0.058 Mradから8.4 Mradの範囲でシゾフィランの1%水溶液にγ線を照射したときのシゾフィランの低分子化について検討を加え,以下の結果を得た.
(1) 照射液中の還元末端基数,ゲル濾過クロマトグラフィーおよび分子量の測定結果から,シゾフィランはγ線照射により主として主鎖の分解による低分子化が起き,照射線量に比例して分子量が低下していくことが明らかとなった.
(2) 0.058 Mradおよび0.26 Mradの比較的低照射線量で得たシゾフィランの分子量はそれぞれ75.2万および38万であったが,それらの基本構造はメチル化分析,exo-β-1, 3-グルカナーゼによる検討により非照射のシゾフィランの基本構造とまったく同一であった.一方, 0.8 Mrad, 2 Mradおよび8.4 Mradの高照射線量で得たシゾフィランの分子量はそれぞれ23万, 11万,および2.6万であったがそれらの基本構造は非照射のシゾフィランと比べ大きく変化し,その変化の度合いは照射線量が高くなるほど大きくなった.
(3) マウスSarcoma-180腫瘍に対する抗腫瘍性試験の結果から,分子量75.2万および38万の低分子シゾフィランはN-SPGと同様約90%の腫瘍抑制率を示したが,基本構造の変化が著しかった分子量11万および2.6万のシゾフィランはまったく抗腫瘍活性がみられなかった.
以上の結果から,γ線照射法によっても超音波照射法と同様,シゾフィランの基本構造や抗腫瘍活性を変えることなく約30万の分子量まで低分子化が可能であることが示された.
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