日本農芸化学会誌
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57 巻, 10 号
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  • 伊賀上 郁夫, 渡部 秀次, 小田 恒郎, 小山田 孝一
    1983 年 57 巻 10 号 p. 985-994
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    マルトースの還元によって得られるマルチトールのα-1, 4-グルコシド結合は,動物消化管や微生物などによってきわめて分解されにくいが,成人糞便から分離されたBifidobacterium adolescentis type a, E194 aはマルチトールをよく分解することを認め,マルチトールおよびマルトース分解活性を指標に酵素の分離,精製を行い, 3種のα-グルコシダーゼを単離した.乳糖を炭素源とした肝臓培地を用い, CO2中で培養した菌体から超音波処理によって粗抽出液を得た.さらに硫安分画,リン酸カルシウムゲル吸着, DEAE-セファデックスクロマトグラフィー,セファデックスG-200ゲル濾過,ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィーおよびデンプンブロック電気泳動によって3種のα-グルコシダーゼ, I, IIaおよびIIbを得た.いずれもディスク電気泳動, SDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動および沈降分析によって単一なタンパクであることが示された.本酵素の分子量はゲル濾過の結果からI490,000, IIaおよびII bはともに120,000を与えた.一方SDS-電気泳動の結果はI97,000, IIaおよびIIbは60,000の分子量を与え,これらの結果から酵素Iは同種のサブユニットから成る5量体構造を,IIaおよびIIbは同じく2量体構造を持つことが推定された.
  • 伊賀上 郁夫, 渡部 秀次, 小田 恒郎, 小山田 孝一
    1983 年 57 巻 10 号 p. 995-999
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ヒト腸内細菌, Bifidobacterium adolescentis typea, E194aから得られたマルチトールのα-1, 4-グルコシド結合を切断できる3種のα-グルコシダーゼ(I, IIaおよびIIb)を用いて主な酵素化学的性質を検討した.
    (1) 至適pHおよび温度は3酵素ともpH 6.0, 50°Cであった.
    (2) pH安定性(6°C, 24時間)はいずれの酵素ともpH 5.5~8.0で安定であり,熱安定性(pH 6.0, 10分間)はいずれも45°Cまで安定であったが, 50°C以上では各酵素間に大きな差が見られた.
    (3) マルチトールに対する3酵素のKmは1.3~3.2×10-2Mで大差はなかったが,マルトースに対してはIIbのみが,フェニルα-グルコシドに対してはIのみが他の酵素より大きな値を与えた.
    (4) マルチトールおよびマルトースに対する加水分解度を,各酵素のマルトースに対する活性を同一にして経時的に追跡した.この条件下で,酵素Iはマルチトールを6時間で100%分解したが,マルトースは25%にすぎなかった.IIaはマルチトールを15時間で55%分解したが,それ以上の分解は見られず,マルトースも25%以上反応が進まなかった.IIbはマルチトールを27時間でも数%しか分解できなかったが,マルトースの分解はやや大きかった.
    (5) 各酵素のマルトースに対する活性を同一にした場合の各基質に対する相対活性を検討した.酵素IはIIa, IIbに比べてマルチトールに対し最も高い活性を示すほか,ニゲロース,コージビオースにはさらに高い活性を与えた.しかしシュクロース,フェニルα-マルトシドには全く作用を示さなかった. IIaおよびIIbはいずれもシュクロースに高い活性を示したが, IIbはパノースに作用しなかった.また3酵素ともフェニルα-グルコシドに高い活性を示し,デキストリンアルコールにも作用した.しかしトレハロース,可溶性デンプン,β-グルコシドに対しては全く作用を示さなかった.
    (6) 各酵素ともAg+, Hg2+, Cu2+, Zn2+, Cd2+およびトリスなどで強い阻害を受けるが,各酵素間では顕著な差は見られなかった.
  • 長谷川 喜衛, 相部 博史, 小幡 斉, 徳山 泰, 金田 敏
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1001-1008
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Nocardia sp. KUC-7N菌株を用いて,シクロペンタノンおよびシクロヘキサノンの代謝経路を調ベるとともに,本菌のcycloketone monooxygenaseの補酵素依存性について検討した結果,次の点が明らかにされた.
    (1) 無細胞抽出液を用いて,シクロベンタノンおよびシクロヘキサノンの代謝経路について検討した結果,両基質とも,シクロヘプタノンの代謝の場合と同様,ラクトン化後環開裂が起ることが明らかとなり,シクロペンタノンの代謝経路としてシクロペンタノン→δ-バレロラクトン→5-ヒドロキシバレリン酸→グルタル酸,シクロヘキサノンの代謝経路としてシクロヘキサノン→ε-カプロラクトン→6-ヒドロキシカプロン酸→アジピン酸の経路を有するものと思われる.
    (2) 本菌のcycloketone monooxygenaseは,シクロヘプタノンあるいはシクロヘキサノンを唯一の炭素源として培養すると, NADPH依存性cycloketone monooxygenaseのみが存在するが,シクロペンタノンで培養を行うと, NADPH依存性cycloketone monoaxygenase以外に,新たにNADH依存性cycloketone monooxygenaseの存在が明らかとなった.このNADH依存性cycloketone monooxygenaseについての報告は見当らない.なお,補酵素依存性の異なるcycloketonemonooxygenaseは,化学量論的考察から,ともに, external electron donor typeのmonooxygenaseに属するものと思われる.
  • 種村 安子, 和田 博, 伊藤 尚, 柘植 治人, 大橋 一二
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1009-1015
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    高等植物の縮合リン酸分解酵素の性質を明らかにするために,ジャガイモから酸性ピロホスファターゼを精製し,その性質を検討した.
    (1) ジャガイモ塊茎から水抽出,酸性処理,硫安分画,アセトン分画,セルロースクロマトグラフィー,P-セルロースおよびDEAE-セファデックスA-50クロマトグラフィーによって酵素を精製し, 2つの画分IとIIを得た.画分Iは活性収量1.5%で比活性は約200倍に上昇したが,電気泳動的には3本のバンドが認められた.画分IIは活性収量4.7%で2500倍に精製され,電気泳動的に1本のバンドが認められた.精製酵素はPPiに最も高い活性を示したが, TPiおよびTMにも作用し,これら3つの活性を互いに分離することはできなかった.
    (2) 精製酵素(画分II)の最適pHは5.0~6.0,最適温度は50°Cであり, 60°Cでは失活した.
    (3) 基質特異性については画分IとIIで違いが認められた.すなわち,画分Iは酸無水物とp-ニトロフェニールリン酸に作用し,β-グリセロリン酸などのモノエステルには作用しなかったが,画分IIは非特異的に作用した.
    (4) 画分IIはHg2+およびF-によって著しく阻害された.
    (5) ピロリン酸塩に対する画分IIのKm値は12.2×10-3Mであった.
  • 林 力丸, 嵯峨 孝一, 鬼頭 誠
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1017-1023
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    タンパク質をアルカリ処理した際のプロテアーゼ消化性の減少について検討し,消化性の減少の主原因と思われるアミノ酸残基のラセミ化にっいて,フェニルアラニンを取り上げ,アルカリ処理条件とラセミ化率との関係を詳しく検討した.
    その結果,タンパク質をアルカリ処理すると,ペプシン,トリプシンあるいはキモトリプシン単独による消化率が著しく減少した.またこれらのプロテアーゼを順次作用させても,消化率は減少することがわかった.
    アルカリ処理により起るフェニルアラニンのラセミ化は一次反応に従い,その速度定数は, 0.1N NaOH, 40°Cの処理において, 1.8×10-4min-1であり,活性化エネルギーは, 18.lkcal/molであった.アルカリ処理条件とラセミ化の速度定数の関係式を求め,実測不可能なアルカリ処理条件におけるフェニルアラニンのラセミ化率を推定した.
  • 海老原 清, 宇都宮 富美, 宮田 富弘, 水田 昭
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1025-1033
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    ラットの結腸の形態および内部環境に対する盲陽切除,食物センイ摂取の影響について調べた.食物センイとして小麦ふすまを用いた.ラットを1)精製飼料(fiber free diet, FF飼料)-sham-operated群, 2) FF飼料-盲腸切除群, 3) FF+10%小麦ふすま(WB飼料)-sham-operated群, 4) WB飼料-盲腸切除群の4群に分け, 5週間飼育した.その結果,次のような知見を得た.
    (1) ラットの成長速度に対して,飼料および盲腸切除の影響は全く認められなかった.
    (2) たんぱく質のみかけの消化率は盲腸切除,WB飼料摂取により低下した.
    (3) 糞の排泄量,糞塊数はともにFF飼料に比べWB飼料摂取により多くなり,また, sham-operatedラットに比べ盲腸切除ラットのほうで多くなった.
    (4) 飲水量に対して,盲腸切除および飼料の影響は認められなかった.
    (5) FF飼料-盲腸切除ラットの飼料の消化管通過時間(TT)は, FF飼料-sham-operatedラットのそれの約2/3に短縮された.しかし, WB飼料-盲腸切除ラットのTTとWB飼料-sham-operatedラットのそれとの間には差は認められなかった.
    (6) ADFの排泄量はsham-operatedラットと盲腸切除ラットの間で差は認められなかったが, NDFの排泄量は前者に比べ後者のほうで有意に増加した.
    (7) 飼料中の小麦ふすまは盲腸切除ラットよりもsham-operatedラットのほうでより腸内細菌の作用を受けたことが,糞中の小麦ふすまの走査型電子顕微鏡像より認められた.
    (8) 盲腸の組織重量は飼料の影響を全く受けなかったが,内容物のpHはWB飼料を摂取したラットのほうがFF飼料を摂取したラットのそれよりも低かった.
    (9) 結腸の重量と長さ,および結腸の粘膜のたんぱく質量とDNA量に対して,飼料および盲腸切除の影響は認められなかった.内容物のpHはWB飼料を摂取したラットのほうが低かったが,盲腸切除の影響は認められなかった.
    (10) 結腸の粘膜を走査型電子顕微鏡で観察したが,盲腸切除および飼料による影響は認められなかった.
  • 岩本 徹, 楠香谷 隆規, 稲岡 恵, 中 英幸
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1035-1037
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Mycelia-bound β-N-acetylglucosaminidase of Streptomyces could be histochemically detected using naphthol AS-BI β-N-acetylglucosaminide as a substrate and hexazonium pararosaniline as a coupling reagent. The formation and localization of the enzyme was determined by this procedure during mycelial development.
    The mycelia at early stage had no enzyme activity. The enzyme formed from center of the colony and gradually increased in content as the colony developed. After most of the aerial mycelia had produced the enzyme, white spores were formed over the colony. However, no enzyme activity was detected around the colony which might consist of young substrate mycelia, even when the strain had formed white spores.
  • N. Y.
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1077-1078
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 慶田 雅洋
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1078-1080
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 鍋田 憲助
    1983 年 57 巻 10 号 p. 1080-1082
    発行日: 1983年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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