自然環境復元研究
Online ISSN : 2759-2472
Print ISSN : 1347-5738
5 巻, 1 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
巻頭言
原著論文
  • 岡村 俊邦, 佐々木 祐司, 杉山 裕, 佐々木 勝男
    2011 年5 巻1 号 p. 1-10
    発行日: 2011/11/22
    公開日: 2026/01/13
    ジャーナル フリー
    河畔林の立地である沖積低地は,古くから稲作の適地として開発され,また,明治以降の治水事業の進展により,河畔林の多くは,日本の河川から姿を消すか,その姿を大きく変えた。このため,河川の自然再生に当たって重要な要素となる河畔林の再生の目標が明確にされていない。そこで,北海道の低地に残る原生的な河川の微地形と河畔林の構造を明らかにした。また,この目標を達成するための方法として,生物多様性を確保した樹林の造成法として開発した生態学的混播・混植法による植栽試験を行い,その有効性を明らかにした。
  • 重岡 廣男, 石井 秀和
    原稿種別: 原著論文
    2011 年5 巻1 号 p. 11-19
    発行日: 2011/11/22
    公開日: 2026/01/13
    ジャーナル フリー
    本研究は,竹林内の下層植生が減少する要因を明らかにする目的で,次のような調査や実験を行った。調査は静岡市葵区の谷津山で行った。竹林内と竹林外の地温,気温および光強度を測定した結果,竹林内では竹林外と比べて地温,気温とも低く,夏季でさえ暗い環境条件であった。竹林内の土壌中の硝酸態窒素濃度は,竹林外の土壌中の硝酸態窒素濃度と比べて低かった。林床における埋土種子数を調査したところ,竹林外では316 個,竹林内では222 個の種子が確認された。竹林内の発芽個体数を経時的に調査した結果,個体数は5 月中旬一時的に増加し,その後は徐々に減少した。竹林内と竹林外で堆積しているタケの落葉層の厚さや重さを調査したところ,竹林内の落葉層は厚くて重かった。竹林内では多くのタケの枯れ葉が堆積しており,こうした林床の状況が種子発芽に影響していると考え,実験的にハゼノキの種子をタケの枯れ葉の上に播種したところ,発芽率は著しく低かった。また,ハゼノキの種子は暗黒条件下で発芽率が低下することが分かった。以上から,竹林内には多くのタケの枯れ葉が堆積していることに加えて,極端な光不足から発芽した植物体もやがては枯死することによって下層植生が減少するものと推察された。
  • 荒木 祐二, 平吹 喜彦, ドゥング ポゥキィ, 塚脇 真二, 富田 瑞樹, 鈴木 邦雄
    原稿種別: 原著論文
    2011 年5 巻1 号 p. 20-29
    発行日: 2011/11/22
    公開日: 2026/01/13
    ジャーナル フリー
    カンボジアの中央部に位置し,東南アジア最大の淡水湖であるトンレサップ湖の氾濫原には,高木のBarringtonia acutangula Korth. (サガリバナ科)が優占する季節浸水林が成立している。しかし,野焼き跡地や水路沿いなど強い人為圧がかかる場所では,侵略的外来低木のMimosa pigra L. (マメ科)が高密度の藪を形成して,ユニークな生態と地域住民の生業に深刻な被害を与えている。 本研究では,野焼き跡地にみられたM. pigra の発芽から定着,優占までの侵入初期過程を,B. acutangula との競合に注目しながら1 年10 か月間追跡し,M. pigra の防除と氾濫原の順応的マネジメントのあり方について検討した。調査はトンレサップ湖北縁部に位置するシェムリアプ近郊の氾濫原で,B. acutangula が優勢な藪(植生高6m程度)が約0.7ha の範囲で伐採・野焼きされ,ほぼ裸地となった場所で実施した。現地調査は,2005 年5 月下旬の野焼き後から2007 年3 月まで,冠水期間 (8~1 月)の前後を含む4 回にわたり実施した。焼け跡地に毎回50 個の方形区(1m × 1m)を無作為に設置し,植物社会学的な手法により植生を調べ,同時に各方形区の中央・地上高50cm で全天空写真を撮影して相対光量子束密度(RPPFD)を算出した。本研究によって明らかとなった野焼き跡地の植生回復過程は,以下のように要約される:(1) 野焼き1 週後の裸地に,まず先駆的つる性草木のMerremia hederacea Hallier f. (ウリ科)が,地下に残存する種子と植物体の双方から高頻度で侵入し,(2) 1.9 か月後には,M. hederacea が被度41.7%となって優勢となる一方,B. acutangula も萌芽由来の幼個体が成長し,2 方形区で被度60%を越して局所的に優勢となった。M. pigra は,種子由来の実生が散在する程度だった。次に,(3) 冠水期間を経た14.5 か月後には,主に萌芽から発生したM. pigra が急激に成長し,被度64.2%,高さ2.1mにもなって優占する状態となった。(4) 2 度目の冠水期間を経た21.9 か月後には,M. pigra の優占状態はさらに顕著となって,高さ2.9m,被度90.2%に達して他種を完全に被圧するようになった。以上のことから,伐採・野焼きによる地上部の消失という著しい人為的撹乱を受けた氾濫原内陸部の立地では,M. pigra の萌芽による更新能力が勝り,この熱帯淡水湿地生態系の優占種であるB. acutangula の定着が阻害されていることが示された。
短 報
  • 西田 一也
    2011 年5 巻1 号 p. 30-34
    発行日: 2011/11/22
    公開日: 2026/01/13
    ジャーナル フリー
    本研究では,本流と連続するワンドにおける手網を用いた魚類採集から得られた魚類の情報から,河川の環境学習の対象者が魚類と河川環境との関係について学習可能と考えられる事項を整理することにより,手網による魚類採集の有効性を検討した。その結果,春から夏における手網採集によってワンドがフナ属等の繁殖・成育場,オイカワ等の出水時の避難場となったことが確認され,これらを環境学習の対象者が学習可能と推察された。一方で,ウグイ等の代表的遊泳魚の生息状況を推察する情報は得にくく,投網等による補足採集が必要な場合があると考えられた。
調査・研究報告
技術・実践情報
その他
feedback
Top