農村研究
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2025 巻, 141 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • Institutional and Economic Determinants of Membership Changes in Indonesia's Dairy Sector
    Ahmad Syariful JAMIL, Satoko KUBOTA, Masako MORIOKA, Hiroyuki IWAMOTO
    2025 年2025 巻141 号 p. 1-21
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
     This study examined how institutional and economic factors of milk collection actors influence the change to dairy farmers' membership in Indonesia. Data from four actors and 100 dairy farmers in 2024 were analyzed with descriptive statistics and logistic regression. The higher milk prices of private collectors significantly increased the likelihood of farmers leaving dairy cooperatives, while service satisfaction promoted member retention. Regional differences were also important, as farmers in East Java were more likely to change than those in West Java. The study highlights that maintaining competitive prices and improving services are essential for sustaining cooperative membership.
  • 平泉 光一, 斎藤 順
    2025 年2025 巻141 号 p. 22-36
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    インターネット(以下,ネットと略称)で農産物を購入する消費者は多くはないが,増加しつつある.ネットでの農産物販売に寄与する知見を得るため,日本における消費者によるネットでの農産物購入に影響する要因の解明を課題とした.方法としては,ネット利用者1,500人に対して,ネットでの農産物購入の経験者と非経験者を比較した.各要因の影響を調べるために,注目する一つの変数毎に行ったカイ2乗検定またはt検定に加えて,多変量解析として2項ロジスティック回帰分析を採用した.結果としては,農産物のネット購入経験については,性別による経験者の比率はほぼ変わらないこと,年齢が上がるにつれて経験者が増えること,農産物に限らないネットでの買い物経験が豊富なほど経験者が増えること,食材の主な購入者の方が経験者が増えること,農産物のネット購入のメリットおよびデメリットの評価に応じて経験者が増減すること,非経験者と比べて消費行動において相対的に革新的であるほど経験者が増えること(ただし,経験者でも既にイノベーターとアーリーアダプターに相当する層が半数を切っている)等が明らかになった.
  • ──2007年と2015年の農家の悉皆・追跡調査に基づく経営変化の分析から──
    中窪 啓介
    2025 年2025 巻141 号 p. 37-50
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究では宮崎県西都市のマンゴー産地を事例とし,原油価格高騰下における施設果樹産地の再編の一端を,経営環境の悪化が顕著となる前後の農家の経営変化から解明した.2007年と2015年で追跡調査した農家のマンゴー施設の総面積は同等であったが,農家間の異なる経営変化により規模格差が生じていた.施設野菜との複合経営農家は半数がマンゴー生産から撤退するか規模を縮小し,マンゴー専作農家は多くが維持・拡大した.全体として,マンゴーの比重を高めた農家より施設野菜の比重を高めた農家が多かった.各農家の10 a当たり販売量・単価・収入には大きな差があり,原油価格高騰下の経営分化の進行が現れていた.この一因は,経営安定化に必要な投資の能否によって収益性の差が拡大したことにあり,これは農家の規模変化にも一定の影響を与えた.さらに,経営費が増す中で規模に見合わない高額の負債を負う農家もみられ,経営リスクの増大も示唆された.
  • 増田 朋美, 吉野 馨子
    2025 年2025 巻141 号 p. 51-62
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿では,和菓子産業における季節感を表す原材料としての桜花に注目し,その生産加工と流通の現状,課題を探った.主産地である神奈川県秦野市千村地区では全国生産量の8割が生産されているが,栽培者の高齢化,無剪定による高木化のために収穫作業が難しく危険になっていること,そのような労力に対する収益性の低さといった課題が明らかとなった.収穫期が短く,気候によって毎年時期も変動するため関心ある外部者の支援を受けることも難しかった.国内の需要を満たせず中国産が多く流通しており,国産は高価格帯商品に使用されている.近年は国産回帰の動きもあり,地元市民グループや卸業者らの主導による産地の支援や育成が進められていた.桜花は観光資源としての潜在力も高く,地域住民や都市部の人々の協力を得る体制構築が今後の持続的生産に重要と考えられた.
  • ──インドネシア,ベトナム,フィリピン,バングラデシュでのアンケート調査結果より──
    吉野 馨子, 中窪 啓介, 高梨子 文恵, クルシェッド アラム, 宮浦 理恵
    2025 年2025 巻141 号 p. 63-75
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    本研究ではモンスーンアジア4か国(インドネシア,ベトナム,フィリピン,バングラデシュ)での首都圏中間層の消費者の農産物入手の実態と入手時の意識を,アンケート調査をとおし明らかにした.各国ともスーパーマーケット,コンビニ,モール等の新しい小売業が浸透してきたが,野菜の入手では常設市場などの伝統的な小売業態の比重が高かった.農産物の安全性には9割近くが懸念を示したが,対策への関心はやや低かった.安さ重視の傾向は弱かった.ベトナムでは回答者や家族員が農業を営んでいたり,コメや野菜を自給または親戚から入手したりしている割合が最も高く,虫食いへの忌避感も少なかった.バングラデシュの回答者は安全なものを入手したいという意識が最も高かった.有機農産物の認知度は高く,頻繁に購入しているという回答も多かったが,実際にどのような方法で生産された農産物が流通し,消費者の手元に届いているのかに関する実態調査が必要だろう.
  • ──新農民培育計画の政策体系分析──
    長谷美 貴広, 堀部 篤
    2025 年2025 巻141 号 p. 76-87
    発行日: 2025/09/30
    公開日: 2026/03/06
    ジャーナル オープンアクセス
    本稿は,台湾における新規就農者育成・支援政策の中核である「新農民培育計画」の政策体系を分析したものである.台湾では少子高齢化に伴い農業労働力が急減し,外国人労働力の受け入れに先立って国内の新規就農者育成が課題となっている.本研究では,公共政策分析の枠組みに基づき,①目的,②対象,③手段,④権限,⑤財源の観点から新農民培育計画を整理した.特に,教育機関を基盤とする啓蒙・研修事業や「百大青農」事業,農業公費班を通じた人材育成に注目し,予算配分や成果を検証した.その結果,台湾の政策は高等教育初期段階において非農家出身者を含めた農業キャ リアの形成を積極的に支援し,研修を通じて新規就農者を着実に増加させていることが明らかとなった.
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