茶成分であるカテキン類,すなわち(+)-カテキン(C), (-)-エピカテキン(EC), (+)-ガロカテキン(GC), (-)-エピガロカテキン(EGC), (-)-エピカテキンガレート(ECg), (-)-エピガロカテキンガレート(EGCg)と,その酸化生成物の一部であり,紅茶成分であるテアフラビン類,すなわち遊離型テアフラビン(TF 1),テアフラビンモノガレートA(TF 2A),テアフラビンモノガレートB(TF 2B),テアフラビンジガレ,ト(TF 3)およびカフェイン,ルチン,ケルセチン,テアニンのACE阻害能を測定したところ, ECg, EG=Cg, TF 1, TF 2A, TF 2BおよびTF 3が特に強い阻害作用を持つことがわかった.これらは塩化亜鉛添加による試験の結果,阻害能の低下はほとんどないかあるいはわずかでしかなかった.
同じくこれら6種についてカルボキシペプチダーゼA限害能を調べたところ,そのIC
50はACEに対するIC
50に比べ非常に弱かった.
以上の結果は,この阻害能がキレーターとしての働きにのみよるものではなく,むしろカプトプリルのACE阻害機序として推定されている作用に類似していることを窺わせる.すなわちこれらポリフェノール類が, ACEの活性部位とされる, Zn
2+を含む部位,水素結合をする部位,正電荷を持つ部位,の3カ所に対し分子構造的に特異に作用してその効果を現している,という可能性を示唆しているように思われる.
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