魚残澤を良質な動物性飼料にするため,抗酸化作用を有する微生物による処理を行った.
(1) 魚油を用いてその酸化を抑制する微生物のスクリーニングを行った結果,用いた微生物のうち糸状菌では10株中9株に,酵母では17株すべてに抗酸化作用を認めたが,細菌にはその作用は見られなかった.
(2) 糸状菌のなかでは
Aspergillus sojae K,酵母では
Saccharomyces cerevisiae IFO 2114が最も強い抗酸化作用を示した.
(3) 魚残滓をオートクレーブ後ペレット状にし,微生物処理する条件を
A. sojae Kを用いて検討した.その条件は,魚残滓の水分含量約50%,フスマの添加量5%,接種する菌数は魚残滓1g当り10
6,培養温度30°C,培養時間約16時間であった.
(4) この条件で魚残滓を種々の微生物で処理した結果,魚油の場合と同様に,糸状菌では
A. sojae K,酵母では
S. cerevisiae IFO 2114が最も強い抗酸化作用を示した.
(5)
A. oryzae, A. sojae Kと
S. cerevisiae IFO 2114を組み合せて用いることにより, POVとTBAVはさらに低下し対照の約1/5となった.
抄録全体を表示