日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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55 巻 , 10 号
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総説
報文
  • 高橋 義宣, 増田 康之, 杉本 正裕, 江成 宏之
    55 巻 (2008) 10 号 p. 455-460
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    りんご搾汁残渣を酵素分解,熱水抽出することでペクチンオリゴ糖を調製して,その整腸作用について検討した.腸内細菌を用いた資化性試験では優先菌であるBacteroides属やBifidobacterium属に資化性が見られ,糞便培養培地中の短鎖脂肪酸,腐敗産物の分析により,酢酸,酪酸,乳酸が高い増加率を示し,腐敗産物の生成は抑制されていた.また,便秘気味の方を対象にAPOを2週間1日1回5g摂取させた場合に,排便回数は3.0回/週から5.0回/週と有意な増加が認められた.これらの結果から,APOの摂取は整腸作用に効果がある事が明らかとなった.
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  • 御手洗 誠, 許 慈芳, 王 銘富, 平原 弘志, 関戸 治知, 星野 躍介, 江成 宏之, 山本 茂
    55 巻 (2008) 10 号 p. 461-467
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    加齢に伴う学習・記憶能力の低下,行動や外観の変化,生殖・繁殖能力の低下に対するDNAの効果を評価するため,2ケ月齢の老化促進モデルマウス雌雄14匹に0.1%(w/w)DNAを配合した飼料を10ケ月間投与した.その結果,DNA投与群において学習・記憶能力の低下及び老化による行動や外観の変化が有意に抑制された.さらに,DNAの投与によりマウスの生殖・繁殖能力が向上した.マウス肝臓中のSOD活性及びCAT活性がDNA投与群で有意に高かったことから,抗酸化活性がマウスの老化現象の進行の抑制に関与したと考えられた.これらの結果から,DNAの摂取は高齢者における脳の健康状態の維持,及び行動,外観,生殖機能の維持に有用であることが期待された.
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  • 今村 美穂, 佐藤 洋枝
    55 巻 (2008) 10 号 p. 468-480
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    醤油および醤油関連調味料の評価を専門とした記述分析型パネルの採用を行った.採用においては,特に醤油に対する評価能力が高いパネルの選抜を目的として一般的な基準液を用いた試験の他に,醤油や醤油と共通する特性を有する食品を用いての評価を行った.その結果,その採用試験を通じて以下の知見を得た.
    (1)味のテスト : 配偶法によるテストは一般のパネル選抜試験と同様,閾値付近の濃度で行うことが望ましい.また,認知閾,認知閾の1/2,認知閾の1/4濃度に調製したスクロース,酢酸,グルタミン酸ナトリウム溶液を用いた甘味,酸味,旨味強度の識別テストは,パネルの選抜に有効である.醤油を用いた塩味の識別テストは食塩濃度8.2%,11.2%,14.2%が適切である.
    (2)香りのテスト : メーカーや原材料が異なる醤油を用いた香りの識別テストは,醤油に対する識別能力が高い被験者の選抜に有効である.また,加熱時間(2分,5分)が異なる醤油の識別テストもパネルのスクリーニングに適する.トリメチルアミンを添加して醤油の香りを識別テストにおける試薬の添加量は50ppm程度が妥当である.なお,香りの識別テストを複数回行う場合,評価間の休憩が1分間であれば,繰り返しは2回を上限とするべきである.
    (3)記述テスト : 醤油と同じ醸造物で数多くの成分を共有するワインを用いた記述力の試験は醤油を専門としたパネルの選抜に有効である.
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  • 小崎 誠, 田村 博英, 片岡 邦三
    55 巻 (2008) 10 号 p. 481-486
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    コタラヒムブツエキス含有飲料の安全性評価のため,健常者27名,境界型および軽症2型糖尿病者27名の計54名を対象に,プラセボ対照二重盲検法による4週間過剰摂取試験を実施した.被験者は,健常者と境界型および軽症2型糖尿病者を各2群に割り付け,試験食を4週間摂取した.試験食は,被験飲料(コタラヒムブツエキス末450mg : 通常の3倍量)あるいはプラセボ飲料(コタラヒムブツエキス末をカラメル色素に置き換えた飲料)を朝夕食とともに摂取させた.その結果,過剰摂取の継続による低血糖症状はみられず,各検査値の異常変動,医師の診察・問診において被験飲料と因果関係のある有害事象はみられなかった.一方,境界型および軽症2型糖尿病者の被験飲料群で,HbA1cおよびグリコアルブミンの摂取前後の変化量が有意に低下した(p<0.05).これらのことから,本食品は継続的に摂取しても臨床上問題とならないことが明らかとなった.
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技術論文
  • 貝沼 やす子
    55 巻 (2008) 10 号 p. 487-493
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    精白米を10℃,-20℃,-40℃,-60℃に6ケ月間保存したところ,いずれの保存温度においても保存中に水分は変動しなかった.米への吸水は,10℃に保存した場合,保存期間が長くなるに連れ減少し,6ケ月後には顕著に低い吸水率となった.-20℃,-40℃と保存温度が低くなるにつれて0ケ月との差は小さくなり,-60℃保存は最も差が小さかった.0ケ月との差は浸漬の最初の段階で顕著に現れ,表層部に生じた古米化現象による影響であると考えられた.吸水後の米粒の硬度は,-60℃保存は0ケ月と変わっていなかったが,-40℃,-20℃保存はわずかに差が生じ,10℃保存については大きな差が見られ,いずれも硬く変化していた.浸漬液に溶出した還元糖量は10℃,-20℃,-40℃保存では,保存期間が長くなるにつれて減少したが,-60℃保存では溶出する還元糖に変化が見られず,酵素の活性が維持されていると考えられた.
    米飯の破断強度測定,テクスチャー測定では,保存期間が長くなると0ケ月と比較してかたく,付着性が少ない米飯となり,保存により米飯の物性が変化した.この変化は10℃保存の米飯で顕著であった.-20℃,-40℃と温度が低下するにつれて変化は小さくなり,-60℃保存では0ケ月の米飯の物性とほぼ同じ状態であった.官能検査においても,保存温度が最も低い-60℃保存の米で炊飯した米飯は10℃保存の米飯に比較して,有意に粘りがあり,やわらかいと評価され,総合評価においても有意に好まれた.
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  • 村山 徹, 宮沢 佳恵, 長谷川 浩
    55 巻 (2008) 10 号 p. 494-501
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    秋冬作における有機及び慣行栽培ホウレンソウの品質成分の実態を明らかにするため,現地調査を行った.有機および慣行栽培ホウレンソウをペアにして各16圃場からホウレンソウを採取し,アスコルビン酸,β-カロテン,硝酸,シュウ酸,スクロース,遊離アミノ酸含量を調査した.慣行栽培ホウレンソウではβ-カロテン含量が,有機栽培ホウレンソウでは遊離アミノ酸含量が生体重および乾物重当たりで有意に高かった.β-カロテン含量はホウレンソウの全窒素,硝酸含量に正比例することから,土壌中の窒素供給量の違いが主要因と考えられた.遊離アミノ酸の違いについては,決定的な要因は見いだせていない.
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研究ノート
  • 梅川 逸人, 辰野 拓也, 王 娅, 平山 碧, 服部 美香, 荒木 利芳
    55 巻 (2008) 10 号 p. 502-505
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    海苔発酵エキスをSHRの体重1kgあたり2mgを経口単回投与したところ,血圧降下作用が認めたれた.さらに,海苔発酵エキスを飼料中重量比で,0.001%,0.003%になるように混合し,35日間摂取させSHRの血圧上昇に及ぼす影響について検討したところ,血圧上昇抑制作用が認められた.また,長期投与試験終了後のSHRの血清,腹部大動脈,肺のACE活性が低下していた.
    以上の結果より,海苔発酵エキスはSHRに対して降圧作用を示すこと,そして降圧物質としてGABAに加えてACE阻害成分が血圧調節系に作用したためと推察される.
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  • 伊藤 友美, 土田 廣信, 小原 章裕, 水野 雅史, 木村 忠彦
    55 巻 (2008) 10 号 p. 506-509
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    5種類のアズキを用い,餡製造工程において廃液として取り扱われている渋切水と煮熟液中の有効利用の検討を目的にスタキオースの含量を測定するとともに,煮熟液の各種処理による回収率および脱色率を測定した.
    (1)スタキオース含量は,アズキ中のスタキオース総量の26~49%が煮熟液に溶出されることがわかった.一方,渋切水中のスタキオース含量は,アズキ中のスタキオース総量の2.1~10.1%であった.
    (2)CaO(CO2飽充)で処理することにより,アズキの煮熟液中のスタキオースを70~80%回収することができ,吸着樹脂HP20を併用することで脱色効果も期待できることがわかった.
    このように廃水処理されている渋切水および煮熟液中にはスタキオースを含有し,これをCaO(CO2飽充)で処理することで副産物の有効利用が期待できると思われる.
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  • 御手洗 誠, 関戸 治知, 上田 成子, 桑原 祥浩, 江成 宏之
    55 巻 (2008) 10 号 p. 510-514
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    本研究では,マウスにサケ白子から抽出したDNAを12週間投与し,マウスの走行耐久力への効果について検討した.トレッドミルによる走行試験の後,屠殺して生化学分析を行った.その結果,DNA投与群は対照群と比較して走行距離が有意に長くなり(p<0.05),大腿筋中のグリコーゲン含量及び血漿中のグルコース濃度が有意に高くなった(p<0.05).これらの結果から,DNAの投与によりマウスの走行耐久力が増強されることが示され,この効果はDNAが糖代謝に何らかの影響を及ぼすことに起因している可能性が示唆された.
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技術用語解説
  • 西沢 隆
    55 巻 (2008) 10 号 p. 515
    公開日: 2008/11/30
    ジャーナル フリー
    細胞壁は動物細胞以外の細胞生物に見られる細胞外マトリックスである.植物にはセルロース,ヘミセルロース,ペクチン質が,真菌類の多くにはキチンが,細菌類ではペプチドグリカンが含まれる.
    1)セルロース(cellulose)
    (C6H10O5nで表される植物細胞壁の骨格となる多糖で,グルコースがβ-(1→4)結合により直鎖状に連結した高分子である.植物細胞壁では,数十本程度のセルロース分子が束状になった微繊維(ミクロフィブリル ; microfibril)と呼ばれる構造を取る(図1).さらに,微繊維同士はロープ状に会合し,マクロフィブリル(macrofibril)と呼ばれる構造を作り,細胞壁の強度を高めている.セルロースは地球上に最も多く存在する炭水化物で,「繊維素」と呼ばれることもある.
    2)ヘミセルロース(hemicellulose)
    ヘミセルロースはセルロース微繊維間を架橋結合できる架橋性多糖(cross-linking glycan)の総称であり,セルロース微繊維間をつなぐことにより網目状構造を作り,細胞壁のマトリックス強度を維持する(図2).“ヘミセルロース”は,多糖の構造と関係なく,細胞壁からアルカリ性水溶液で抽出される多糖の総称を指す言葉であり,実態が分かり難い.現在では,“ヘミセルロース”という総称名ではなく,キシログルカン(多くの植物の一次細胞壁に存在する)やグルコマンナン(コンニャクイモの貯蔵性多糖)など,それぞれの多糖の構造名で呼ばれることが多い.
    3)ペクチン(pectin)
    ペクチンは果物などに多く含まれる多糖で,植物組織中では一次細胞壁だけでなく中葉(ミドルラメラ ; middle lamella)にも存在し,隣接する細胞同士を結び付けている.ペクチンは主に負に荷電したガラクツロン酸(galacturonic acid)がα-(1→4)結合した鎖状分子(ポリガラクツロン酸)を基本とする.ガラクツロン酸のカルボキシル基が部分的にメチルエステル化され,メトキシル基(R-OCH3)を含むものをペクチニン酸(pectinic acid),メトキシル基を含まないものをペクチン酸(pectic acid)と呼ぶ.植物細胞壁中では,通常ガラクツロナン分子に部分的にラムノースが結合したラムノガラクツロナン(rhamnogalacturonan)を主鎖に,ガラクトースやアラビノースなどの中性糖を側鎖に持つ分枝性多糖として存在する.ガラクツロナン分子同士は,カルシウムイオンが介在することによるイオン結合により構造を強化することができる.
    4)キチン(chitin)
    真菌類の他,節足動物や軟体動物にも含まれる.キチンはβ-(1→4)ポリ-N-アセチルグルコサミンで,しばしばポリグルコースとβ-(1→3)結合している.
    5)ペプチドグリカン(peptidoglycan)
    ムレイン(murein)とも呼ばれる.短いペプチドによって多糖鎖が架橋することにより網状の分子を作り,細胞壁の強度を維持している.
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