Bifidobacterium longum M-7の産生するH
2O
2が本菌自身の液中での生残性に及ぼす影響ならびに本菌の無細胞液中に認められるNADH oxidase活性につき検討を加え,以下の結果を得た.
(1) 中和培養時の設定pHをpH 4.7とし,培養した
B. longum M-7はpH 6.0培養菌よりも,好気条件下で保存した際のH
2O
2生成量が大であり,
B. longum M-7の無細胞抽出液に認められるNADH oxidaseの比活性が高かった.
(2) pH 4.7培養菌はpH 6.0培養菌よりも5%乳糖を含む0.1M乳酸緩衝液(pH 5.0)中で15°C 5日間保存した際の生残性が優れていた.保存液にcatalaseを加えることにより
B. longum M-7の生残性が著しく改善されること,
B. longum M-7を炭酸ガス置換容器中で保存するとH
2O
2の生成は認められず,生残性が著しく改善されること,ならびにpH 4.7培養菌はpH 6.0培養菌よりH
2O
2耐性が高いこと等の結果より,好気条件下では自ら産生したH
2O
2が細胞傷害物質となっており,
Bifidobacteriumの生残性にはH
2O
2耐性が大きく影響することが示唆された.
(3) 保存液中に
Torulopsis candida Y-3の生細胞または圧搾パン酵母の無細胞抽出液を加えることにより,
B. longum M-7の生残性は著しく改善され,その効果はcatalaseを加えたものとほぼ同等であった.
(4)
B. longum M-7の無細胞抽出液中より認められたNADH oxidaseの反応の至適pHはpH 5.6~5.8であった.また,透析処理した
B. longum M-7の無細胞抽出液を用いると, FADを加えることによりNADH oxidaseの比活性が約2.8倍に上昇した.
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