(1) 馬れいしょでんぷん製造工程で生じるいも搾汁をSO
2酸性で加熱してたんぱく質を凝固させたデカンター廃水と,たんぱく質を回収したクラリファイヤー廃水は,いずれもCOD 10,000ppmをこえ,著量のSO
2を含むが,両廃水のSO
2耐性の酵母による処理を検討した.
(2) でんぷん資化性酵母を中心とした100菌株より両廃水のCODの80%以上を除去するそれぞれ数菌株を選び,この中で両廃水に共通してSO
2 1000ppm存在下で良く生育する
Saccharomyces cerevisiae var.
ellipsoideus YS-1と
Hansenula anomala Y-1-20-3を実験に用いた.
(3) 酵母処理の好適条件として両廃水とも同様にpH 5.0付近,温度30~35°C,滞留時間12~24時間が挙げられた.これらの条件はお互いに関連しあい,たとえば低pHでのCOD除去率の低下は通気量を高めることにより緩和された.発泡は低pH,低温ほど激しかった.
(4) ワルドホフ型ファーメンターを用いて酵母Y-1-20-3によりモデルクラリファイヤー廃水(COD 13,000~17,800ppm, SO
2500ppm)を希釈率1/24 hr
-1で連続処理した結果,処理水上澄のCODは1000ppm前後になり, CODの約81~94%が除去され,全窒素の除去率もきわめて高い値となった.
(5) 1m
3容ファーメンターを用いてデカンター廃水の連続処理試験を9~11月の間行った.廃水のCOD平均値14,200ppmが処理水上澄3480ppmに低下し, 1.75%の固形物が回収され,そのうち0.39%が酵母菌体に由来すると考えられる.通気量0.07vvm以上,希釈率1/15 hr
-1以下では両者を変えても処理結果に影響せず,一方,廃水中の還元糖量が固形物回収量,処理水上澄のCOD,全窒素に大きく影響した.
(6) 回収された固形物は粗たんぱく63.9%を含み,粗たんぱく消化率92.2%と高く,優良な飼料として開発が期待される.
最後に本研究に関しご教示下さった全農鈴木繁男博士,日本大学教授森本宏博士に謝意を表します.
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