致しなかった.
    (4) 貯蔵中の樽材の役割は酸化反応の触媒作用を有することと酢酸等の供給源となることなどであった.
  • 原 利男
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1069-1072
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    茶の主要アミノ化合物であるL-テアニンと, D-グルコースの焙焼によって生成する揮発性成分をGC-MS法によって検索するとともに,主要未知成分をガスクロマトグラフィーで分取し, NMRスペクトルを測定し化学構造を検討した.
    その結果,主要生成物として, 1-ethyl-3, 4-dehydropyrrolidone (2)を同定するとともに, 5種のピロール類, 3種のピラジン類, 4種のフラン化合物を同定した.また, 1-ethyl-3, 4-dehydropyrrolidone (2)の生成経路として, L-テアニンがストレッカー分解し,環化,脱水して生成する経路を推定した.
    この研究を行うに当り終始ご指導を賜わった東京大学農学部加藤博通教授,静岡大学農学部伊奈和夫助教授,ならびにNMRスペクトルの解析をしていただいたお茶の水女子大学家政学部小林彰夫助教授に深く感謝いたします.なお,本研究の大要は昭和53年度日本農芸化学会大会で報告した.
  • 木村 恵子, 土井 恵津子, 西村 弘行, 岩田 伊平
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1073-1079
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) レモンの変性による悪臭原因物質を明らかにするために,レモンの香りの主要な成分の一つであるシトラールを,酸牲溶液中で処理しシトラール変性物を調製した.
    (2) シトラール変性物を,酸性部,中性部フラクションIおよびIIに分画した.酸性部および中性部フラクションIは,それぞれアルミナカラムクロマトグラフィーにょって,各物質を分離し,さらにカラムまたは薄層クロマトグラフィーを繰り返すことによって,酸性部から4物質,中性部フラクションIから4物質を単離した.
    (3) 各物質は, FI-MS, EI-MS, IR, 1H-NMRおよび13C-NMRなどのスペクトルを測定することによって,それぞれの化学構造を明らかにした.
    (4) 悪臭原因物質として,ゲラン酸(シス型およびトランス型), 3, 7-ジメチル-7-エトキシ-2-オクテン酸(トランス型),カルバクロール,ピペリテノン, 2-エトキシ-1-メチル-4-イソプロピルベンゼンおよび1-p-メンテン-8-エトキシ-3-オンを単離した.1-p-メンテン-8-ヒドロキシ-3-オンは,ほとんど香気がなかった.
  • 伊藤 均, 久米 民和, 武久 正昭, 飯塚 廣
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1081-1087
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    各種配合飼料中の微生物分布と放射線殺菌効果について検討し次の結果を得た.
    (1) 粉末状飼料中の総菌数は1g当り5.3×104~2.2×106個,大腸菌群は5.1×103~6.8×105個,一般糸状菌は2.1×103~4.5×105個,好浸透圧性糸状菌は9.6×102~3.5×105個検出された.
    (2) ペレット状飼料中の総菌数は5.3×103~1.0×106個,大腸菌群は0~2.3×103個であり,ペレット加工後に汚染したと思われる糸状菌0~1.6×103個が検出された.
    (3) 飼料中の総菌数は主にBacillus, Micrococcus, Enterobacter, Klebsiellaで構成されており, StaphylococcusPseudomonasも若干検出された.大腸菌群は主にEnterobacterKlebsiellaで構成されており, Escherichia coliは全菌数の1%以下しか検出されなかった.しかし市販飼料の一部にはE. coliが1%近く検出されるものもあった.
    (4) 飼料中の一般糸状菌は主にFusarium, Cladosporium, Rhizopusで構成されており,好浸透圧性糸状菌はAspergillus glaucus群と A. gracilis, A. candidusが多く検出され, A. versicolorも若干検出された.
    (5) 放射線照射により飼料中の総菌数は0.5 Mradで101~103個まで減少したが,飼料によってはPseudomonas marginataなどが生残していた.大腸菌群は0.5~0.8 Mradで殺菌でき,貯蔵中の飼料変敗に関与すると思われる好浸透圧性糸状菌は0.2 Mradで著しく菌数が減少した.
    したがって飼料の菌数低減化および屎尿由来大腸菌群の殺菌を目的とする場合は0.5 Mradの線量が必要で,糸状菌変敗の防止には0.2 Mrad以上の照射が必要と思われる.
  • 岩原 章二郎, 八木 善照, 田淵 正義
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1089-1092
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    集積培養法によりフェルラ酸を唯一の炭素源として生育する細菌,かび,酵母などの微生物23菌株を得た.これらの菌株およびコニフェリールアルコール脱水素重合物を資化するかび,細菌など合わせて63菌株についてフェルラ酸の分解性につき検討した.
    その結果,多くの菌株がフェルラ酸を炭素源とする培地に良好な生育を示しフェルラ酸を分解資化することが明らかとなった.これらの菌株のうちの1細菌(F 8-2-3菌株)がフェルラ酸の中間代謝産物としてバニリン酸を蓄積した. F 8-2-3菌株の洗浄菌体はフェルラ酸をバニリン酸へ変換するがバニリン酸を代謝しなかった.他の多くの菌株の洗浄菌体はフェルラ酸,バニリン酸ともに分解した.
  • 岩原 章二郎, 城森 孝仁
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1093-1097
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    コニフェリールアルコール脱水素重合物を資化する能力をもつFusarium属菌の洗浄菌体による3, 4-dime-thoxycinnamic aldehydeの分解について検討し,以下の結果を得た. Fusarium solani M 13-1の洗浄菌体と3, 4-dimethoxycinnamic aldehydeとを反応させると3, 4-dimethoxycinnamic acidが生成することを確認した. Fusarium moniliforme M 102の洗浄菌体と3, 4-dimethoxycinnamic acidとを反応させ中間代謝産物を単離結晶化し,それがベラトル酸であることを確認した.以上の反応は他の菌株においても認められた. Fusarium属菌の洗浄菌体はベラトル酸およびバニリン酸をよく分解した.ベラトル酸はバニリン酸に比較して分解されにくい傾向が認められた.
  • 岡村 成通, 渡辺 正澄
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1099-1107
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Asp. japonicas ATCC 20236の麸培養物中にcaffeoyl tartaric acid (CfT), p-coumaroyl tartaric acid (CmT), chlorogenic acidを加水分解するhydroxycinnamic acid ester hydrolase (HCEH)が認められたので,本酵素の諸性質およびワイン醸造への利用を検討した.
    (1) chlorogenic acidを基質として, HCEHの活性測定法を定めた.
    (2) Asp. japonicus菌のHCEH生産は100% (v/w)散水した麸培地で30°C, 8日間培養することが適当であった.
    (3) 酵素反応のための最適pHは6~7,最適温度は55°Cであった.また70°C, 10分の熱処理により,HCEHは完全に失活した.
    (4) 12株の糸状菌より調製した酵素溶液について, HCEHおよびtannase活性を測定したところ, HCEHはAsp. japonicus, Asp. nigerに, tannaseはAsp. nigerに強い傾向が認められた.また両酵素間に活性の相関は認められなかった.
    (5) CfT, CmTは各種酵母の発酵において安定であったが遊離のp-coumaric acidはSacch. cerevisiae酵母で効率良く, caffeic acidはわずかに資化された.
    (6) HCEH活性は反応液のアルコール濃度12% (v/v)で43%阻害されたが,亜硫酸による影響は認められなかった.
    (7) HCEHのアセトン粉末をブドウ果汁に添加して,ワインを試醸したところ, CfT, CmTが消失し,褐変が抑えられ,苦味・収レン味の少ないワインが得られることが明らかとなった.
  • 入來 義彦, 福田 祐子, 柿崎 和子, 中沢 正幸, 上杉 好治, 神津 公
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1109-1111
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The boiling 80% ethanol-extractable sugars in Schizandra chinensis were investigated.
    When component sugars were analyzed by paper chromatography, the compositions of sugars in root, stem and leaf were almost the same, so the sugars of the stem were investigated, and the following results were obtained.
    1. In the boiling 80% ethanol-extractable substances, seven alkaline silver nitrate-positive substances (Fig.1) were detected.
    Of these substances, D-galactose and mannitol in addition to sucrose, D-fructose, D-glucose, inositol which were found generally in higher plants, were identified.
    2. The molar ratio of glucose; fructose; galactose; inositol; mannitol in the monosaccharide fraction of the stem was 1:0.99:0.13:0:16:0.04.
  • 那須 佳子, 中沢 文子
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1113-1115
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Light emission of anthocyan in a strawberry was studied at liquid nitrogen temperature (LNT). Under stimulation with light in the region of the well known main 2.5eV absorption band, it was found that anthocyan in the strawberry showed two emission bands peaked around 1.96eV and 2.04eV. Further, sharp emission at 1.83eV was observed under excitation with 2.9eV absorption band, and broad emission ranging from 2.6eV to 3.5eV were also observed under excitation by the light in the 3.1eV_??_3.9eV region. The peak energy of this broad emission band increased with increasing of exciting energy.
  • 太田 義雄, 前梶 健治
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1117-1119
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    The dependence of the rheological properties of konjac mannan (KM) gel on gelatinizer was examined by stress-relaxation experiment with the use of an autograph. The instantaneous elastic modulus (E0) and longest relaxation time (τ1) of gel were measured under 30% of compressing strain. It was found that the rheological properties of KM gel depend on the concentration of hydroxide ion regardless of the kind or the concentration of gelatinizer used. With the increase in concentration of hydroxide ion, E0 increased (up to 10-1.5M) and then decreased (above 10-1.5M), and τ1 decreased steeply (up to 10-3.5M) and then gradually. The results can be explained on the basis of the duplicate function of hydroxide ion as gelatinizer and peptizer. With the increase in concentration of hydroxide ion, the function as gelatinizer is enhanced more greatly than that as peptizer up to 10-1.5M, but the situation is reversed above 10-1.5M.
  • 柿沼 勝己
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1121-1130
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 須山 享三
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1131-1138
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • N. Y.
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1155-1156
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 藤田 稔夫
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1156-1158
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 西村 勁一郎
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1159-1161
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 江藤 守総
    1981 年 55 巻 11 号 p. 1161-1163
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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