トウモロコシ穂軸ペントサンを120°Cにおいて,0.5%硫酸と2.1%硫酸により加水分解し,生成した中性糖と酸性糖の組成を調べた.また,その結果を用いて,二次加水分解における還元糖生成量を計算し実測値と比較した.その結果,以下のことが明らかとなった.
(1) アラビノースは反応初期に遊離溶出することが再確認された.
(2) 反応中期(糖収率約70%以下)では,重合度6以上の中性オリゴ糖が存在すること,また,反応終期(糖収率82.5%)においても少量の中性オリゴ糖が存在することが明らかとなった.
(3) 酸性ナリゴ糖は,反応終期(0.5%硫酸,反応時間120分,糖収率82.5%)には大部分がアルドビオウロン酸となっているが,反応中期(0.5%硫酸,反応時間60分,糖収率81.3%)では,アルドトリオウロン酸,アルドテトラオウロン酸としても存在していることが推測された.
(4) 加水分解液中の単糖,中性オリゴ糖および酸性ナリゴ糖の量から二次加水分解における還元糖生成量を計算した結果,実測値とほぼ一致した.このことより,平均重合度が1.40~1.08の加水分解液とその二次加水分解における反応終了時間の関係が明らかとなった.
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