ニセマガキ
Saccostrea echinata (Quoy et Gaimard, 1835)は、日本からオーストラリアまでの熱帯域に広く分布する南方系カキである。そのため、日本における本種の地理的分布は、北緯24 度20 分以南の八重山諸島に限られることが1981 年に報告されているが、本研究では、2005 年に温帯域である九州南東岸において本種の出現を初めて記録した。まず、本種と形態的に酷似し、さらに日本の温帯域に広く分布するマガキ
Crassostrea gigas (Thunberg, 1793)と識別するため、ミトコンドリアDNA の16S リボゾームRNA 遺伝子部分領域530 塩基対を対象として、制隈酵素
SacI で切断する制限酵素断片長多型解析による分子分類法を新たに開発した。次いで、北緯31 度35 分の宮崎県日南市堀川運河河口潮間帯から、2005 年12 月および2006 年9 月に採集した合計58 個体の天然カキに本法を適用した結果、5 個体がニセマガキであると同定された。以上の結果から、南方系カキのニセマガキ
S. echinata が、黒潮流域に沿って約1,000 Km 北方の温帯域にまで拡散していることが示唆された。
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