日本食品科学工学会誌
Online ISSN : 1881-6681
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55 巻 , 11 号
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総説
報文
  • 藤森 正宏, 柚木 恵太, 佐藤 光由, 塚本 義則, 大西 正男
    55 巻 (2008) 11 号 p. 529-534
    公開日: 2008/12/31
    ジャーナル フリー
    ブドウおよびリンゴ果汁を原料とする果実酢のモデル発酵試験を行い,各発酵段階における脂肪酸成分を分析した.
    (1)ベリーA種のワインでは,果汁と比べ,相対的にC16 : 0酸とC18 : 0酸の割合の増加ならびにC18 : 2酸とC18 : 3酸の減少が認められた.このワインを原料とするブドウ酢の脂肪酸成分の変化は大きくなかったが,C18 : 1酸の増加が特徴的であった.
    (2)甲州種のワインの脂肪酸組成は,果汁のそれと類似したが,ベリーA種とはやや異なった.しかし,このブドウ酢は,ベリーA種のブドウ酢と質的および量的に類似した脂肪酸成分となった.
    (3)リンゴ酒では果汁と比べ,相対的なC18 : 1酸の増加とC18 : 2酸の減少が観察された.このリンゴ酒を原料とするリンゴ酢の脂肪酸成分の変化は,ブドウ酢と同様にC16 : 0酸とC18 : 0酸の増加であった.
    (4)このように原料果汁は,それぞれ固有の脂肪酸組成を有していたが,果実酢になるといずれも類似した脂肪酸成分となった.
    (5)キャピラリGC分析の結果,酢酸発酵で酢酸菌体由来のC18 : 111酸が,果実酢中に移行することが示された.
    (6)C18 : 111酸は市販10種の果実酢中にも検出され,C18 : 111酸/(C18 : 19酸+C18 : 111酸)比を算出すると0.07~0.59であった.
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  • 堀籠 悟, 吉田 泉, 玉木 千恵, 山口 昭弘, 木船 信行, 神部 武重, 渡井 正俊
    55 巻 (2008) 11 号 p. 535-540
    公開日: 2008/12/31
    ジャーナル フリー
    簡便かつ多検体処理に適応したスクリーニング法としての,RBL-2H3を用いた脱顆粒抑制作用試験の方法について検討した.その結果,(1)ピペット操作のみで96ウェルプレート1枚での試験全工程が完結できる (2)1プレートあたり21検体(n=2)の試験が可能 (3)Lysis bufferを用いることよる細胞破砕作業の省略 (4)試験サイズ縮小による試薬,器具コストの削減を可能とした.相対放出率についても,原法と同等の結果が得られ,試験内,試験間の再現性ともに10%程度と,再現性の高い試験法となった.また,試料の凍結乾燥を行わない直接抽出法を採用したため,より広範な成分に対応出来るものと考えられた.
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  • 長谷川 温子, 中澤 文子, 熊谷 仁
    55 巻 (2008) 11 号 p. 541-548
    公開日: 2008/12/31
    ジャーナル フリー
    超音波パルスドップラ法を用いて,被験者9人について咽頭部での流速分布の測定を行い,嚥下困難者用食品が誤嚥防止に有効である理由を明らかにした.すべての被験者で最大流速に2倍以上の差がある水とヨーグルトを基準にして,市販の嚥下困難者用食品であるトロミ調整食品,嚥下食について測定した.嚥下困難者用食品はヨーグルトに近い流速分布を示し,誤嚥の危険性が低いことが定量的に確かめられた.トロミ調整食品は添加濃度のよって最大流速が変わることが明らかになり,このため嚥下困難の程度に適した濃度に調整して誤嚥を防止できると考えられた.嚥下食は嚥下食レベルに関わらず最大流速が小さいことが示された.誤嚥防止には最大流速を小さくすることが有効であり,最大流速と動的粘弾性には相関があった.貯蔵弾性率Gprime;が100Pa以上,動的粘性率ηprime;が1Pa・s以上のゾル・ゲルでは最大流速が小さく,誤嚥の危険性が低いと判断することができた.市販の嚥下困難者用食品について動的粘弾性により誤嚥の危険性・安全性を推測できることが示された.誤嚥防止を目的とした食物を得るためには,最大流速が小さくなるように動的粘弾性を指標にして物性を調整した食物が有効であると考えられた.
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  • 内田 あゆみ, 陶 慧, 荻原 淳, 松藤 寛, 太田 惠教, 櫻井 英敏
    55 巻 (2008) 11 号 p. 549-558
    公開日: 2008/12/31
    ジャーナル フリー
    イヌリン含量の高いジャンボリーキの生理学的機能を調べるため,ストレプトゾトシン(STZ)誘発糖尿病ラットの血糖値および血液生化学的指標とアセトアミノフェン(AAP)投与により発生する肝障害に対するジャンボリーキの凍結乾燥粉末(イヌリン含量60%)(PSII)の影響を検討した.最初の実験ではPSIIをラットのSTZ(60mg/kgbw)処理の1週間後から,2週間投与した.糖負荷試験は7日目と14日目に行った.血液の生化学的指標は14日目に測定した.2番目の実験では2週間,PSIIを投与した後にAAP(500mg/kgbw)を投与し肝障害を発生させた.投与24時間後に肝障害の指標である血中ASTとALTの活性を測定し,また摘出した肝臓の病理組織学的検査を実施した.
    最初の実験の糖負荷試験において,1日あたり8.3g/kg(イヌリンとして5.0g/kg)のPSIIの投与により食後血糖値の上昇は抑制されることが確認された.血液の生化学的指標において,総コレステロールとトリグリセリドはSTZ処理により上昇したが,PSIIの投与によりSTZ無処理の値以下に低下した.またASTとALTの活性に低下傾向が観察された.第二の実験において,ASTとALTの活性は低下し,肝臓の壊死と空腔は抑制され,PSIIの肝障害保護作用が確認された.
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技術論文
  • 川上 いずみ, 村山 伸樹, 川崎 貞道, 伊賀崎 伴彦, 林田 祐樹
    55 巻 (2008) 11 号 p. 559-565
    公開日: 2008/12/31
    ジャーナル フリー
    本研究ではそばの風味とテクスチャーに与える,保存温度の影響を官能評価と機器分析により確認し,食味保持に適した保存温度の確認と機器分析による客観的手法の確立を行った.石臼挽きソバ粉をクラフト包材に7日間異なる温度で保存し,官能評価と機器分析,味覚認識装置(味覚センサ),GC-MSクロマトグラフィ,テクスチャーアナライザによる分析で次のような知見が得られた.
    (1)官能評価では保存温度が高いと食味が低下し,苦味の増加が起こることが明らかとなった.しかしながら,保管温度5℃では苦味が強く異なる傾向を示しており,結露による水分変化により食味が変化することが明らかとなった.
    (2) 機器分析では味覚認識装置(味覚センサ),GC-MSクロマトグラフィ,テクスチャーアナライザによるいずれの分析でも,保存温度の違いによる食味の変化を確認できた.味覚センサでは保存温度による「苦味」,「酸味」,「渋味」を示唆するセンサ出力の変化が確認され(P<0.05)5℃保存サンプルでは「苦味」,「渋味」を示唆するセンサ出力で異なる挙動が確認できた.GC-MS分析では「そばの香り」と定義した香気成分は保存温度が高いほど減少し,保存温度が低い方が香りは保持されることが示唆された.テクスチャーアナライザでも5℃保存サンプルが最も食感がやわらかくなり,−18℃では硬さがあることが確認できた.
    (3) 官能評価と機器分析値との相関は,味覚認識装置(味覚センサ),テクスチャーアナライザで確認され,これらの方法がそばの食味の客観的分析法として有効であることが示唆された.テクスチャーアナライザの「抗張力」と食感「硬さ」との間で相関の可能性が示唆された.官能評価「酸味」は味覚センサの3chと0.63,4chと0.70,2chと0.74,5chと0.88という相関が確認できた.試料数nを増やし相関の精度を向上することで,味覚センサでそばの味の違いを判別できる可能性が示唆された.
    (4) そばの食味を維持するには保存温度が低い方が適していることか明らかとなり,クラフト包材で保存する場合5℃温度では結露の問題があることから−18℃の低温が適していることがわかった.
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研究ノート
  • 白井 展也, 鈴木 啓太郎, 津志田 藤二郎
    55 巻 (2008) 11 号 p. 566-570
    公開日: 2008/12/31
    ジャーナル フリー
    発芽蓮の実の機能性を明らかにするために,10%の発芽蓮の実粉末を含む実験試料を調製して,高血圧自然発症ラット(SHR/Izm)に10週間与え,血圧の変化,オープンフィールドテスト,血漿脂質,血糖値および糖代謝に関連するホルモンに及ぼす影響を調べた.発芽蓮の実摂取により,収縮期血圧は10週目で有意な低下を示した.また,オープンフィールドテストにおける中央部滞在時間は,発芽蓮の実の摂取により有意に長くなった.一方,発芽蓮の実摂取により,インスリン,C-ペプタイド,レプチンおよびレジスチンは有意に増加したが,血漿脂質や血糖値には有意な変化が示されなかった.これらのことから,発芽蓮の実の摂取は,血圧降下および情動行動に,何らかの影響を与えている可能性のあることが解った.しかし,血漿脂質や血糖値には,発芽蓮の実はほとんど影響しないと考えられた.
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技術用語解説
  • 柴原 裕亮
    55 巻 (2008) 11 号 p. 571
    公開日: 2008/12/31
    ジャーナル フリー
    甲殻類アレルギーは,エビ,カニといった甲殻類を摂食することにより,蕁麻疹,呼吸困難,眼瞼浮腫,嘔吐,咽頭瘙痒感に加え様々な全身症状を呈するもので,時にアナフィラキシーショック症状を発現する.甲殻類の主要なアレルギー誘発物質(アレルゲン)であるトロポミオシンは分子量3.5~3.8万のサブユニット2つからなる2量体で,アクチン,トロポニンとともに細い筋原繊維を構成している熱に安定なタンパク質である.各種甲殻類のトロポミオシンはお互いに抗原交差性を示すが1),これは甲殻類間におけるトロポミオシンのアミノ酸配列の相同性が高いためでえび類のブラウンシュリンプを,クルマエビ(えび類),アメリカンロブスター(ざりがに類),シマイシガニ(かに類)とそれぞれ比較すると,すべて90%以上と非常に高い値を示している.さらに,ブラウンシュリンプのトロポミオシンについては,全配列をカバーするペプチドとエビアレルギー患者の血清IgEを用いた評価から主要なIgE結合エピトープが報告されている.これらのエピトープの部分配列は他の甲殻類においてもよく保存されており,抗原交差性を裏付けている.また,甲殻類以外とのアミノ酸配列の相同性は,上記と同じくブラウンシュリンプとの比較で,甲殻類と同じ節足動物に属するゴキブリ類,ダニ類が約80%,軟体動物のたこ類,いか類,貝類が60%程度で,いずれも抗原交差性が確認されている.一方,脊椎動物の鳥類,哺乳類もアミノ酸配列の相同性は60%程度なものの,抗原交差性は確認されていない.これらの抗原交差性の違いは節足動物および軟体動物では甲殻類とIgE結合エピトープのアミノ酸配列の相同性が高いが,脊椎動物では低いことに起因すると考えられる.
    平成14年4月より本格的に開始されたアレルギー物質を含む食品表示制度において,甲殻類(えび・かに)は過去に一定の頻度でアレルギーの発症が確認され,引き続き調査を必要とする品目であることから,特定原材料に準ずる20品目に含まれた.その後も調査は継続され,平成17年度の調査ではアナフィラキシーショック症状を誘発した食品として「えび」は特定原材料に次ぐ6位であった2).一方,「かに」は13位で「えび」と比較して頻度は少ないものの,エビアレルギー患者の65%が「かに」に対しても反応することから,「えび」と「かに」との交差性の頻度の高いことが確認された.このような新たな知見によりアレルギー表示対象品目の見直しが行われ,「えび」「かに」は平成20年6月より特定原材料に追加された.さらに表示の範囲も,従来の「えび」の範囲である日本標準商品分類の分類番号7133 えび類(いせえび・ざりがに類を除く)に加えて,7134 いせえび・うちわえび・ざりがに類が追加された.また,「かに」については7135 かに類を範囲としており,「えび」「かに」は生物学的に十脚目に分類される甲殻類を表示の範囲としている.
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