日本食品科学工学会誌
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46 巻, 4 号
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  • 豊島 英親, 小野 正博, 岡留 博司, 河村 満, 吉崎 繁, 木村 俊範, 大坪 研一
    1999 年 46 巻 4 号 p. 197-204
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    洗米,水浸漬,蒸らしが不要で炊飯時間を短縮できる早炊き米の製造条件と製品品質との関係について検討した.
    1. 早炊き米は,水分含量が高く,白度が高く,浸漬なしで炊飯しても良好な物性を示した.調味液による炊飯も,原料に比べ炊飯水分含量も高く,浸漬なしの炊飯が可能であった.
    2. 早炊き米は,炊飯時の膨張容積が大きかった.
    3.早炊き米製品粉末の,RVAによる糊化特性値は食味や品質の良い指標であることが示された.
    4. 米飯の物理特性,食味官能検査の結果から,低糊化度の製品の評価が最も高く,殺菌工程を加えたものの評価は低かった.
    5. 早炊き米の場合,低水分での蒸煮による糊化は,蒸煮時間が長くなると組織が硬くなることが示された.
  • 小西 靖之, 小林 正義
    1999 年 46 巻 4 号 p. 205-211
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    円柱状の魚肉ソーセージをモデル物質として連続的な通風乾燥とその乾燥途中にあん蒸操作を挿入した場合の乾燥動特性の解析を行った.解析結果はあん蒸操作挿入時の試料含水率W0>100%-d,b.(領域I)とW0く100%-d.b.(領域II)とで水分移動機構に著しい違いのあることを明らかにした.
    (1) FICKの式より求めた水分の拡散係数De値は領域IではW0値の減少にともない徐々に小さくなるが,領域IIではW0値に依存せず一定値を与える.拡散の活性化エネルギ-E0値について領域Iでは16.5(±1.0)kJ/molを,領域IIでは9.6(±0.6)kJ/molを与え著しい違いのあることが分かった.
    (2) 高含水率側の領域Iと低含水率側の領域IIでは水分移動メカニズム及び水分の存在状態が大きく異なると考察した.
  • 山内 宏昭, 一ノ瀬 靖則, 高田 兼則, 入来 規雄, 椎名 武夫, 小林 猛
    1999 年 46 巻 4 号 p. 212-219
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    ノータイム冷凍生地製パン法によって作成した食パンについて,3種の方法を用いて速度論的な解析を行った結果,以下のことが判明した.
    (1) 冷凍生地製法によって作成した食パンでは,生地冷凍による老化速度の増大はほとんどなく,少なくとも,パン中のデンプンは生地冷凍の有無に関わらず保存中にほぼ同じ速度で老化する.
    (2) 長期冷凍の冷凍生地から得られた食パンの老化(硬さの変化)の増大は,比容積の低下,内相の劣化に主に起因しており,その原因は,長期の生地冷凍に伴うイーストの冷凍障害,生地構造の劣化であると考えられる.
  • 川勝 孝博, 中島 雅達, 市川 創作, 鍋谷 浩志, 中嶋 光敏
    1999 年 46 巻 4 号 p. 220-229
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    食品産業における含油廃水のモデルとして粗レシチン/水エマルションを用い,種々の膜を用いて,透過流束やTOC阻止性能といった濾過特性の検討を行った.油滴の大きさより小さな孔径の親水性膜でクロスフロー濾過を行うことで,一定の透過流束とTOC阻止率が得られることが明らかになった.これらの膜では,透過流束は原液流量によって決定されるため,細孔径や材質によらずほぼ同じ定常透過流束が得られた.TOC阻止性能は,塩阻止性能30%のナノ濾過膜,限外濾過膜,細孔径0.22μmの精密濾過膜まで,ほぼ同じであり,遊離のリン脂質の除去には逆浸透膜かNaC1の阻止率が高く緻密なナノ濾過膜を用いる必要があることが分かった.逆に90%以上のリン脂質やトリグリセリドの除去濃縮を行うためには,0.22μm以下の細孔を持つ精密濾過膜であれば十分であると云える.油滴の大きさ以上の細孔径をつ精密濾過膜を用いた場合は,細孔構造や親疎水性によって,様々な特異的な濾過特性が見られた.非対称膜はデプスフィルターとしての使用の方が高い透過流束が得られること,油滴の大きさと同等のスポンジ形状の細孔を持つ対称膜を用いると透過流束が0近くまで減少すること,疎水性膜を用いると負のTOC阻止率が得られる場合があることが分かった.
  • 大河内 正一, 狩野 文雄, 小俣 耕司, 内田 浩子, 丸山 将宣, 石原 義正
    1999 年 46 巻 4 号 p. 230-235
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2010/01/20
    ジャーナル フリー
    カビの発育熱を熱量計で測定し,その発育熱の変化から,TBZのA.nigerに対する抗カビ活性を検討した.サーモグラムと形態観察により,カビの発熱はカビの形態変化の過程で,菌糸の成長,すなわち細胞増殖による代謝熱であることが示された.さらに,この発熱は培地に添加したTBZの濃度が高くなるにつれて,時間的に遅れることを認めた.その遅れ時間をTAKAHASHIらのバクテリア増殖抑制モデルに適用して解析を行ったところ,カビの発育速度が1/2になるTBZ濃度[I]1/2,さらに最小発育防止濃度MICを定量的に決定することができた.本法により求めたMIC値は従来法によるMIC値と良く一致しており,本法の有効性が確認された.
  • 浅野 祐三, 外山 一吉
    1999 年 46 巻 4 号 p. 236-241
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    (1) 均質機(ホモジナイザー)処理で同じ圧力にて繰り返し処理をすることによって,エマルションの分散粒子はバラッカずに小さくなる傾向を示した.
    (2) 分散粒子径が小さくなるに従って,分散粒子同志の凝集現象がしだいに大きく見られた.
    (3) エマルションの熱安定性については,加熱前後で分散粒子径の大きさ及び分布の変動は多少見られた程度であったが,凝集現象は加熱前に比べて多く確認された.
    (4) エマルションの凝集状態を評価するため,凝集パラメータ式を想定して解析した結果,エマルション分散粒子の標準偏差を平均粒子径で除し,かつ粒子径0.5μm以下の微細な粒子の割合で除した凝集パラメータBが良くエマルション状態を反映した.
  • 堀内 久弥, 杉山 純一
    1999 年 46 巻 4 号 p. 242-249
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    米飯粒間の粘着性と空隙との関係を検討するために,空隙の観察が容易な二次元粒状体モデルとして,硬い材質のポリエチレン(PE),および柔らかい材質のシリコンゴム(SR),フォームラバー(FR)各円柱集積体に対する2軸圧縮曲線と空隙量の変化を測定した.一定の側方荷重で支持した10×10cmの樹脂製の枠に,直径0.5および0.7cmの円柱を約350本を積み上げて上方から十分に遅い一定速度で圧縮した.同時に枠の後方からの光で円柱間の空隙を観察し,画像解析装置で経時的に空隙比を求めた.
    PEの最密充填集積体はV字形のずり割れ破壊面が表れた.ポリプロピレンストロー(PPS)で適宜,空隙を増した場合は,ストローが空隙を吸収しPE最密充填時の約2倍のひずみで破坏した.SRはPEの場合のような明確なV字形破坏は見られなかった.SRにストローを挿入した時にはPE+PPSの圧縮一変形曲線を拡大したような挙動が表れた.炊飯粒よりなお硬いと考えられるFRは集積体中央部が圧縮されて両側に空隙層が表れた.モール・クーロンの応力円の解析により供試材料の強度定数,摩擦角φと粘着性cを求めた.いずれの材料も集積体の間隙量が増えれば摩擦係数が低下することを示し,この論旨は米飯にも適用されると考えた.
  • 吉橋 忠, 中村 澄子, 藤井 剛, 川崎 信二, 大坪 研一
    1999 年 46 巻 4 号 p. 250-254
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    RAPD分析を用いて精米1粒からの品種判別を試みた.精米1粒からISOPLANT(ニッポンジーン)あるいはFastDNA kit H (BIO 101)を改良した方法を用いてDNAを調製し,RAPD分析を行った.これら2つの方法で得られたDNA溶液のPCRによる増幅DNA断片のパターンは,CTAB法で得られたDNA溶液と同様であり,精米の品種判別に有用であることが明らかとなった.これによりRAPD法で得られる5つのプライマーによる6種類の識別バンドを用いることにより国内主要10品種の識別が可能となった.
  • 山喜 秀昭, 野中 章弘, 谷 守隆, 渡辺 三明
    1999 年 46 巻 4 号 p. 255-261
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    モロヘイヤ種子に含まれる強心配糖体のアグリコンであるSPおよびDGをTMS誘導体化後,GC/MSで同時分析する方法を検討し,本法を用いてモロヘイヤの種子および加工食品の分析を行った.
    (1) SPおよびDGのそれぞれのTMS誘導体化により生成したすべての誘導体のマススペクトルから分子イオンおよび特徴的な共通のフラグメントイオンピークが観察され,マススペクトルの解析からDG(TMS)2,DG(TMS)3,SP(TMS)3およびSP(TMS)4の生成を確認した.SPからSP(TMS)4へのTMS化およびDGからDG(TMS)3へのTMS化がほぼ完了するのに100℃で20時間を要した.
    (2) モロヘイヤの種子および加工食品は,試料を直接1%硫酸-メタノール(1:1,V/V)溶液で加水分解した後にジクロロメタンで抽出したものをSPおよびDGの分析試料とした.調製した試料を減圧乾固後,100℃で20時間TMS化した.得られたTMS誘導体のSP(TMS)4およびDG(TMS)3はGC/SIMにより測定した.これらの条件では,モロヘイヤの種子および加工食品共に,妨害成分の影響の少ないマススペクトルが得られ,SPおよびDGが精度よく定性定量できることを確認した.検出限界はSPに関して5mg/kg,DGに関して1mg/kgであった.
    (3) 本法により,モロヘイヤの種子からSPおよびDGが共に検出され,それらの含有量はSP(5.9~6.2g/kg)がDG(0.15~0.24g/kg)と比較して多量に存在した.一方,モロヘイヤの加工食品中からは,SPおよびDGは共に検出されなかった.
  • 大坪 研一, 中村 澄子, 諸岡 宏, 藤井 剛, 布施 隆, 川崎 信二
    1999 年 46 巻 4 号 p. 262-267
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    最近需要が増加しつつある市販のおにぎりや弁当,調理済み米飯類の原料米の品種表示と内容の確認をするための客観的技術の開発を行った.
    国内作付け上位10品種の精米を簡易炊飯し,それぞれの米飯1粒を試料とし,α-アミラーゼおよびプロテイナーゼKによって処理した後に,DNAをフェノール抽出し,10量体5種類および12量体1種類のプライマーを用いたPCRによって増幅した後,電気泳動に供し,パターンの比較を行った.その結果,米飯1粒を試料として,国内産上位10品種の品種を識別することが可能となった.
  • 阿部 申, 川嶋 淳, 増田 哲也, 鈴木 公一, 鈴木 和威
    1999 年 46 巻 4 号 p. 268-273
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    高温で使用されることが多い高融点乳脂肪へ高圧処理(400MPa,45℃)を1時間及び4時間行った.その後,1,2および3時間の通気加熱を行い,加熱前後の性状の変化を調べることにより,高融点乳脂肪の加熱劣化に及ぼす高圧処理時間の影響について検討を行った.その結果,各高融点乳脂肪とも加熱時間の経過とともに加熱劣化の傾向を示した.また,4時間の高圧処理を行った高融点乳脂肪は加熱前後の重量変化率,導電率および酸化誘導時間の測定において,未加圧及び1時間の高圧処理を行ったものより加熱劣化を抑制した結果が得られた.
  • 沢井 祐典, 許斐 健一, 小高 保喜, 吉冨 均, 山口 優一, 深山 大介
    1999 年 46 巻 4 号 p. 274-277
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
    (1) 葉と茎に分けたチャ新芽を嫌気処理したものについて,遊離アミノ酸含量を測定した.GABAは,茎において増加量が大きかった.
    (2) 荒茶を葉と茎に選別すると,ギャバロン茶のGABA含量は,その前駆体である普通煎茶のグルタミン酸含量と同様の傾向を示し,茎の含量が葉よりも多かった.よってギャバロン茶の仕上げは,茎を除かずに行うか,または茎だけを付加価値をつけて商品化することが望ましいと考えられた.
  • 任 恵峰
    1999 年 46 巻 4 号 p. 278
    発行日: 1999/04/15
    公開日: 2009/05/26
    ジャーナル フリー
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