看護薬理学カンファレンス
Online ISSN : 2435-8460
2019札幌
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
シンポジウム1
  • 塚本 容子
    セッションID: 2019.2_S1-1
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス
  • 石角 鈴華
    セッションID: 2019.2_S1-2
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    "処方された薬を患者が飲んだかどうか"について注意深い看護師は多い。し かし、「この薬は、この患者にとって安全か?」「この薬は、この患者の生活の質に どれだけ貢献しているか?」について注意を寄せる看護師は、残念ながら少ない。 どの薬剤も医学的根拠に基づいて患者に処方されたものである。しかし、だからといって、患者に安全かつ適切な薬剤であるとは限らない。なぜなら、患者は 個別性があり、患者の身体や精神は日々変化しているからである。"この患者に とって"という点が重要だ。

    看護師は、患者の身近に添い生活を支えるゲートキーパー(門番、危険を示す サインに気づき、適切な対応を図ることができる人)であり、同時に、患者の権利 を擁護し代弁するアドボケーターでもある。この薬剤は、患者の心身と生活にどの ような影響を与えているか。患者は、その薬を飲む必要性について心から納得し ているのだろうか。このようなことに看護師は敏感でなくてはならない。薬剤有害事象(Adverse drug events:ADEs)が関連した入院は入院全 体の 6.5%を占めるとも言われる。つまり、病院に勤める看護師は誰しもが ADEsを 目にしているはずである(よほどの新人でない限りは)。「薬剤性の~~~」という スクリーニング項目は、常にあなたの頭の中に浮かんでいるだろうか。知らなけれ ば、ADEsを考えず、診ようとしなければ、ADEsを見逃してしまう。

    本講演では、入院病棟、外来、在宅など様々なシーンで、生活者としての患者・ 家族に密着する看護師が、薬剤有害事象をキャッチするためのアセスメントのポイ ントについて解説する。また、患者中心の薬剤療法を実現するために、患者・家族、 薬剤師や医師ら多職種とどのように協働すべきかについて述べたい。

  • 樋口 秋緒
    セッションID: 2019.2_S1-3
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    平成 28 年介護サービス施設・事業所調査によると、訪問看護サービスを利用 のうち、服薬管理・点眼等の支援は、提供する看護内容全体の 34%を占めてい ました。また、利用者の傷病別では、循環器系の疾患と神経系疾患で 43%をしめ、 介護度については要介護 1と2 でおよそ 50%を占めるという結果でした。(厚生労 働省「平成 28 年介護サービス施設・事業所調査」より)恵み野訪問看護ステーション「はあと」( 以下「はあと」) は、同法人で循環器、 脳血管外科、消化器科などの複数科を標榜している一般急性期病院が母体にあ り、「はあと」利用者の主治医も同法人からが多く、主な既往疾患は調査結果と 同様の循環器系・神経系疾患。さらに、利用者の介護度も、およそ 60%が要介 護 1と2 です。薬剤管理に絡む「はあと」への依頼は、在宅薬剤管理が不十分で、 再入院の繰り返しに困りはてた家族や、その相談を受けたケアマネからが多く、そ のニーズに応えようと、看護を提供していますが、果たして、そのニーズに応えられ ているのでしようか。

    私自身は現在プライマリ・ケア分野のNP ( 大学院の NP 教育課程を修了した 看護師 ) です。NP 教育を受ける前も後も「はあと」の従事者です。そこで、NP 介入前の2年間と介入後の2年間において、「はあと」で薬物療法の管理が必要 な65 歳以上の利用者を対象に、定期外受診 ( 予約日以外の受診 )と救急外来受 診、予定外入院の回数を比較したところ、介入後の定期外受診は、介入前に比 べ多くなりましたが、救急外来受診、予定外入院の回数は少なかったという統計 学的有意差を得ました。

    定期外受診の回数増の原因についてはまだ研究上の課題ですが、日本の NP には、諸外国の NP のような処方権はないため、現在は、排便コントロールやスキン ケアなどを行うためのシップや軟膏、下剤の処方までも医師の診察が必要とされて いることから、処方のみ受診もあります。そのために、受診そのものを減らすことが 難しかったのではないかと考察しています。

    今回、このアウトカム研究の報告とともに、在宅で山ほど抱えている残薬の管理・ 処理、ポリファーマシーや重複処方の問題、どこから整理・調整するか、そのため の医師の処方意図の確認など、訪問看護における在宅薬剤管理で直面している 課題解決について、多職種と連携をして解決していくべき、看護師の役割ついて 報告したいと思います。

シンポジウム2
  • 大川原 淳
    セッションID: 2019.2_S2-1
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    当法人は北海道の西胆振室蘭で 137 床の急性期脳神経外科として 50 年営んでいる救急告示病院である。室蘭市はかつて人口 16 万人の工業都市であったが、 現在 9 万人を切ったため、現存する3 つの総合病院ですら、人口減に釣り合わな いベッド総数や病床構造も含めた再編も提起されている地域である。

    当法人は経営や医学的な実力ではなく、医療法や他機関の公租公課などの影 響を受け運良く存続されていた組織であり、組織ばかりではなく建築物そのものの 老朽化も進み、近代経営管理などは不可能な状態であった。 さらに近年の最低賃金の急激な上昇と、労働法の変遷により国家資格者の雇 用はもとより一般労働者の雇用の困難化が始まっていた。

    厚生労働省は AI ホスピタルシステムを提案しているが、当法人はその提案を知 らずに平成 27 年度の病院の新築移転時の事業計画に高齢化そして減少する労 働人口への対策として労働力のサポートを盛り込み、AI 機械化の段階的導入を 進めることとなった。

    導入されたシステムは以下の通りである

    1 電子化されたタイムカードならびに通行管理

    2 医療安全を考えた院内監視カメラシステム

    3 空調を利用した感染防止

    4 電子カルテ

    5 医事請求の AI 化

    6 看護業務のうち看護記録記載の簡便化

    7 薬剤業務の全自動化

    上記の導入を行うことにより労働法問題、医療安全、感染管理、診療報酬、看 護業務、薬剤師の業務すべてを軽減化することに成功した。しかしながら職員の 理解の能力を超えた機器の導入はそもそもの業務と機器の理解と操作の業務を 並行して行うため業務が複雑化するという矛盾も生み出した。今後の地方都市で 起きている少子高齢化は間違いなく大都市部でも起きていくであろう。 この発表はすでに少子高齢化が進んでいる地方からの警鐘として世間一般で 話題となっているAI 化、機械化なども真の目的とその導入理念、そしてさらに求 められるテーマである医療機器は人間の代替をどこまで行うことが可能なのかをこ こに検討し発表とする。

  • 村松 真澄
    セッションID: 2019.2_S2-2
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    本学は開学以来デザインと看護との協働を教育、研究、地域貢献、大学運営に 生かしてきた。教育では、デザイン学部と看護学部の教員と学生が、混合チームで 地域の市民と一緒に課題解決に取り組んできた。 さて研究活動について私が担当している事例を紹介する。

    1989 年から看護基礎教育で口腔歯科領域の教育が削除されたが、同時期に8020 運動が始まったため、高齢者の口腔内は劣悪となる中でさまざまな治療が進 められた。肺炎や絶食により、ADL の低下等が起こり、寝たきりになる患者が増え、 自宅には退院できずに病院や施設を移動していた。

    こうした状況を目の当たりにし、看護基礎教育で食べる支援や口腔ケアを教授し たいと考えた。しかし、1講 90 分の演習で80 数名の学生の技術チェックを2 名の教 員ですることは難しいことがわかった。口腔ケアに関するシミュレータを探したものの、 適切なものが見つからなかった。デザイン学部の学部長に相談し、デザイン学部の 教員を紹介してもらって共同研究を開始した。2015 年のことであった。その後、国 内外の私の研究フィールドをデザイン学部の教員と一緒に視察し、課題を共有した。

    ここでは、口腔ケアシミュレータや車いすの座面および、ひじ掛けクッションについ て紹介する。口腔ケアシミュレータは、これまでに、1 次モデル、2 次モデルまで開 発が進んでおり、現在はセンサの専門家も交え共同研究中である。

    車いすの座面および、ひじ掛けクッションの開発は、本学の SCU 産学官金研究 交流会で北海道中小企業家同友会の方との交流から始まった。「フランスの病院 で見た高齢者の椅子を作りたい」と言ったら、地元の企業の方を紹介された。マイ 椅子は日本では、販売が難しいので車いすのクッションの話になり、「平成 26 年度 補正 ものづくり・商業・サービス革新補助金」の申請をし、採択をされた。大学の 地域連携研究を担当している事務職のサポートおよび、デザイン学部の教員の協 力を得てユーザーテストなどを終えて特許を申請し、現在、市場で販売されている。 現場のニーズに合わせて次のモデルも開発中である。

    看護実践の場で看護をしていて、困ったことやこんなものがあったら、いいなと思 うことがたくさんあった。しかし、現場ではカタログから既存の製品を購入する方法 しかなかった。デザインとの協働ができる場に身を置いたことで、世界が大きく開け た。デザインとの協働は、対象者もケアを提供する者も幸せにする可能性があると 考える。

  • 木村 剛
    セッションID: 2019.2_S2-3
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    エコーは特別なもの、検査技師や医師が行うもの、と考えている看護師はまだ まだ多い現状であろう。

    私たち看護師が治療の必要に応じて血管に針を留置する場合、視診・聴診・ 触診のほか、患者からの過去の穿刺経験などを聴取した上で総合的にアセスメン トし、穿刺部位を選定している。そして、選定した血管や治療の目的に見合った 太さの針を選択し、穿刺している。穿刺部位の選定には、このような一連の過程 が存在するが、イメージした通りの穿刺を行っても血管内に針が留置されないこと は、稀なことではない。その理由は、技術的な問題だけでなく、血管内膜の肥厚、 血栓形成、血管内皮の荒廃など様々な要因も関係している。

    これらのことは、これまでの観察方法では収集しえない血管の情報である。しか し、血管穿刺前の理学所見から看護師自身がイメージするだけでなく、実際に可 視化できる機器を使用することによって穿刺成功率が上がり、穿刺に関連する合 併症の回避にもつながることが報告されている。

    近年、透析領域では、エコーを用いたバスキュラーアクセスの詳細な機能評価 や形態評価に加え、看護師や臨床工学技士によるエコーガイド下による穿刺技 術が普及してきている。また最近では、透析ではない一般患者の皮静脈への留 置技術においても、エコーを活用した穿刺技術の開発が進行している。

    本日は、エコーを活用することにより得られる血管穿刺に必要な新たな知見を 紹介するとともに、エコーガイド下による血管穿刺技術の実際について報告する。

ランチョンセミナー
看護薬理学教育セミナー1
  • 木下 一郎
    セッションID: 2019.2_ES-1
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    がんは、正常細胞の遺伝子の異常が積み重なって発症する。1990 年代に 分子生物学が急速に進歩し、各臓器のがんに特徴的な遺伝子の異常が分かっ てきた。また、同じ臓器のがんでも、患者によって異常の認められる遺伝子の種 類が異なることも分かってきた。さらに、がんの発生・進展や生存に強く関わるド ライバー遺伝子の異常をもつ患者が存在し、その遺伝子産物の活性を抑える分 子標的薬が高い治療効果を示す場合があることが報告された。特に肺腺癌で は EGFR や ALK の遺伝子変異に対する分子標的薬の高い有効性が報告され、 これらの遺伝子変異に基づく個別化治療が実施されるようになった。

    新たなドライバー遺伝子の発見が期待されるなか、次世代シークエンサーが 登場し、一度に多数の遺伝子の変化を調べるプロファイル機能をもつがん遺伝 子パネル検査が開発された。これを契機として、がん細胞のゲノム情報を調べ て、より効率的・効果的な精密医療を行う「がんゲノム医療」が始まった。これ らを利用した LC-SCRUM-Japan 等のプロジェクトによって、肺腺癌では ROS1、 BRAF、RET、MET や HER2 等のドライバー遺伝子の異常に対する分子標 的薬の治験が行われ、現在までに ROS1とBRAF の分子標的薬が承認された。 肺癌以外の癌でもこのようなドライバー遺伝子の異常は発見され、対応する分 子標的薬が承認されている。さらに、がん種を超えて治療が有効なドライバー遺 伝子変異も発見され、NTRK 融合遺伝子に対応する分子標的薬は、がん種 限定なしの承認を得た

    。2 種類のプロファイル目的のがん遺伝子パネル検査が、2018 年 12 月に製造 販売承認され、2019 年 6 月に保険適用となった。現時点で適用となる患者は、 標準的な治療が終了となった固形がん患者や、標準的な治療の乏しい希少が んや原発不明がんである。有効な薬剤がない患者に、がんゲノム検査を行うこ とによって、効果の期待できる薬剤が見つかる可能性がある。一方、見つかっ た薬剤は、未承認や適応外であることが多い。当院を含め、現在までの国内の データでは、薬剤の奏効性が期待できる遺伝子異常があった患者が約半数で、 対応する薬剤の治療を受けた患者は約 10-15% である。今後、治験や患者申 出療養制度を利用した臨床試験を推進し、検査で見つかった薬剤で治療できる 患者を増やすことが重要である。

看護薬理学教育セミナー2
  • 南 雅文
    セッションID: 2019.2_ES-2
    発行日: 2019年
    公開日: 2020/10/10
    会議録・要旨集 オープンアクセス

    痛みは生体警告システムとして重要であるが、長く持続する痛みは、それ自体 が治療の対象となる。慢性疼痛は様々な観点から分類されるが、痛みの要因に もとづいた分類では、「侵害受容性疼痛」、「神経障害性疼痛」、「心因性疼痛」 に分類される。「心因性疼痛」は器質的要因が関与することもあることから「心 理社会的疼痛」とも呼ばれる。「がん性疼痛」などの実際の慢性疼痛では、ど れか1つの要因によるのではなく、いろいろな要因が複雑に絡んだ「混合性疼 痛」であることが多い。侵害受容性疼痛は、感覚神経の侵害受容器を刺激す ることによって起こる痛みであり、多くの場合、NSAIDs やオピオイド鎮痛薬によ り良好な鎮痛が得られる。一方、神経障害性疼痛は、神経の損傷や機能異常 により起こる痛みであり、がん性疼痛の場合では腫瘍による神経損傷に加え、ビ ンアルカロイド系やタキサン系薬剤を用いた化学療法による神経損傷による場合 がある。神経障害性疼痛には、NSAIDs やオピオイド鎮痛薬が奏効しないこと が多いとされ、鎮痛補助薬として抗うつ薬や抗てんかん薬などが用いられる。本 セミナーでは、がん性疼痛の治療に用いられる治療薬、特に、オピオイド鎮痛薬と、 鎮痛補助薬として用いられる抗うつ薬や抗てんかん薬のうちガバペンチン類と デュロキセチンについて、薬理作用の機序および特徴を解説する。また、長く持 続する痛みは、QOLを低下させるだけでなく、精神疾患や情動障害の原因とも なり、うつ病と慢性疼痛の併存率が高いことが多くの研究により示されている。こ のような精神的な変容が慢性疼痛の治療をより困難にしていることが考えられる。 慢性疼痛による抑うつ気分の惹起には、脳内報酬系の機能低下が関与してい ることが明らかにされつつある。時間が許せば、慢性疼痛による脳内報酬系の 機能低下を明らかにした演者らの基礎研究の成果についても簡単に紹介したい。

feedback
Top