農業経済研究
Online ISSN : 2188-1057
Print ISSN : 0387-3234
ISSN-L : 0387-3234
89 巻, 2 号
89巻2号 (大会特集号)
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
報告
  • 稲作経営を対象として
    南石 晃明
    2017 年 89 巻 2 号 p. 73-90
    発行日: 2017/09/25
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    稲作経営の経営革新の現状を明らかにするとともに次世代展望を試みた.事例分析では,技術革新,事業・市場革新が進行しており,組織革新も一部で見られることを確認した.全国アンケート調査分析では,経営規模拡大(売上高,従事者数)により,事業・市場革新,技術革新,経営管理革新の何れも進行する傾向がみられることを確認した.今後の展望では,将来の各経営・類型の優位性は,今後の政策,市場変動,気候変動,技術革新等の経営環境変化をビジネスチャンスに変える経営革新力によって決まると考えられることを述べた.本稿で対象としたような,経営革新を持続的に実現できる稲作経営が,次世代の農業経営の将来像の一つといえる.

  • 果樹産地を事例として
    徳田 博美
    2017 年 89 巻 2 号 p. 91-105
    発行日: 2017/09/25
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    先進的農業経営体と地域農業システムとの関わりを,果樹農業を事例として,実証的に検討した.果樹農業では,農協を中核とした地域農業システムが形成されているが,先進的果樹農業経営体の多くは,農協共販に頼らず,独自の販路を開拓するなど,農協に依存しない経営展開を遂げている.しかし, 土地,労働力,さらに果実を地域から調達しており,地域農業の維持・発展は,先進的果樹農業経営体にとっても重要である.そのため,新規参入者の支援など,地域農業の振興に積極的に関与している経営も多い.一方,三ヶ日町農協では大規模経営に適応した地域農業システムが整備され,その下で展開している先進的果樹農業経営体もある.

  • 新自由主義的ガバメンタリティを視点とした社会学的接近
    坂本 清彦
    2017 年 89 巻 2 号 p. 106-118
    発行日: 2017/09/25
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    本報告では,新自由主義的ガバメンタリティ概念を適用して,先進的農業経営体と地域社会との関係を分析する.既存文献レビューにより,新自由主義的ガバメンタリティを,ハイブリッド複合体とも呼べる主体の自己規律化を促す多様な政策技術を組み合わせ,効率的で合理的な人間の振る舞いの管理を達成せんとする精神性と定義できる.滋賀と和歌山で土地利用型農業と園芸農業を展開する2つの先進的農業経営体事例について,先代からの継承,地域内外の諸主体との関係,次世代への継承,経営者能力の涵養に焦点を当てて分析した.その結果,国や学術界では過去から主張していた新自由主義的な経営者像に関する言説が,因果的に事例経営体に明確に反映されているとはいえないが,経営者らの発言や周囲の言説には徐々に新自由主義的な価値観を反映する言説が浸透していることが見て取れた.

  • 規範的モデル分析を中心に
    松下 秀介
    2017 年 89 巻 2 号 p. 119-135
    発行日: 2017/09/25
    公開日: 2019/08/21
    ジャーナル フリー

    本報告では,地域固有の農業生産構造を前提とした大規模稲作経営の成立条件を明らかにし,それらの大規模稲作経営が直面するリスクとそれらへの対応について規範的モデル分析により接近した.具体的には,2010年世界農林業センサス・農業集落カードの統計分析に基づき,地域資源管理の担い手として期待される先進的農業経営体が大規模経営として成立するための経営環境(属地面積・経営面積の規模と分布,農産物出荷先の差異,社会貢献活動水準等とそれらの推移)を析出した.さらに,先進的農業経営体が直面する降雨リスクの程度に関する分析フレームを提示した.

座長解題
feedback
Top