本研究において,著者らはいろいろな生理活性の発現に関与していると推測される環状モノテルペノイドの一つであるカンフォレン骨格,ピナン骨格あるいは
p-メンタン骨格を含有する1, 2, 3および4を出発物質に用いて,チオール類との縮合反応を行いチオエステル類の合成を行った.これら化合物について,衛生害虫であるケナガコナダニ,コナヒョウヒダニ,イエバエおよびチャバネゴキブリに対する殺虫活性試験を行ない,以下の結果を得ることができた.
(1)ケナガコナダニおよびコナヒョウヒダニに対する殺ダニ活性試験を濾紙接触試験法を用いて行なったところ, α-およびβ-カンフォレン骨格あるいはピナン骨格を有する化合物に殺ダニ活性が認められた.とくに化合物1j~3kについては薬剤濃度を0.2g/m
2とした場合でも,極めて高い殺ダニ活性があることが確かめられた.
(2)低濃度での殺ダニ活性が認められた化合物について,長期間にわたるダニ駆除効果を調べた結果,すべての化合物に効力持続性の長い殺ダニ効果があることが確かめられた.
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