日本農芸化学会誌
Online ISSN : 1883-6844
Print ISSN : 0002-1407
ISSN-L : 0002-1407
55 巻, 3 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 熊谷 知栄子, 布川 弥太郎, 秋山 裕一
    1981 年 55 巻 3 号 p. 209-216
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    清酒酵母・協会7号から振盪抽出, Sevag法で分離精製したマンナン-7Kと加熱抽出,フェーリング沈殿によるPeatらの方法で分離精製したマンナン-7Pの分子量と構造を比較検討した.
    超遠心法で測定した結果,マンナン-7Kの分子量は約10万であるが,マンナン-7Pのほうはその1/2で約5万を示した.
    メチル化,過ヨウ素酸酸化,スミス分解法でグリコシド結合位置を,加酢分解および部分酸加水分解法で側鎖構造を検討した結果,分子量は異なっていたが,マンナン-7Kとマンナン-7Pの構造には根本的な差異は見出されなかった.
    したがって清酒酵母・協会7号のマンナンの構造は,α(1→6)結合の主鎖からα(1→2)結合の側鎖が分岐したもので,主要部はBallou一派の提示したパン酵母マンナンと同じであるが,最長側鎖がマンノース残基4個からなり,その非還元性末端のほうに2個のα(1→3)結合をしたマンノース残基が結合している点でパン酵母マンナンとは異なることを明らかにした.
  • 熊谷 知栄子, 布川 弥太郎, 秋山 裕一
    1981 年 55 巻 3 号 p. 217-220
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    S. cerevisiaeに属する醸造用酵母,すなわち清酒酵母6株,ブドウ酒酵母5株,ビール酵母4株,焼酎酵母2株,アルコール酵母4株から,加熱抽出フェーリング沈殿によるPeatらの方法で分離精製したマンナンを加酢分解し,その主鎖のα(1→6)結合が選択的に切れて生成するマンノオリゴ糖の組成を薄層およびペーパークロマトグラフィーで比較した.
    この結果,本邦産パン酵母マンナンの最長側鎖に由来するオリゴ糖はマンノテトラオースで,マンノペンタオースは検出されなかったが,清酒酵母をはじめすべての醸造用酵母のマンナンからマンノペンタオースが検出され,清酒酵母の気泡付着性の異なる高泡酵母と泡なし酵母のマンナンにも差異は認められなかった.
  • 吉沢 淑, 丹野 一雄, 鈴木 修, 中曽根 克己, 小玉 祐子
    1981 年 55 巻 3 号 p. 221-229
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 馬れいしょでんぷん製造工程で生じるいも搾汁をSO2酸性で加熱してたんぱく質を凝固させたデカンター廃水と,たんぱく質を回収したクラリファイヤー廃水は,いずれもCOD 10,000ppmをこえ,著量のSO2を含むが,両廃水のSO2耐性の酵母による処理を検討した.
    (2) でんぷん資化性酵母を中心とした100菌株より両廃水のCODの80%以上を除去するそれぞれ数菌株を選び,この中で両廃水に共通してSO2 1000ppm存在下で良く生育するSaccharomyces cerevisiae var. ellipsoideus YS-1とHansenula anomala Y-1-20-3を実験に用いた.
    (3) 酵母処理の好適条件として両廃水とも同様にpH 5.0付近,温度30~35°C,滞留時間12~24時間が挙げられた.これらの条件はお互いに関連しあい,たとえば低pHでのCOD除去率の低下は通気量を高めることにより緩和された.発泡は低pH,低温ほど激しかった.
    (4) ワルドホフ型ファーメンターを用いて酵母Y-1-20-3によりモデルクラリファイヤー廃水(COD 13,000~17,800ppm, SO2500ppm)を希釈率1/24 hr-1で連続処理した結果,処理水上澄のCODは1000ppm前後になり, CODの約81~94%が除去され,全窒素の除去率もきわめて高い値となった.
    (5) 1m3容ファーメンターを用いてデカンター廃水の連続処理試験を9~11月の間行った.廃水のCOD平均値14,200ppmが処理水上澄3480ppmに低下し, 1.75%の固形物が回収され,そのうち0.39%が酵母菌体に由来すると考えられる.通気量0.07vvm以上,希釈率1/15 hr-1以下では両者を変えても処理結果に影響せず,一方,廃水中の還元糖量が固形物回収量,処理水上澄のCOD,全窒素に大きく影響した.
    (6) 回収された固形物は粗たんぱく63.9%を含み,粗たんぱく消化率92.2%と高く,優良な飼料として開発が期待される.
    最後に本研究に関しご教示下さった全農鈴木繁男博士,日本大学教授森本宏博士に謝意を表します.
  • 塚本 桂子, 林田 晋策
    1981 年 55 巻 3 号 p. 231-237
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) Bacillus subtilis 16-2は,腐造をきたしたモロミの仕込み時に使用された米麹から分離した菌株で,抗酵母性物質F 16-2を産生した.本菌をマルツエキス培地で大量培養し,培養濾液からF 16-2の分離精製を行った.
    (2) F 16-2は低分子ペプチドであるが,紫外吸収スペクトルでは特異な吸収はみられなった.紫外吸収スペクトル,赤外吸収スペクトル,その他の性質からbacilysin類似の物質と考察した. F 16-2は酸性側で安定で,熱にも比較的に安定であった.
    (3) F 16-2は広い抗菌性を有していた.清酒醸造に関連がある酵母や乳酸菌の若干の菌株に対し強い抗菌性を示した.
    F 16-2は協会7号酵母に強い抗菌性を示し,協会7号酵母には増殖の抑制や形態的異常が認められた.
    (4) F 16-2添加モロミの発酵試験を行った.対照の正常モロミに比して,発酵は緩慢となり生成アルコールは,対照では20%に達したのに対し, F 16-2 20U/ml,および40U/ml添加モロミでは, 17.2%および15.2%にとどまった.
  • 長谷川 喜代三, 藤野 淑子, 小浪 純代
    1981 年 55 巻 3 号 p. 239-245
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) ゴマ13 Sグロブリンに,スクシニル化およびマレイル化を施して,反応程度の異なるもの,おのおの4種を調製した.これらについて溶解度の変化,超遠心的挙動,電気泳動的挙動,滴定曲線およびゲル化性を比較した.
    (2) スクシニル化およびマレイル化によって,ゴマ13 Sグロブリンは水可溶となった. 0~1.0M NaCl溶液での溶解度は,両者でかなり違いが見られた.
    (3) スクシニル化およびマレイル化13 Sグロブリンは,その修飾率が高くなるにつれて,解離が進んだ.
    (4) 両反応によって13 Sグロブリンのサブユニットと中間サブユニットの分子量は変化せず,またS-S結合は切断されなかった.
    (5) 両反応とも,修飾率が高くなるにつれて,サブユニットおよび中間サブユニットの等電点が酸性側に移動し, pH 4.5付近になった.
    (6) 滴定曲線は,ゴマ13 Sグロブリンのそれと比べると,スクシニル化はpH 7~10の範囲で傾きが小さく,マレイル化はpH 7~8で傾きが大きくなった.
    (7) 水可溶となったスクシニル化およびマレイル化サンプルは,水に溶かした状態でゲルを形成した.
  • 伊藤 精亮, 鈴木 貴, 藤野 安彦
    1981 年 55 巻 3 号 p. 247-253
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    (1) 米糠からワックス系脂質としてステリルエステル,長鎖アルキルエステル,短鎖アルキルエステルおよび炭化水素を分離して,各脂質クラスの特性と構成分を調べた.
    (2) ステリルエステルの主要な構成脂肪酸はリノール酸,オレイン酸およびパルミチン酸,長鎖アルキルエステルのそれはべヘン酸,リグノセリン酸およびパルミチン酸,また短鎖アルキルエステルのそれはオレイン酸とパルミチン酸であった.
    (3) 代表的な分子種は,ステリルエステルではリノール酸シトステリルとオレイン酸シトステリル,長鎖アルキルエステルではべヘン酸ドトリアコンタニル,パルミチン酸オクタコサニルおよびべヘン酸テトラトリアコンタニル,また短鎖アルキルエステルではオレイン酸メチル,パルミチン酸メチルおよびオレイン酸エチルであった.
    (4) 炭化水素として直鎖アルカン,直鎖アルケンおよび枝鎖アルケン(スクアレン)が検出された.主要なアルカンの炭素数はC29とC81,また主要なアルケンのそれはC29, C31およびC33であった.
  • 畑中 顯和
    1981 年 55 巻 3 号 p. 275-280
    発行日: 1981年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
feedback
Top