日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
Print ISSN : 1341-027X
検索
OR
閲覧
検索
55 巻 , 1 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
総説
報文
  • 花村 高行, 青木 仁史, 内田 絵理子, 萩原 俊彦
    55 巻 (2008) 1 号 p. 6-12
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    アセロラはアスコルビン酸含量の高い果実として知られている.アスコルビン酸は必須栄養素としてだけでなく,美白効果をもつ美容素材として化粧品や健康食品に広く使用されている.アセロラの美容効果についてはin vitro試験での有効性は報告されているが,ヒトを対象とした試験の報告は見当たらない.我々は40代の閉経前の健康な女性について,アセロラ果汁飲料の12週間摂取による美容効果をアスコルビン酸含有飲料およびアスコルビン酸を含有しない飲料を対照として二重盲検並行群間比較法により検討した.美容効果の評価は機器による評価,被験者による肌状態のVAS法を用いた自己評価および皮膚科専門医による肌状態の評価により行った.
    その結果,被験者の自己評価および医師の評価ではアセロラ果汁飲料は2種類の対照飲料より,肌状態に対して高い効果を示した.従って,これらのアセロラ果汁飲料の美容作用には,アスコルビン酸だけでなく他の成分の関与が示唆された.しかしながら,機器による評価では対照とアセロラ果汁摂取で明確な違いは認められなかった.
    抄録全体を表示
  • 大橋 哲也, 渋谷 孝, 奥 和之, 吉井 英文, 古田 武
    55 巻 (2008) 1 号 p. 13-17
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    エタノール法により得た多孔性の無水結晶糖を使用して亜麻油を粉末化し,脂肪酸の保存安定性を従来の含水結晶,及び無水結晶糖を使用した場合と比較検討した.多孔性の無水結晶トレハロース及び無水結晶マルトースを使用して亜麻油を粉末化した場合,良好な包括粉末状態を作製できた.粉末化した亜麻油は,トレハロースを用いた場合が結晶構造に拘わらず安定であった.亜麻油の酸化によるアルデヒド発生量は,多孔性無水結晶で亜麻油を包括した場合,従来の無水結晶で包括した場合に比較して約1/2であった.これは,揮発性アルデヒドが細孔内に吸着されることによって気相中への揮発量が抑制されているためと推察された.
    抄録全体を表示
  • 本間 紀之, 赤石 隆一郎, 吉井 洋一, 中村 幸一, 大坪 研一
    55 巻 (2008) 1 号 p. 18-24
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    米および米加工品における難消化性澱粉(RS)含量の測定についてProsky法,RS-kit法,人工消化法の3種類の方法を比較検討した.
    測定法によるRS含量の比較において,Prosky法は人間の消化管内とは異なる条件での測定方法であり,米加工品のRS含量も1%以下で測定されるため試料間の比較は困難であった.RS-kit法による測定では,精白米のRS含量は20%程度であり,米飯,素焼き米菓では最大2%程度の値が得られたが,狭義の意味のRS含量と考察された.人工消化法によるRS含量の測定では,精白米で80%程度,米飯,素焼き米菓で最大20%程度となり,実際の人間の消化にも対応し,加熱加工を受けた米加工品の比較にも適していると考えられた.
    RS-kit法と人工消化法による測定で,精白米のRS含量は品種間で差が認められなかった.また,RS含量は加熱加工により減少したが,精白米澱粉のアミロース含量が高いほど,加工処理後のRS含量が多い傾向が認められた.米加工の内容によりRS含量が異なることから,同一試料米でも加熱加工条件を変えることで,RS含量を変えられる可能性が示唆された.
    抄録全体を表示
技術論文
  • 原田 恭行, 小善 圭一, 里見 正隆, 横井 健二
    55 巻 (2008) 1 号 p. 25-31
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    クエン酸を用いて骨を軟化し,小アジ魚体すべてを利用した魚味噌の調製を試みた.小アジの魚体全体を細切りし,2.3%(w/w)のクエン酸で4℃,72時間処理し,その後終濃度9%の塩および21%の麹と混合して30℃で100日間発酵させた.魚味噌中の骨片様の異物数は,酸処理区では対照区の1/8に減少していた.対照区では微生物が増殖して乳酸等の有機酸が生成したが,酸処理区では熟成中微生物の増殖が抑制され,乳酸等の生成が殆ど認められなかった.酸処理区では水溶性カルシウムが遊離し,100日間熟成後の水抽出カルシウム量は,300mg/100gだったが,対照区では129mg/100gであった.また酸処理区は,対照区と同程度(対照区の91%)の遊離アミノ酸を含んでおり,酸処理区においてもタンパク分解は進行したことを示していた.大豆味噌に酸処理魚味噌を10%添加して官能検査を行ったところ,魚味噌添加により旨味が増強されることがわかった.これらの結果から,魚体をすべて利用した魚味噌を製造する際,クエン酸処理により骨等が溶解し,品質が向上した製品が得られることが明らかとなった.
    抄録全体を表示
研究ノート
技術用語解説
  • 島 純
    55 巻 (2008) 1 号 p. 37
    公開日: 2008/02/29
    ジャーナル フリー
    ナイシンAは,バクテリオシンと総称される抗菌性ペプチドの1種であり,乳酸球菌Lactococcus lactisにより生産される.2005年にCotterらが提唱した分類に従うと,バクテリオシンは抗菌特性や化学構造からクラスIおよびクラスIIに分類される.ナイシンAが含まれるクラスIバクテリオシンは,ランチビオティクと呼ばれる細胞膜攻撃性の耐熱性低分子ペプチド(<5kDa)である.ランチビオティクの特徴は,デヒドロアラニン,デヒドロブチリン等の修飾アミノ酸を含むことである.また,デヒドロアラニン,デヒドロブチリンの一部は,システインとの分子内縮合によりモノスルフィド結合を有するランチオニンや3-メチルランチオニンを形成する.ナイシンAの抗菌スペクトルは,他のクラスのバクテリオシンと比較して広く,他種乳酸菌やグラム陽性の食中毒細菌の多くに抗菌活性を示す.また,ナイシンAと部分的に構造が異なる天然類縁体であるナイシンZ及びナイシンQの存在が報告されている.ナイシンAの化学構造を模式的に図1に示した.一方,クラスIIバクテリオシンは,ランチオニン等の修飾アミノ酸を含まない低分子ペプチド構造を有するバクテリオシンの全てを包括するとされている.
    乳酸菌の生産するバクテリオシンが注目される大きな理由は,バイオプリザベーションへの応用の可能性が大きいことにある.有害食品微生物の制御の代表的手法は加熱であるが,全ての食品素材に加熱処理を適用することは出来ない.その場合には,食品保存料の使用が必要となるが,消費者の安全性指向の高まりにともない,化学合成された食品保存料の使用を敬遠する傾向にある.このようなことから,生物由来の安全な抗菌作用を有する天然抗菌物質を活用して,有害食品微生物を制御しようとするバイオプリザーベーション技術の開発が期待されている.バイオプリザーベーションに用いる保存料はバイオプリザバティブと呼ばれ,食経験が十分にあることや有害作用がないことが確認されている必要がある.ナイシンA等を生産する乳酸菌は,ヨーグルトやチーズ等の発酵乳製品や味噌,醤油等の発酵食品の製造に用いられてきており,長年に及ぶ食経験を有していることから,安全が確保されているGRAS(Generally recognized as safe)微生物と認識されている.そのような観点から考えて,ナイシンAをはじめとする乳酸菌バクテリオシンは,バイオプリザバティブとして最適な条件が揃っていると言える.
    バクテリオシンの食品への利用には,様々な手法が考えられる.1つは,精製したバクテリオシンを食品添加物として利用する手法である.また,バクテリオシン生産菌を発酵食品のスターターとして用いることで,発酵を行いながらバクテリオシンを生産させて有害細菌の増殖を防ぐ手法も考えられる.これらの方法ばかりでなく,食品の種類や形態等に合わせて,多様なバイオプリザベーション手法の構築が可能である.
    ナイシンAを代表とするクラスIバクテリオシンは,バイオプリザバティブとしての活用が最も期待されている天然抗菌物質であると思われる.実際に,ナイシンAは世界50カ国以上で既に食品保存料として使用されている.我が国においては,現段階ではナイシンAの食品添加物としての使用は認可されていないが,食品安全委員会においてナイシンAに係る食品健康影響評価が進められており,今後の動向が注目される.バクテリオシン生産能を含めた乳酸菌の潜在機能を有効活用することにより,食品の安全性向上が強く期待できる.
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top