日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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54 巻 , 4 号
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報文
  • 吉村 美紀, 内藤 成弘, 長野 隆男, 西成 勝好
    54 巻 (2007) 4 号 p. 143-151
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    微粉砕された大豆粉を用いた大豆粉豆腐の力学物性と嗜好性に対する大豆粉濃度(11~17%(w/w))の影響を検討した.さらに,共焦点レーザー走査顕微鏡写真を用いて,大豆粉豆腐のネットワーク構造について検討して以下の結果を得た.
    1)大豆粉濃度が増加するのに従い,破断ひずみ,破断応力,破断エネルギー,貯蔵弾性率,損失弾性率は増加し,しなやかで(破断ひずみが大きい),硬い(破断応力および弾性率が大きい)大豆粉豆腐を形成し,離水量が減少した.大豆粉豆腐の貯蔵弾性率はタンパク質濃度範囲4.4-6.9%(w/w)において,タンパク質濃度の2.3乗に比例した.同じ原料大豆から調製し,タンパク質量とpHが似かよった通常豆腐に比べ,大豆粉豆腐の方が破断ひずみと破断エネルギーが小さく,もろくやや軟らかい豆腐を形成することが考えられる.
    2)共焦点顕微鏡観察による豆腐のネットワーク構造観察から,大豆粉濃度が増加するのに従い,密なネットワーク構造が観察された.また,タンパク質濃度がほぼ等しい大豆粉豆腐と通常豆腐を観察した結果,通常豆腐では細かく均質なネットワーク構造が観察された.大豆粉豆腐では,おから成分(食物繊維)が,ネットワーク構造形成に関与していないか,阻害しているものと考えられる.
    3)大豆粉濃度の高い豆腐(大豆粉濃度15%(w/w)と17%(w/w))では,その色が好まれなかったが,かたさ,こく味,総合評価の嗜好性が高かった.
    4)官能評価によるかたさと力学物性値との間に正の高い相関(r>0.95)が認められた.官能評価によるなめらかさと弾力性と力学的物性値との間には相関が認められなかった.
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  • 三上 正幸, Trang Nguyen Hien, 島田 謙一郎, 関川 三男, 福島 道弘, 小野 伴忠
    54 巻 (2007) 4 号 p. 152-159
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究は豚挽肉から発酵調味料である肉醤を製造し,その性質について検討した.豚挽肉に食塩,麹,胡椒,水およびプロテアーゼとしてAlcalase 2.4Lを加えて,3種の異なった食塩濃度(15,20および25%)のもろみを調製し,30℃,6ケ月間発酵させた.この間,1ケ月後にFlavourzyme 500Lを添加したものも調製した.発酵期間中に細菌数は減少し,6ケ月後に,一般生菌数は3.9~7.0×102cfu/g, 乳酸菌数は300以下および大腸菌群は検出されなかった.発酵は1ケ月後から急激に進み,その後緩やかに進んだ.6ケ月後において,もろみからの肉醤の収率は67.0~78.5%,pHは4.76~5.01,タンパク質の回収率は71.9~79.8%,全窒素量は1.7~2.0g/100ml, ペプチド量は3.5~6.3g/100ml, 総遊離アミノ酸量は4.8~7.8g/100mlであった.Flavourzyme 500Lを添加したものは総遊離アミノ酸量が多くなった(p<0.05).肉醤の食塩濃度は,15%の食塩でもろみを調製したものは,20.5~20.8%,20%および25%の食塩で調製したものは,22.8~23.5%であった.官能評価の結果は,総合評価で20%の食塩で調製したものが,さらにFlavourzyme 500Lを添加したものが良い評価であった.
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  • 金 山, 小川 有香, 渡辺 隆夫, 森本 理一郎, 大田 祥子, 清木 雅雄, 宮本 拓
    54 巻 (2007) 4 号 p. 160-166
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    乳酸菌の代謝機能を応用した魚肉発酵ソーセージの開発研究の一環として,乳酸菌による発酵魚肉すり身のアンジオテンシンI変換酵素(ACE)阻害活性を検討した.ホッケ,イトヨリダイ,スケソウダラおよび混合すり身をLactobacillus delbrueckii subsp. lactis 306701で発酵し,ACE阻害活性を調べたところ,ホッケすり身の乳酸発酵物のACE阻害活性(90.0%)が最も高く,スケソウダラすり身では認められなかったためすり身に用いる魚の種類によって,ACE阻害活性に違いが生じたと考えられた.
    ホッケすり身塩溶性タンパク質溶液を使用して乳酸菌16株を用い,乳酸発酵物のACE阻害活性を測定し,同時に,ACE阻害活性に及ぼす発酵温度と発酵時間の影響を調べた.その結果,使用した乳酸菌によって乳酸発酵物のACE阻害活性に差異が認められ,乳酸発酵物で高いACE阻害活性を示すPediococcus acidilactici ID7(阻害率,47.6%)とLactobacillus plantarum 6214(阻害率,40.6%)を見出した.また,乳酸発酵物のACE阻害物質は乳酸菌の生育に伴い生成され,本研究の実験条件下では発酵時間の経過によりACE阻害活性が高くなり,過度の発酵では低下することが示された.
    発酵したホッケすり身のACE阻害活性とアミノ化合物の増加量を調べたところ,ACE阻害活性はホッケすり身中のタンパク質が接種した乳酸菌およびホッケすり身由来の菌によって分解を受けて生じたペプチドなどの物質による可能性が示唆された.
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  • 大槻 誠, 梅下 和彦, 苔庵 泰志, 西井 孝文, 坂倉 元, 柳田 晃良, 久松 眞, 古市 幸生
    54 巻 (2007) 4 号 p. 167-172
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究において,我々は,現代の日本人の摂取脂質エネルギー量増加に伴う肥満に注目し,食用キノコであるブナシメジについて20%ラード・0.5%コレステロール負荷の高脂肪食をC57BL/6J雄性マウスに与え,脂質代謝改善作用について検討した.
    その結果,体重増加量と飼料摂取量は,対照群と比較して有意な差は認められなかった.また,体重100g当たりの肝臓重量,腎周囲脂肪組織重量及び,副睾丸脂肪組織重量は,対照群と比較してブナシメジ群で有意な低値を示した.肝臓総脂質含量並びに,肝臓TG, TC, PLは,対照群と比べてブナシメジ群で有意な低値が認められた.またそれに伴い,肝臓における脂肪酸合成等に関わるmRNAを測定した結果,肝脂肪生合成に関わるACC, FASで対照群と比べブナシメジ群で有意な高値が認められた.一方,血清TG濃度は,対照群と比べブナシメジ群で有意な差は認められなかったが,血清TC濃度は,対照群より有意な低値を示した.以上の結果より,ブナシメジには肝臓脂質蓄積抑制作用があることが明らかにされた.併せて,血清TC低下作用を有することも示された.
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  • 井原 啓一, 丸屋 美樹, 尾崎 裕司, 嶋田 康伸, 浅野 祐三, 岩附 慧二
    54 巻 (2007) 4 号 p. 173-180
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    1.保存時のホイップドクリームの変形抵抗性はホイップ速度が大きくなると低下,すなわち保形性が低下する傾向が見られた.
    2.ホイップ速度140rpm調製品では,脂肪球凝集率の変化が変形抵抗性に与える影響が大きく,200rpm調製品では,オーバーランの変化が変形抵抗性に大きく影響を与えると推察された.すなわち,ホイップドクリームの保形性は,脂肪凝集率とオーバーランの両方の影響を受けると推察された.
    3.ホイップ速度140rpm調製品では,連続相粘度が低下するにつれてオーバーランが低下し,200rpm調製品では,脂肪球凝集率が低下するに従ってオーバーランが低下する傾向であった.
    4.ホイップ速度200rpm調製品では,脂肪球凝集率が減少するに従って気泡径が増加した.脂肪球凝集体が気泡表面より離れ,気泡表面が力学的に不安定な状態になることにより気泡径が増加し,オーバーランの減少につながっている可能性があった.一方,140rpm調製品では,保存中の気泡径の変化が小さく,脂肪球凝集率と気泡径との相関が無かったことより,脂肪球凝集体は気泡表面から離脱することなく,気泡表面が力学的に安定であると考えられた.
    5.脂肪球凝集体,気泡がホイップドクリームの保形性に与える影響に関するモデルを考察すると,140rpm調製品の保形性変化は,連続相中の脂肪球凝集ネットワークの変化が原因であり,200rpm調製品の保形性変化は,気泡表面からの脂肪球凝集体の離脱が原因であることが推察された.
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  • 鈴木 匡之, 内田 勝幸, 殿内 秀和, 小田 宗宏
    54 巻 (2007) 4 号 p. 181-186
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    This study investigated the angiotensin I converting enzyme (ACE) inhibitory activity and the anti-hypertensive effect of Enzyme-Modified Cheese (EMC). EMC was synthesized from the hydrolysis of Danish skim milk cheese with the combination of commercial protease, endo-type protease, and exo-type protease. EMC-No. 9 made with Protease N amano, Umamizyme, and Flavourzyme showed the highest ACE inhibitory effect (IC50=36.3μg/ml). Single oral administration of EMC-No. 9 (100, 500 and 100mg/kg) dose-dependently and significantly lowered the systolic blood pressure in spontaneously hypertensive rats for up to 8 hours. Thus, EMC-No. 9 could be useful for the treatment of hypertension.
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技術論文
  • 高野 隆司, 平 和香子, 阿部 宏喜, 里見 正隆, 小善 圭一, 舩津 保浩
    54 巻 (2007) 4 号 p. 187-194
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    本研究では化学調味料を使用せず,天然調味料(魚醤油,鰹節・昆布エキスおよび酵母エキス)を利用したねり製品(ニギス製品)を開発し,その品質を市販製品(対照)のそれと比較した.
    1)官能評価では,ニギス製品は対照に比べ,見た目の好ましさはやや劣るが,うま味はほぼ同じであり,弾力感や好ましい魚の風味が強かった.
    2)ニギス製品の色は魚醤油の添加の影響で対照のそれに比べ,L*が低く,b*が高かった.前者のゲル物性(破断強度と破断凹み)は,後者のそれらよりも大きかった.
    3)ニギス製品の遊離アミノ酸組成では,特定のアミノ酸に偏りが無く,アミノ酸の種類による濃度差が対照に比べて小さかった.しかし,対照の遊離アミノ酸組成は化学調味料が添加されているため,GluおよびGlyが大部分であった.
    4)ニギス製品には対照と同様に,うま味に関与するAMP, IMPおよびGMPが検出された.官能評価でニギス製品と対照のうま味が同程度と感じられたのは,主にこれらAMP, IMPおよびGMPとグルタミン酸との相乗効果によると考えられた.
    5)ニギス製品の揮発性成分と対照のそれとは異なり,前者からは,ソルビン酸や2-メチルチオフェンが検出されず,イソバレルアルデヒド,2-メチルブタナール,フェニルアセトアルデヒドおよびフルフリルアルコールのようなニギス魚醤油に含まれる成分が検出された.
    6)微生物試験では,真空包装したニギス製品を5℃で40日間保管しても一般生菌数が102cfu/g以下,大腸菌群,サルモネラ,黄色ブドウ球菌および腸炎ビブリオも陰性であった.
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  • 井上 孝司, 河原(青山) 優美子, 池田 成一郎, 五十部 誠一郎, 植村 邦彦
    54 巻 (2007) 4 号 p. 195-199
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    柑橘果汁のレモン果汁に交流高電界処理(出口温度75℃,処理時間0.046s, 保持時間0.58s)を行うことにより,果汁パルプの品質安定性に悪影響を及ぼすペクチンエステラーゼを完全に失活した.
    交流高電界処理によるペクチンエステラーゼの失活は,印加した電界強度の効果は認められなかったが,昇温速度による酵素の失活効果と,加熱温度の保持時間による失活効果との組み合わせとして考えられた.従って,交流高電界処理では,昇温速度を早くすることにより,保持時間を短縮することが可能であることが分かった.また,交流高電界処理における処理時間が短いことは,熱による果汁成分の変性が少ないことが裏付けられた.
    本研究の結果より,柑橘果汁中に含まれる酵素失活を目的とした原料処理において,高電界処理の特長である早い昇温速度を利用することにより,高品質な果汁の製造が可能になると考えられた.
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研究ノート
  • 志村 晃一, 平澤 マキ, 清水 章子, 村 清司, 徳江 千代子, 荒井 綜一
    54 巻 (2007) 4 号 p. 200-203
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    仙草多糖類の構成糖は少なくともラムノース,アラビノース,キシロース,マンノース,グルコース,ガラクトースおよびガラクツロン酸の7種類であると考えられた.また,メチル化分析によりA,B画分ともに2,3,5-トリ-O-メチルアラビノース(またはキシロース,いずれもフラノース構造),2,3,4-トリ-O-メチルアラビノース(またはキシロース,いずれもピラノース構造),2,3,4-トリ--I>O-メチルラムノース,2,3,4,6-テトラ-O-メチルグルコース(またはマンノース)および2,3,4,6-テトラ-O-メチルガラクトースが同定された.
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技術用語解説
  • 河野 公子
    54 巻 (2007) 4 号 p. 204
    公開日: 2007/10/04
    ジャーナル フリー
    「食育」という言葉は,これまで用いる人によって意味合いが様々で,統一的な定義はなされていない.
    平成17年6月に制定された「食育基本法」においても,「食育」の明確な定義はなされていないが,前文及び第一章総則の第一条目的及び第二条から第八条までに示された基本理念から,次のように表すことができるだろう.
    「食育」とは,食に関する知識と食を選択する力を習得し,健全な食生活を実践することができる人間を育てるための食に関する取組み・教育の総称であり,広く国民の啓発活動のことをいう.また,「食育」の範囲は,食に関する感謝の念や理解,伝統的な食文化,環境と調和した生産等への配慮,農山漁村の活性化と食料自給率の向上への貢献,食品の安全性の確保等を含む広範囲なものであり,食料生産から消費に至るまでの様々な体験活動を行うこととしている.
    これまで「食育」は,どのように用いられてきたのだろうか.
    「食育」という言葉がはじめて用いられたのは,明治時代だとされている.1)明治31年,石塚左玄は,食養生の指南書「通俗食物養生法」の中で「食育」を「一定の食養生法により子どもの心身を育むこと」として用いている.また,明治36年,村井弦斎は,小説「食道楽」の中で「食育」を「食物についての知識を与えることによって子どもの心身を育むこと」として用いている.両者とも体育や知育等を支える基盤としての「食育」の重要性を主張しているが,一般に定着するには至らなかった.
    その後,1990年代以降になると,食に関する取組みの重要性を,「食育」の言葉を用いて提唱する例がみられるようになり,砂田登志子は,欧米で生活習慣病予防の見地から子どもを対象に行われている「健康的な食習慣を身に付けるための教育」を「食育」の訳語を用いて紹介し普及に努めた1).また,服部幸應は,「食育のすすめ」の中で,「食育」を「料理や食体験を通して,主に幼稚園児や小・中学生(保護者を含めて)を対象に「何を食べるか」「どのように食べるのか」を教え,食に関する興味を抱かせること」とし,「食育の3つの柱は,安全な食べ物を知り選ぶ能力,しつけやマナー,食料・農業・環境問題」と提唱した2)
    行政において,初めて「食育」の言葉が明記されたのは,平成10年に旧厚生省の「子どもの健康づくりと食育推進・啓発事業」として報告された「乳幼児からの健康づくりと食育推進のための基礎調査報告書」である.この報告書では,「食育」とは「食べることの意味を理解し,一人一人が自立的に食生活を営む力を育てることや,それを実現しやすい食環境づくり」と定義している.
    また,農林水産省では,「BSE問題に関する調査検討委員会報告」(平成14年4月)において,今後の食品安全行政のあり方の重要な個別課題の一つとして,食に関する教育いわゆる「食育」の必要性を明記した.「食育」について,「栄養,調理,食品,食生活など食に関する広範な学術領域のすべてに及ぶが,行政的には,それらの構成要素の一つ又は複数をテーマとした啓発行動を総体的にとらえる用語として用いる」と定義し,「食育」は,「国民の健康と安全の確保を目的として推進するものであることから,対象者を子どもに限定するものではなく,広く国民全体とすることを基本とする」としている.
    さらに,平成14年11月には,文部科学省,厚生労働省,農林水産省の三省連携による食育推進連絡会議が設置され,「食育」とは,「食に関する知識と食を選択する力を習得し,健全な食生活を営む力を育てること」としている.
    足立己幸,衛藤久美は,栄養学雑誌3)において,「食育」の概念や内容,目標等を分析し,検討課題を提案している.その中で,「食育」とは,「人々が人間らしく生きる・生活する資源としての食,同時に健康の資源でもある食を営む力を育てること,そしてこれらを実現可能な社会・環境を育てること」であるとしている.
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