日本農芸化学会誌
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58 巻, 7 号
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  • 西田 妙子
    1984 年 58 巻 7 号 p. 667-673
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    メチル水銀中毒予知の指標を得る目的で,ラットを用いた塩化メチル水銀(MMC) 12.5および37.5mg/kg diet投与試験を行い,血清と脳のメチル水銀濃度とメチル水銀中毒発生の関係を解明した.
    両試験のいずれも,対照群と,メチル水銀の体内蓄積と排泄に影響を与えるヨウ素摂取レベル(ヨウ素, 0.3~150mg/kg diet)によって,コンブ摂取群を含む4群の試験群に分けた.
    1) MMC 12.5ppm飼料で37日間飼育と,そののちMMC添加を止めて29日飼育したおのおののラットの主要臓器および血清のメチル水銀濃度から生物学的半減期(B. H.)を計算した.
    全組織に含まれるメチル水銀のB. H.は,ヨウ素摂取レベルによって異なり,高ヨウ素摂取群では明瞭な延長を示した.
    脳および血清のB. H.には,ヨウ素摂取レベルによる変動はなかった.
    2) MMC 37.5ppm飼料投与19~29日間で,ヨウ素摂取量の多い群から順次にメチル水銀中毒(後肢の運動失調)が発生した(P<0.01~P<0.001).
    中毒症状の進行は高ヨウ素摂取で著しく促進し,体重減少,腎臓肥大,脾臓萎縮が発生した.とくにコンブ摂取群に,体重,脾臓,肝臓重量の減少が顕著に現れた.
    3)全ラットについて測定した血清MMC濃度(μg/ml)と脳および諸臓器のMMC濃度(生組織中μg/g)の間には,いずれの場合も高い正のベキ相関が存在した(P<0.001, r=0.98~0.94).
    4) MMC投与試験の結果からプロビットで算定した脳と血清の半数中毒濃度(TD50)およびその95%信頼区間は, MMCとして,脳が7.36μg/gおよび6.59~7.40μg/gで,血清が2.69μg/mlおよび2.43~2.93, μg/mlであった.これは,ベキ相関の回帰線の式(Y=3.547X0.730)を用いて計算した値と一致した.
    血漿と脳とのメチル水銀濃度比には種による差はないと報告されている.
    したがって,メチル水銀中毒発生予知および脳中メチル水銀濃度推定の指標として,血清メチル水銀濃度は有用であると考える.
  • 渋屋 千征, 村上 雅弘, 渋川 満
    1984 年 58 巻 7 号 p. 675-683
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Corresponding thiol esters were sought in reactions of N-protected amino acids, 1 H-tetrazole-1-acetic acid or D(-)-O-formylmandelic acid with 2-methyl-1, 3, 4-thiadiazole-5-thiol or 1-methyl-l H-tetrazole-5-thiol in the presence of the condensing agent for the purpose of synthesizing new active thiol esters for use as acylating agents.
    Five new 2-methyl-1, 3, 4-thiadiazolethiol esters and five new 1-methyl-l H-tetrazole-5-thiol esters were prepared in high yield. These thiol esters were successfully applied as active N-acylating agents to a facile preparation of peptides and cephalosporins.
  • 田幸 正邦, 中山 義勝, 仲村 実久, 岸原 士郎, 河本 正彦
    1984 年 58 巻 7 号 p. 685-690
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    限外濾過器を使用して,新鮮甘蔗汁の石灰添加による清澄効果を検討した.
    甘蔗汁を所定のpHに10°Cで石灰添加により調整し,それぞれの甘蔗汁を, PM-30膜を使用して60および67°Cで限外濾過を行った結果, pH 8.1および8.5で著しく高い透過流束が得られた.これらの透過液は純糖率が高く,色度はpH 8.5で著しく増大したことから,清澄効果の最適条件はpH 8.1と結論した.
    次に,甘蔗汁をpH 8.1に調整して限外濾過したとき,透過流束に及ぼす諸条件を検討した結果透過流束は,温度の上昇,撹拌速度および圧力の増大に伴って著しく増大する結果を得た.
    さらに,甘蔗汁のpH調整を10, 30および85°Cで行い, 80°Cで限外濾過を行った結果,それぞれpH 8.1, 7.8および7.0で最大透過流束を示し,前二者の透過液のpHはそれぞれ7.2または7.3に低下した.また,透過液の残存石灰量は無処理の甘蔗汁よりも低い値を示した.さらに,リン酸含量も著しく減少し,石灰添加と限外濾過との併用によってほとんどのリン酸が不溶性のリン酸カルシウムとして除去されることがわかった.
    製糖工程でも清澄汁のpHが7.2~7.3 (コールドライミング)および7.0 (ホットライミング)となるように石灰添加を行えば,純糖率の高い甘蔗汁が得られ,砂糖の収量が増大する可能性があることが示唆された.
  • 内田 恵子, 小林 彰夫, 山西 貞
    1984 年 58 巻 7 号 p. 691-694
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    福原オレンジの香気特性を明らかにするため,果皮より調製した精油中,福原オレンジの特有香を表す含酸素部を,ケイ酸カラムクロマトグラフィー, GLCおよびGC-MSにより分析し,重要な香気成分の検索および含酸素部全体の同定,定量を行った.
    その結果,福原オレンジ精油中の含酸素成分として41種類の化合物を同定し, GLCピーク面積とGLC感度係数よりそれらの含量を明らかにした.最も含量が高いのはlinalool (26%)で,次いでoctanol (14%), octanal (12%), decanal (12%)等が主な成分であった.またこれらの化合物のうち,脂肪族アルデヒドが福原オレンジの甘い香気に寄与していることが明らかとなった.
  • 村田 晃, 佐本 將彦, 深田 久成, 和泉 徹治, 山口 義己, 加藤 富民雄, 近藤 道男
    1984 年 58 巻 7 号 p. 695-702
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    2つのε-アミノ基の間を-(CH2)n-で伸長した2官能性リジン誘導体のファージ不活化作用の機序を明らかにする一助として,トリデカンジオイル-リジンエチルエステル(11)のJ1ファージに対する不活化作用について研究し,次のことがわかった.
    金属キレート剤,中性アミノ酸,リボース,デオキシリボース,リン酸塩,塩基,およびヌクレオシドは, 11によるファージ不活化にほとんど影響を及ぼさない.これに対して,金属イオン,塩基性アミノ酸,酸性アミノ酸およびヌクレオチドは,不活化を阻害する.ファージDNAおよび仔ウシ胸腺DNAは, 11と相互作用する.
    これらのことから, 11のε-アミノ基とDNAのリン酸基との相互作用が,ファージ不活化に関係していると考えられた.
    このことは,アゼラオイル-リジンエチルエステル(7),ヘプタデカンジオイル-リジンエチルエステル(15),およびエイコサンジオイル-リジンエチルエステル(18)についても確かめられた.
    なお,不活化ファージと活性ファージの間で,密度および形態に差異は認められなかった.
  • 柳田 晃良, 高木 胖, 岡田 亮
    1984 年 58 巻 7 号 p. 703-705
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
    Ten soybean varieties were examined for total lipids, triglyceride and phospholipid, and fatty acid composition, to seek soybean varieties with low linolenate content. Marked differences were found in triglyceride content but not in phospholipid content. In all ten varieties, the percentage of linolenate in the triglyceride fraction was higher than that in the phospholipid fraction. The seeds of Aochi, Goubaradaizu and Higomusume had a high total lipid content and a lower linolenate/oleate ratio. The lower linolenate/oleate ratio in total lipids occurred when soybean were matured at a relatively high temperature.
  • 松橋 通生
    1984 年 58 巻 7 号 p. 707-713
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 小野寺 一清
    1984 年 58 巻 7 号 p. 747-748
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
  • 山崎 真狩
    1984 年 58 巻 7 号 p. 748-750
    発行日: 1984年
    公開日: 2008/11/21
    ジャーナル フリー
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