放射線照射により
o-,
m-および
p-BPG化合物が微生物細胞
E. coli Bに対する致死作用を増強し,それらの化合物の増感効果は臭素原子の置換位置によって異なり,その強さは
o-<
m-<
p-の順であった.また薬剤自身の効果を生存曲線での薬剤無添加の場合の傾きをk
0,薬剤添加の場合の傾きをkとし, k/k
0で表すと,酸素条件下よりも窒素条件下のほうがその値は大きく現れた.
このような
o-,
m-および
p-BPG化合物の放射線増感効果に関連して,これらの化合物の水溶液における放射線分解過程を水の放射線分解物であるe
aq-,・OH,・Hのラジカル捕捉剤添加効果より明らかにした.その結果,臭素原子の置換位置によるBPGの分解率の大きさは放射線増感効果と相応した. Fig. 4に示すように, BPG水溶液の放射線分解の主な反応としてe
aq-と・HがBPGのC-Br結合を開裂し, PGラジカルとBr
-を生成した. G(Br
-)値は3.0で臭素原子の置換位置により変化しなかった.続いてPGラジカルは未反応のBPGの糖残基より水素原子を引き抜いてPGを生成したと考えられる.この際,
o-BPGの
G(PG)値は他の2つに比べて著しく小さく,これはPGラジカルの水素引抜き反応で立体障害を受けたものと考えられる.その他少量の反応として・OHによるBPGのグルコシド結合の開裂に伴うグルコースの生成がみられ,
G(Glc)値の大きさはBPGの臭素原子の置換位置により異なり,
o->
m->
p-の順で
G(-BPG)値および
G(PG)値とは逆の結果となった.
抄録全体を表示