焼酎白麹抽出液からDEAE Bio-Gel Aイオン交換クロマトグラフィー, Sephacryl S-300ゲルクロマトグラフィー(pH3.6),ω-アミノドデシルアガロースクロマトグラフィーおよびSephacryl S-200ゲルクロマトグラフィーを組み合わせた系統的分離精製法により,
A. kawachiiのα-アミラーゼIおよびII,グルコアミラーゼII,α-グルコシダーゼ,酸性プロテアーゼおよび酸性カルボキシペプチダーゼを単離精製した.
各精製酵素の分子量は, Sephacryl S-300ゲルクロマトグラフィーおよびSDS-PAGEにより,グルコアミラーゼIIが101,000,α-グルコシダーゼが200,000,酸性プロテアーゼが43,000,そして酸性カルボキシペプチダーゼが215,000と推定された.
最適反応pHは,グルコアミラーゼIIが4.0~5.0,α-グルコシダーゼが4.5~5.5,酸性プロテアーゼが3.0,酸性カルボキシペプチダーゼが3.5であった.グルコアミラーゼIIはpH3.0~8,0,α-グルコシダーゼはpH3.0~7.0,酸性プロテアーゼはpH3.0~6.0,酸性カルボキシペプチダーゼはpH3.0~5.5でそれぞれ安定であった.
最適反応温度は,グルコアミラーゼIIおよびα-グルコシダーゼが70°C,酸性プロテアーゼが60°C,酸性カルボキシペプチダーゼが50°Cであった.グルコアミラーゼIIおよびα-グルコシダーゼは60°C,酸性プロテアーゼおよび酸性カルボキシペプチダーゼは50°Cまで安定であった.
また,α-グルコシダーゼはCu
2+およびHg
2+イオンにより80%以上阻害された.酸性プロテアーゼはCu
2+イオンにより1.8倍に活性化され, pepstatinにより95%以上阻害された.酸性カルボキシペプチダーゼはFe
3+イオンにより80%以上, monoiodoacetateにより50%程度阻害された.
さらに,グルコアミラーゼIIはアミロペクチン,グリコーゲン,可溶性デンプン,デキストリン,アミロースの順に,高分子基質をよく加水分解した.α-グルコシダーゼはマルトースを最もよく水解し,可溶性デンプンの水解速度は非常に遅かった.酸性カルボキシペプチダーゼはカルボキシル末端から2番目のアミノ酸残基が,L-Tyr, L-Phe, L-Leu, L-Aa, L-Gluの順に水解しやすい傾向があった.
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