ローヤルゼリー中の窒素成分の全貌を明らかにするため最初にローヤルゼリー中の窒素分布を調べ,次にそれぞれの窒素画分中のタンパク質,ペプチド成分の諸性質を調査して以下の結果を得た.
(1) ローヤルゼリーの全窒素量は新鮮ローヤルゼリー中2%,そのうち水溶性窒素量は全窒素量の89%,水不溶性窒素量は11%であり,この水不溶性窒素のうちアルカリに溶ける窒素量は9.5%であった.また水溶性窒素のうちタンパク質態窒素量は73.9%,非タンパク質態窒素量は14.9%,さらにこの非タンパク質態窒素のうち遊離アミノ酸態窒素量は2.3%,ペプチド態窒素量は0.16%であった.
(2) 水溶性窒素区分よりB-1~5タンパク質の5成分に分けられ,そのうちの2成分B-4, B-5タンパク質を分離した. B-4は等電点6.0,分子量46,000タンパク質構成アミノ酸としてアスパラギン酸,ロイシン,グルタミン酸を多く含み,さらに糖を4.9%含む糖タンパク質であり構成糖はマンノース,グルコースでモル比は3:2であった.B-5は等電点4.6,分子量55,000,タンパク質構成アミノ酸としてアスパラギン酸,セリン,グリシンを多く含み,さらに糖を4.6%含むタンパク質であり,構成糖はマンノース,グルコースでモル比は1:9であった.なおB-4, B-5以外のタンパク質も糖タンパク質であった.
(3) 水不溶性窒素区分よりA-1~3タンパク質の3画分に分けられ,そのうちの2成分A-1, A-3タンパク質を分離した. A-1は等電点4.6,分子量約63,000でアスパラギン酸,グルタミン酸,スレオニンを多く含み,さらに糖を2.3%含む糖タンパク質であり構成糖はマンノースであった. A-3は等電点5.5,分子量約30,000でグルタミン酸,アスパラギン酸,ロイシンを多く含み,さらに糖を2.5%含む糖タンパク質であり構成糖はマンノースであった.
(4) 非タンパク質態窒素区分よりペプチド5成分を分離した.この5成分間においてそのアミノ酸組成に差が見られたが,分子量はいずれも1600前後であった.
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